
まずは感染症名を「インフルエンザ」(新型インフルエンザ+季節性インフルエンザ)に設定し、「5年間比」をクリックした上で「更新」をした結果が次のグラフ。

↑ 東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(今年・50週目までも含めた過去5年間)
今回も先週に続き、増加傾向を見せ始めた今年の30週目あたり以降(要は直近)を青丸で囲うことはせずに、直近の減少傾向ぶりを青色の矢印でトレースしている。5週前の「休みの日が一日多いからその影響があるかもしれないが、しばらくぶりに前週比でマイナスを見せた」週以降、減少傾向を継続しているのが確認できる。今回は前回よりも減少率が低下し(前週比78.0%→84.3%)たが、例年のペースに戻りつつあることに違いは無い。
なお前回の減少率が前回掲載時と変わっているのは、報告数そのものが後になって修正(大抵は増加)されているため。一連の定期報告記事では、逐次修正されたデータを反映している。
例年のパターンと比較して「季節性インフルエンザ」の報告数が多少なりとも含まれている可能性を考えれば、直近においては「新型インフルエンザ」の増加に歯止めがかかり、減少を見せている可能性は極めて高い。とはいえ、例年と比べれば(新型・季節性を合わせた)総報告数が多いことに変わりは無く、引き続き警戒を有する状況には違いない。
今データからだけでは判断できないが、例年のパターンと比較すると、今この段階でもインフルエンザ報告例の多くは「新型インフルエンザによるもの」と考えて間違いない。実際に国立感染症研究所の【発表データ】で確認すると、今回計測週の1週前における49週の時点でも、検出されたインフルエンザウイルスのほぼすべてが新型インフルエンザのものであることが把握できる。もちろん、例年のパターンと比べるとすでに「季節性」インフルエンザが広まりを見せる時期なだけに(例えば2007年の事例ならすでに定点あたり7.5前後をつけている)、新型が大部分とはいえ、新型と季節性の双方を合わせたものとして数字を見ていかねばならない。
各週の報告数全体における若年層の割合は、学校生活という特殊な(そして感染がおこりやすい)閉鎖環境で過ごす時間が長いことから、20代までが多い。しかしながら季節性インフルエンザと比べると、とりわけ20代以下の感染割合が多めとなる。逆にいえば30代以上が少ない。今回計測週でもその傾向は維持されている。

↑ 東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1-6週と27-50週)

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、2009年27-50週、積み上げグラフ)
最新の2009年50週では、9歳未満の患者数「割合」は前週から転じて再び増加の傾向(53.1%→54.4%)を見せている。もちろん今週も先週同様に過半数の状態を維持していることに違いは無い。
この年齢階層「だけ」を見れば季節性インフルエンザにおける傾向(流行末期)と同じ水準に達している(今年第6週では54.5%)。しかしながら10-14歳・15-19歳の10代患者の割合の大きさは季節性インフルエンザ単独の時と比べて大きく、中堅層以降(30代以降、水色系統の部分)の報告数比率が小さい状態が維持されている。季節性インフルエンザと比べ、若年層への警戒を強化するべき状況であることを再確認させるデータとなっている。
ただし先週同様に、30代以上(水色系統で着色)の割合が増加しており、新型ではなく季節性インフルエンザの患者数が増えている可能性をも示唆している。報告数そのものの減少と合わせ、確実に事態は変化を見せつつあると考えてよい。
元々厚生労働省の流行シナリオは、乾燥時期の真冬に流行する季節性インフルエンザの流行パターンを、そのまま今年の夏季にスライドしたものであり、乾燥(≒インフルエンザの感染・拡散に大きく影響を及ぼす)については考慮されていなかった。今回のデータを見ると、その予測より一か月ほど後ろにずれこんだ形で、直近のピークに達したのは間違いない(【年内約2550万人・ピーク時で76万人/日が発症・新型インフルエンザの流行シナリオを確認してみる】)とほぼ断じることができる。一方で今後は、季節性インフルエンザの増加による数字の上ぶれが容易に想像できるため、これまで以上に医療機関のキャパシティが気になる(ただでさえ人数が多いのに加え、新型は季節性以上に医療機関の負担が大きいのも考慮すべき)。
もちろん以前から繰り返しお伝えしているように、感染拡大の場となりやすい教育機関ではうがいや手洗い、無用な人混みに足を運ぶことを避ける・マスクを欠かさない、十分な睡眠と栄養管理で身体の抵抗力を強固なものとしておく、体調不良時には「電話で連絡を入れて相談した上で」医療機関におもむくなど、季節性インフルエンザ同様の対応を「確実に行う」「繰り返し行う」ことの大切さを改めて強調しなければならない。これらの対応で、感染拡大は最小限に抑えられるだけでなく、季節性インフルエンザ対策としても十分な役割を果たす。対策の重要性を理解しにくいかもしれない子供達のために、学校で繰り返し啓蒙を行うことが欠かせまい。また、いわゆる「ハイリスク者」に対しての気遣い・備えも十分以上に行う必要がある。
今後年末にかけて、人の往来が激しいところに足を運ぶ機会が多くなる。寒さも身にしみるようになり、体調が怪しくなるリスクも高くなる。今まで以上にインフルエンザ対策、及び健康の管理が求められよう。
■関連記事:
【一般のマスクは新型インフルエンザに効果があるのか無いのか】
【南オーストラリア州の(新型)インフルエンザの感染拡大グラフを検証してみる】

↑ 東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(今年・50週目までも含めた過去5年間)
今回も先週に続き、増加傾向を見せ始めた今年の30週目あたり以降(要は直近)を青丸で囲うことはせずに、直近の減少傾向ぶりを青色の矢印でトレースしている。5週前の「休みの日が一日多いからその影響があるかもしれないが、しばらくぶりに前週比でマイナスを見せた」週以降、減少傾向を継続しているのが確認できる。今回は前回よりも減少率が低下し(前週比78.0%→84.3%)たが、例年のペースに戻りつつあることに違いは無い。
なお前回の減少率が前回掲載時と変わっているのは、報告数そのものが後になって修正(大抵は増加)されているため。一連の定期報告記事では、逐次修正されたデータを反映している。
例年のパターンと比較して「季節性インフルエンザ」の報告数が多少なりとも含まれている可能性を考えれば、直近においては「新型インフルエンザ」の増加に歯止めがかかり、減少を見せている可能性は極めて高い。とはいえ、例年と比べれば(新型・季節性を合わせた)総報告数が多いことに変わりは無く、引き続き警戒を有する状況には違いない。
今データからだけでは判断できないが、例年のパターンと比較すると、今この段階でもインフルエンザ報告例の多くは「新型インフルエンザによるもの」と考えて間違いない。実際に国立感染症研究所の【発表データ】で確認すると、今回計測週の1週前における49週の時点でも、検出されたインフルエンザウイルスのほぼすべてが新型インフルエンザのものであることが把握できる。もちろん、例年のパターンと比べるとすでに「季節性」インフルエンザが広まりを見せる時期なだけに(例えば2007年の事例ならすでに定点あたり7.5前後をつけている)、新型が大部分とはいえ、新型と季節性の双方を合わせたものとして数字を見ていかねばならない。
各週の報告数全体における若年層の割合は、学校生活という特殊な(そして感染がおこりやすい)閉鎖環境で過ごす時間が長いことから、20代までが多い。しかしながら季節性インフルエンザと比べると、とりわけ20代以下の感染割合が多めとなる。逆にいえば30代以上が少ない。今回計測週でもその傾向は維持されている。

↑ 東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1-6週と27-50週)

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、2009年27-50週、積み上げグラフ)
最新の2009年50週では、9歳未満の患者数「割合」は前週から転じて再び増加の傾向(53.1%→54.4%)を見せている。もちろん今週も先週同様に過半数の状態を維持していることに違いは無い。
この年齢階層「だけ」を見れば季節性インフルエンザにおける傾向(流行末期)と同じ水準に達している(今年第6週では54.5%)。しかしながら10-14歳・15-19歳の10代患者の割合の大きさは季節性インフルエンザ単独の時と比べて大きく、中堅層以降(30代以降、水色系統の部分)の報告数比率が小さい状態が維持されている。季節性インフルエンザと比べ、若年層への警戒を強化するべき状況であることを再確認させるデータとなっている。
ただし先週同様に、30代以上(水色系統で着色)の割合が増加しており、新型ではなく季節性インフルエンザの患者数が増えている可能性をも示唆している。報告数そのものの減少と合わせ、確実に事態は変化を見せつつあると考えてよい。
元々厚生労働省の流行シナリオは、乾燥時期の真冬に流行する季節性インフルエンザの流行パターンを、そのまま今年の夏季にスライドしたものであり、乾燥(≒インフルエンザの感染・拡散に大きく影響を及ぼす)については考慮されていなかった。今回のデータを見ると、その予測より一か月ほど後ろにずれこんだ形で、直近のピークに達したのは間違いない(【年内約2550万人・ピーク時で76万人/日が発症・新型インフルエンザの流行シナリオを確認してみる】)とほぼ断じることができる。一方で今後は、季節性インフルエンザの増加による数字の上ぶれが容易に想像できるため、これまで以上に医療機関のキャパシティが気になる(ただでさえ人数が多いのに加え、新型は季節性以上に医療機関の負担が大きいのも考慮すべき)。
もちろん以前から繰り返しお伝えしているように、感染拡大の場となりやすい教育機関ではうがいや手洗い、無用な人混みに足を運ぶことを避ける・マスクを欠かさない、十分な睡眠と栄養管理で身体の抵抗力を強固なものとしておく、体調不良時には「電話で連絡を入れて相談した上で」医療機関におもむくなど、季節性インフルエンザ同様の対応を「確実に行う」「繰り返し行う」ことの大切さを改めて強調しなければならない。これらの対応で、感染拡大は最小限に抑えられるだけでなく、季節性インフルエンザ対策としても十分な役割を果たす。対策の重要性を理解しにくいかもしれない子供達のために、学校で繰り返し啓蒙を行うことが欠かせまい。また、いわゆる「ハイリスク者」に対しての気遣い・備えも十分以上に行う必要がある。
今後年末にかけて、人の往来が激しいところに足を運ぶ機会が多くなる。寒さも身にしみるようになり、体調が怪しくなるリスクも高くなる。今まで以上にインフルエンザ対策、及び健康の管理が求められよう。
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