
まずは感染症名を「インフルエンザ」(新型インフルエンザ+季節性インフルエンザ)に設定し、「5年間比」をクリックした上で「更新」をした結果が次のグラフ。

↑ 東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(2010年1週目までも含めた過去5年間)
今回発表データから2010年のものとなったため、最新データは赤色に違いはないものの、一番左に移行している(矢印で記した部分)。前回が正月休み中だったために観測数が異様に少なく、今回はその反動を見せているものの、全体的な流れとしては減少傾向に違いは無い。例年と比べれば、やや多いという程度。
例年のパターンと比較して「季節性インフルエンザ」の報告数が多少なりとも含まれている可能性も考えれば、直近においては「新型インフルエンザ」の増加の時期は過ぎ、現在減少段階にあると断じてよい(※専門家による言及ではないことに注意)。もちろん引き続き警戒を有する状況には違いない。また、先日【東京都も新型インフルエンザに関する流行警報を解除しており】、これもまた事態の鎮静化を裏付ける一要因として見ることができる。
今データからだけでは判断できないが、例年のパターンと比較すると、今この段階でもインフルエンザ報告例の多くは「新型インフルエンザによるもの」と思われる。実際に国立感染症研究所の【発表データ】で確認すると、いまだに検出されたインフルエンザウイルスのほぼすべてが新型インフルエンザのものであることが把握できる。もちろん、例年のパターンと比べるとすでに「季節性」インフルエンザが広まりを見せる時期であるはずなので、新型が大部分とはいえ、新型と季節性の双方を合わせたものとして数字を見ていかねばならない。
一部報道によれば(【Experts say pandemic could have a silver lining if it knocks out other viruses】や【インフルエンザ 消えた!?「季節性」 「新型」の勢いにおされ淘汰…】)、専門家の間では「今年度は新型インフルエンザの流行で免疫学的・予防の面で季節型インフルエンザの流行が相当抑制される可能性がある」とのこと。実際に上記の「国立感染症研究所」のデータもそれを裏付けていることもあり、今後の動向に注目していく必要がある。
各週の報告数全体における若年層の割合は、学校生活という特殊な(そして感染がおこりやすい)閉鎖環境で過ごす時間が長いことから、20代までが多い。しかしながら季節性インフルエンザと比べると、新型インフルエンザはとりわけ20代以下の感染割合が多めとなる。逆にいえば30代以上が少ない(【60歳以上の新型インフル感染、20―30代の5分の1以下】という話もある)。

↑ 東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1-6週と27-53週、2010年1週)

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、2009年27-53週と2010年1週、積み上げグラフ)
最新の2010年1週では、9歳未満の患者数「割合」は前週からさらに減少の傾向(36.5%→31.9%)を見せている。すでに過半数を割り込んでいること、減少傾向を継続していること、逆に中堅層以降(30代以降、水色系統の部分)の報告数比率が増加している状況を見ると、季節性インフルエンザのそれに類する形(昨年の第1週とほぼ同じ)となっており、年齢構成比率的にも季節性にインフルエンザ流行のバトンがタッチされた感はある。もちろん、20代までの若年層が多数を占めている状況に違いは無く、若年層への警戒は強化しなければならない。
元々厚生労働省の流行シナリオは、乾燥時期の真冬に流行する季節性インフルエンザの流行パターンを、そのまま今年の夏季にスライドしたものであり、乾燥(≒インフルエンザの感染・拡散に大きく影響を及ぼす)については考慮されていなかった。しかし実際には、その予測より一か月ほど後ろにずれこんだ形で、直近のピークに達したのは間違いない(【年内約2550万人・ピーク時で76万人/日が発症・新型インフルエンザの流行シナリオを確認してみる】)。
新型インフルエンザは直近では抑えられたようではあるが、今後季節性インフルエンザが例年通りの猛威をふるうのであれば、季節性インフルエンザの増加による数字の上ぶれが想像できる。しかし上記にあるように、季節性インフルエンザそのものが抑えられている可能性もかなりあり、今後の検証のためにも報告数動向にはこれまで以上に注意を払う必要がある。もちろん冬場の寒さ・乾燥状態の進行(※ウイルスが広まりやすい)で新型インフルエンザの勢いが再び活性化する可能性は「ゼロとは言い切れない」点でも注意が必要。
もちろん以前から繰り返しお伝えしているように、感染拡大の場となりやすい教育機関ではうがいや手洗い、無用な人混みに足を運ぶことを避ける・マスクを欠かさない、十分な睡眠と栄養管理で身体の抵抗力を強固なものとしておく、体調不良時には「電話で連絡を入れて相談した上で」医療機関におもむくなど、季節性インフルエンザ同様の対応を「確実に行う」「繰り返し行う」ことの大切さを改めて強調しなければならない。これらの実行で、感染拡大は最小限に抑えられるだけでなく、季節性インフルエンザ対策としても十分な役割を果たす(今年は実際、その効果が表れているようだ)。
対策の重要性を理解しにくいかもしれない子供達のために、学校で繰り返し啓蒙を行うことが欠かせまい。また、いわゆる「ハイリスク者」に対しての気遣い・備えも十分以上に行う必要がある。これからますます寒さも厳しくなり、体調不良に陥るリスクも高くなる。今まで以上にインフルエンザ対策、及び健康の管理が求められる。
さらに過去のパンデミックの事例を見る限り、インフルエンザなどの世界的流行においては、初年度よりも翌年度の方が状況が深刻化する可能性も十分にある。備えと観測は継続する必要があると断じることができよう。

↑ 東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(2010年1週目までも含めた過去5年間)
今回発表データから2010年のものとなったため、最新データは赤色に違いはないものの、一番左に移行している(矢印で記した部分)。前回が正月休み中だったために観測数が異様に少なく、今回はその反動を見せているものの、全体的な流れとしては減少傾向に違いは無い。例年と比べれば、やや多いという程度。
例年のパターンと比較して「季節性インフルエンザ」の報告数が多少なりとも含まれている可能性も考えれば、直近においては「新型インフルエンザ」の増加の時期は過ぎ、現在減少段階にあると断じてよい(※専門家による言及ではないことに注意)。もちろん引き続き警戒を有する状況には違いない。また、先日【東京都も新型インフルエンザに関する流行警報を解除しており】、これもまた事態の鎮静化を裏付ける一要因として見ることができる。
今データからだけでは判断できないが、例年のパターンと比較すると、今この段階でもインフルエンザ報告例の多くは「新型インフルエンザによるもの」と思われる。実際に国立感染症研究所の【発表データ】で確認すると、いまだに検出されたインフルエンザウイルスのほぼすべてが新型インフルエンザのものであることが把握できる。もちろん、例年のパターンと比べるとすでに「季節性」インフルエンザが広まりを見せる時期であるはずなので、新型が大部分とはいえ、新型と季節性の双方を合わせたものとして数字を見ていかねばならない。
一部報道によれば(【Experts say pandemic could have a silver lining if it knocks out other viruses】や【インフルエンザ 消えた!?「季節性」 「新型」の勢いにおされ淘汰…】)、専門家の間では「今年度は新型インフルエンザの流行で免疫学的・予防の面で季節型インフルエンザの流行が相当抑制される可能性がある」とのこと。実際に上記の「国立感染症研究所」のデータもそれを裏付けていることもあり、今後の動向に注目していく必要がある。
各週の報告数全体における若年層の割合は、学校生活という特殊な(そして感染がおこりやすい)閉鎖環境で過ごす時間が長いことから、20代までが多い。しかしながら季節性インフルエンザと比べると、新型インフルエンザはとりわけ20代以下の感染割合が多めとなる。逆にいえば30代以上が少ない(【60歳以上の新型インフル感染、20―30代の5分の1以下】という話もある)。

↑ 東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1-6週と27-53週、2010年1週)

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、2009年27-53週と2010年1週、積み上げグラフ)
最新の2010年1週では、9歳未満の患者数「割合」は前週からさらに減少の傾向(36.5%→31.9%)を見せている。すでに過半数を割り込んでいること、減少傾向を継続していること、逆に中堅層以降(30代以降、水色系統の部分)の報告数比率が増加している状況を見ると、季節性インフルエンザのそれに類する形(昨年の第1週とほぼ同じ)となっており、年齢構成比率的にも季節性にインフルエンザ流行のバトンがタッチされた感はある。もちろん、20代までの若年層が多数を占めている状況に違いは無く、若年層への警戒は強化しなければならない。
元々厚生労働省の流行シナリオは、乾燥時期の真冬に流行する季節性インフルエンザの流行パターンを、そのまま今年の夏季にスライドしたものであり、乾燥(≒インフルエンザの感染・拡散に大きく影響を及ぼす)については考慮されていなかった。しかし実際には、その予測より一か月ほど後ろにずれこんだ形で、直近のピークに達したのは間違いない(【年内約2550万人・ピーク時で76万人/日が発症・新型インフルエンザの流行シナリオを確認してみる】)。
新型インフルエンザは直近では抑えられたようではあるが、今後季節性インフルエンザが例年通りの猛威をふるうのであれば、季節性インフルエンザの増加による数字の上ぶれが想像できる。しかし上記にあるように、季節性インフルエンザそのものが抑えられている可能性もかなりあり、今後の検証のためにも報告数動向にはこれまで以上に注意を払う必要がある。もちろん冬場の寒さ・乾燥状態の進行(※ウイルスが広まりやすい)で新型インフルエンザの勢いが再び活性化する可能性は「ゼロとは言い切れない」点でも注意が必要。
もちろん以前から繰り返しお伝えしているように、感染拡大の場となりやすい教育機関ではうがいや手洗い、無用な人混みに足を運ぶことを避ける・マスクを欠かさない、十分な睡眠と栄養管理で身体の抵抗力を強固なものとしておく、体調不良時には「電話で連絡を入れて相談した上で」医療機関におもむくなど、季節性インフルエンザ同様の対応を「確実に行う」「繰り返し行う」ことの大切さを改めて強調しなければならない。これらの実行で、感染拡大は最小限に抑えられるだけでなく、季節性インフルエンザ対策としても十分な役割を果たす(今年は実際、その効果が表れているようだ)。
対策の重要性を理解しにくいかもしれない子供達のために、学校で繰り返し啓蒙を行うことが欠かせまい。また、いわゆる「ハイリスク者」に対しての気遣い・備えも十分以上に行う必要がある。これからますます寒さも厳しくなり、体調不良に陥るリスクも高くなる。今まで以上にインフルエンザ対策、及び健康の管理が求められる。
さらに過去のパンデミックの事例を見る限り、インフルエンザなどの世界的流行においては、初年度よりも翌年度の方が状況が深刻化する可能性も十分にある。備えと観測は継続する必要があると断じることができよう。
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