検診イメージ内閣府は2009年11月2日、がん対策に関する世論調査の結果を発表した。それによると、がん検診を未受診の人においてその理由としては、「たまたま受けていない」人がもっとも多く3割近くを占めていた。次いで「必要ならばいつでも受診できるから」「健康に自信があるので必要性を感じない」「面倒だから」「時間が無かったから」などが上位についている。がんに対する認識の甘さや、過度の自信が、がん検診を受けない主要因であるようだ(【発表リリース】)。



今調査は2009年8月27日から9月6日にかけて、調査員による個別面接聴取法で、層化2段無作為抽出法によって選ばれた20歳以上の3000人に対して行われたもので、有効回答数は1935人。男女比は869対1066、年齢階層比は60代がもっとも多く、次いで50代・70歳以上などの順となっている。

がん検診の未受診理由については先日別機関の調査結果として【がん検診、受けた経験ある人は男性1割・女性3割】を挙げたが、そこでは「タイミングが分からない」「特に異常が無い」「検診にお金・時間がかかる」などが上位だった。それでは、やや高齢層の割合が多い今調査母体ではどのような結果が出ただろうか。「2年以上前に受診したきり」「今まで受けたことが無い」人に限定して複数回答で尋ねたところ、「たまたま受けていない」がトップについた。検査頻度を3年以上の長期スパンとしている人か、つい行きそびれてしまっているということなのだろうか。

最近、がん検診を未受診の理由(2年以上前に受診・今まで受けたことの無い人対象、複数回答)
最近、がん検診を未受診の理由(2年以上前に受診・今まで受けたことの無い人対象、複数回答)

同じく「がん検診、受けた経験ある人は男性1割・女性3割」の後半部分で触れているが、がん検診は1-2年の間隔で受けることが望ましい。それを考えると、「たまたま受けていない」人の理由のうち「検査頻度が長い」人は検査そのものをさほど重要視していないことになるし、「行きそびれてしまった」人もやはり「他の用事より優先順位が低いので、行きそびれてしまう」ということだから、いずれにしても「がん(検診)を軽視している」ことを意味する。単純に「タイミングが分からない」より、事は重大かもしれない。

第二位の「必要な時はいつでも医療機関を受診できる」、第三位の「健康状態に自信があり、必要性を感じない」は、共に「体の異変を覚え、検査が必要となった時には、状況が進展している可能性がある」という実情を認識しなければならない。

がんは早期に発見して適切な対処を行えば、治療できる場合がほとんどを占める。そのためにはまず検診を定期的に行い、発見をすることが何より欠かせない。多くの自治体ではがん検診を低コストで受けられる体制が用意されているので、それを利用してみてはいかがだろうか。