期待イメージフライシュマン・ヒラード・ジャパンは2010年2月18日、高校3年生以下の子供を持つ母親に対する、インフルエンザに関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、対新型も含めたインフルエンザワクチンの効果について、正しい情報を把握していない可能性が高いことが分かった。ワクチンの効果持続期間・幼児に対する阻止効果の双方において、過大評価をしている人が半数前後に達していた。特に幼児に対する阻止効果においては、56.8%の人が過度の期待をしているという結果が出ている。



今調査は2010年2月8日から10日にかけて高校3年生以下の子供を持つ母親に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は500人。年齢階層比などは非公開。

【東京都におけるインフルエンザ報告数(2010年2月18日版)】にもあるように直近では沈静化を見せつつある、新型インフルエンザをはじめとするインフルエンザ。もっとも注目を集めた「ワクチン」に関する情報は、錯綜を続けていたのは御承知の通り。情報不足を端に発する(とはいえ元々「新型」なのだから情報が不足するのは当然なのだが)半ばヒステリックなまでの反応と、さらにそれを煽る報道のおかげで、医療現場も接種対象者も混乱を極めたのは御承知の通り(【職場や学校の混乱の押しつけ・マスコミの扇動……医療機関が感じる新型インフル患者の特徴】)。

当然、正しい情報も「その他多数の疑わしい情報」にまぎれ、公知が行き届かなかった部分もある。それを実感できるのが、今回の調査結果。まずインフルエンザワクチンを接種することで得られる予防効果(ワクチンはあくまでも「予防効果」を得られるのであり、「治療効果」は無い)の持続期間に関する問いでは、正解期間である5か月を回答できたのは5.0%でしかなかった。

↑ インフルエンザワクチン接種による効果が有効な期間はどれくらいか
↑ インフルエンザワクチン接種による効果が有効な期間はどれくらいか

過小評価の場合は「なんだ、まだ継続するのネ」で済むから良いとしても、過大評価の場合は「まだ継続すると思ったのに……」と油断し、感染してしまう可能性を秘めている。その観点からすると、過小評価より過大評価の方が問題といえるのだが、その部類に属する人は44.6%に達している。「わからない」の15.4%とあわせると、実に6割の人が有効期間を正しく認識出来ていないことになる。

今調査母体も含め、もっとも強い関心をいだき、反応を示した1-6歳未満の幼児を持つ母親には一番気になる要項、「インフルエンザワクチンで1-6歳未満の幼児で発病を阻止する効果はどの程度か」についても、正しく把握できている人の割合は似たようなもの。

↑ インフルエンザワクチンで1-6歳未満の幼児で発病を阻止する効果はどの程度か
↑ インフルエンザワクチンで1-6歳未満の幼児で発病を阻止する効果はどの程度か

正解は20-30%未満。過小評価を含めても7.6%しか該当者がいない。過大評価をする人は56.8%に達し、分からない人も35.6%。合わせて92.4%と、ほとんどの人が「インフルエンザワクチンで1-6歳未満の幼児で発病を阻止する効果」について正しい知識を持っていないことが分かる。



間違った情報はさらなる誤解だけでなく、それを元にした現実の問題点を引き起こしたり、正しい情報が広まることを阻害する影響も持ち合わせている。複数の誤情報が広まると、それを聞いた人はどれが正しい情報か分からず、判断力を失ってしまいかねない。それが元に過剰反応を引き起こす可能性もあり、現場における混乱の元となる。

扇動報道に惑わされることなく、公的機関などの情報を元に、各自適切な判断を心がけてほしいものである。