
まずは感染症名を「インフルエンザ」(新型インフルエンザ+季節性インフルエンザ)に設定し、「5年間比」をクリックした上で「更新」をした結果が次のグラフ。

東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(今年・47週目までも含めた過去5年間)
今回はいつものように増加傾向を見せ始めた今年の30週目あたり以降(要は直近)を青丸で囲うことはせずに、直近の減少傾向ぶりを矢印でトレースしてみた。先々週の「休みの日が一日多いからその影響があるかもしれないが、しばらくぶりに前週比でマイナスを見せた」週以降、少しずつではあるが減少を継続しているのが分かる。
例年のパターンと比較して「季節性インフルエンザ」の報告数が多少なりとも含まれていることを考えれば、直近においては「新型インフルエンザ」の増加に歯止めがかかった可能性は高い。とはいえ、例年と比べて極めて総報告数が多いことに違いは無く、引き続き警戒を有する状況である。
例年のパターンと比較すると、今この段階でもインフルエンザ報告例の大部分は「新型インフルエンザによるもの」と考えて間違いない。実際に国立感染症研究所の【発表データ】などを見ても、そのほとんどが新型インフルエンザによるものであることが確認できる。もちろん、例年のパターンと比べるとすでに「季節性」インフルエンザが広まりを見せる時期でもあるだけに(例えば2007年の事例ならすでに定点あたり2前後をつけている)、新型が大部分とはいえ、新型と季節性の双方を合わせたものとして数字を見ていかねばならない。
各週の報告数全体における若年層の割合は、学校生活という特殊な(そして感染がおこりやすい)閉鎖環境で過ごす時間が長いことから、20代までが多い。しかしながら季節性インフルエンザと比べると、とりわけ20代以下の感染割合が多いのが気になる。

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1-6週と27-47週)

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、2009年27-47週、積み上げグラフ)
最新の2009年47週では、先週同様に9歳未満の患者数「割合」が増加、10-14歳はやや減少している。この9週間ほど9歳未満の報告数が増加を続けており、今週も先週同様に過半数(55.7%)を超えた状態を維持している。もちろん流行時においてはイレギュラー値を見せた28週を除くと、最大の割合である。
この年齢階層「だけ」を見れば季節性インフルエンザにおける傾向(流行末期)と同じ水準に達している。しかしながら10-14歳・15-19歳の10代患者の割合の大きさは季節性単独と比べて大きく、中堅層以降(30代以降、水色系統の部分)の報告数比率が小さい状態が維持されている。季節性インフルエンザと比べ、若年層への警戒を強化するべき状況であることを再確認させるデータとなっている。
元々厚生労働省の流行シナリオは、乾燥時期の真冬に流行する季節性インフルエンザの流行パターンを、そのまま今年の夏季にスライドしたものであり、乾燥(≒インフルエンザの感染・拡散に大きく影響を及ぼす)については考慮されていなかった。今回のデータを見ると、どうやらその予測より一か月ほど後ろにずれこんだ形で、直近のピークに達したようだ(【年内約2550万人・ピーク時で76万人/日が発症・新型インフルエンザの流行シナリオを確認してみる】)。今後、今データにおいては季節性インフルエンザの増加による数字の上ぶれが容易に想像できるため、これまで以上に医療機関のキャパシティが気になるところだ。
もちろん以前から繰り返し伝えているように、感染拡大の場となりやすい教育機関においてはうがいや手洗い、無用な人混みに足を運ぶことを避ける・マスクを欠かさない、十分な睡眠と栄養管理で身体の抵抗力を強固なものとしておく、体調不良時には「電話で連絡を入れて相談した上で」医療機関におもむくなど、季節性インフルエンザ同様の対応を「確実に行う」「繰り返し行う」ことの大切さを改めて強調しなければならない。これらの対応で、感染拡大は最小限に抑えられる上に、季節性インフルエンザ対策としても十分な役割を果たす。学校で繰り返し啓蒙を行うことが欠かせまい。また、いわゆる「ハイリスク者」に対しての気遣い・備えも十分以上に行う必要があろう。
なお、当インフルエンザ定点観測の記事は、とりあえず来年春先、データがゼロに向かうであろう時期まで継続する予定。だがスペイン風邪の時のように、「むしろ2年目が肝」という懸念が指摘されれば(あるいはWHOからパンデミック解除の宣言が無ければ)、ゼロに近い状態でも継続して観測していくつもりである。
■関連記事:
【一般のマスクは新型インフルエンザに効果があるのか無いのか】
【南オーストラリア州の(新型)インフルエンザの感染拡大グラフを検証してみる】

東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(今年・47週目までも含めた過去5年間)
今回はいつものように増加傾向を見せ始めた今年の30週目あたり以降(要は直近)を青丸で囲うことはせずに、直近の減少傾向ぶりを矢印でトレースしてみた。先々週の「休みの日が一日多いからその影響があるかもしれないが、しばらくぶりに前週比でマイナスを見せた」週以降、少しずつではあるが減少を継続しているのが分かる。
例年のパターンと比較して「季節性インフルエンザ」の報告数が多少なりとも含まれていることを考えれば、直近においては「新型インフルエンザ」の増加に歯止めがかかった可能性は高い。とはいえ、例年と比べて極めて総報告数が多いことに違いは無く、引き続き警戒を有する状況である。
例年のパターンと比較すると、今この段階でもインフルエンザ報告例の大部分は「新型インフルエンザによるもの」と考えて間違いない。実際に国立感染症研究所の【発表データ】などを見ても、そのほとんどが新型インフルエンザによるものであることが確認できる。もちろん、例年のパターンと比べるとすでに「季節性」インフルエンザが広まりを見せる時期でもあるだけに(例えば2007年の事例ならすでに定点あたり2前後をつけている)、新型が大部分とはいえ、新型と季節性の双方を合わせたものとして数字を見ていかねばならない。
各週の報告数全体における若年層の割合は、学校生活という特殊な(そして感染がおこりやすい)閉鎖環境で過ごす時間が長いことから、20代までが多い。しかしながら季節性インフルエンザと比べると、とりわけ20代以下の感染割合が多いのが気になる。

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1-6週と27-47週)

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、2009年27-47週、積み上げグラフ)
最新の2009年47週では、先週同様に9歳未満の患者数「割合」が増加、10-14歳はやや減少している。この9週間ほど9歳未満の報告数が増加を続けており、今週も先週同様に過半数(55.7%)を超えた状態を維持している。もちろん流行時においてはイレギュラー値を見せた28週を除くと、最大の割合である。
この年齢階層「だけ」を見れば季節性インフルエンザにおける傾向(流行末期)と同じ水準に達している。しかしながら10-14歳・15-19歳の10代患者の割合の大きさは季節性単独と比べて大きく、中堅層以降(30代以降、水色系統の部分)の報告数比率が小さい状態が維持されている。季節性インフルエンザと比べ、若年層への警戒を強化するべき状況であることを再確認させるデータとなっている。
元々厚生労働省の流行シナリオは、乾燥時期の真冬に流行する季節性インフルエンザの流行パターンを、そのまま今年の夏季にスライドしたものであり、乾燥(≒インフルエンザの感染・拡散に大きく影響を及ぼす)については考慮されていなかった。今回のデータを見ると、どうやらその予測より一か月ほど後ろにずれこんだ形で、直近のピークに達したようだ(【年内約2550万人・ピーク時で76万人/日が発症・新型インフルエンザの流行シナリオを確認してみる】)。今後、今データにおいては季節性インフルエンザの増加による数字の上ぶれが容易に想像できるため、これまで以上に医療機関のキャパシティが気になるところだ。
もちろん以前から繰り返し伝えているように、感染拡大の場となりやすい教育機関においてはうがいや手洗い、無用な人混みに足を運ぶことを避ける・マスクを欠かさない、十分な睡眠と栄養管理で身体の抵抗力を強固なものとしておく、体調不良時には「電話で連絡を入れて相談した上で」医療機関におもむくなど、季節性インフルエンザ同様の対応を「確実に行う」「繰り返し行う」ことの大切さを改めて強調しなければならない。これらの対応で、感染拡大は最小限に抑えられる上に、季節性インフルエンザ対策としても十分な役割を果たす。学校で繰り返し啓蒙を行うことが欠かせまい。また、いわゆる「ハイリスク者」に対しての気遣い・備えも十分以上に行う必要があろう。
なお、当インフルエンザ定点観測の記事は、とりあえず来年春先、データがゼロに向かうであろう時期まで継続する予定。だがスペイン風邪の時のように、「むしろ2年目が肝」という懸念が指摘されれば(あるいはWHOからパンデミック解除の宣言が無ければ)、ゼロに近い状態でも継続して観測していくつもりである。
■関連記事:
【一般のマスクは新型インフルエンザに効果があるのか無いのか】
【南オーストラリア州の(新型)インフルエンザの感染拡大グラフを検証してみる】
スポンサードリンク