お医者さんイメージ厚生労働省は2010年3月16日、「受療行動調査の概況」を発表した。それによると入院や外来で病院を選択する際にもっとも多く利用されている情報源は「医師による紹介」であることが分かった。外来は43.1%・入院では58.8%の人が、医師の紹介が病院選択の際の情報源になったと答えている。次いで多いのは「家族・友人・知人」からの情報で、インターネットや行政機関からの情報はほとんど用いられていないことも確認できる(【発表リリース】)。



今調査は全国の医療施設を利用する患者について、受療の状況や受けた医療に対する満足度等を調査することにより、患者の医療に対する認識や行動を明らかにし、今後の医療行政の基礎資料を得ることを目的に行われたもの。調査期間は2008年10月21日から23日の3日間。調査方法は調査票の配布と回収(一部郵送による提出あり)。有効回答数は15万4185件、うち外来患者は10万0946人、入院患者は5万3239人。

緊急入院する場合は別として、何らかの疾病で外来・入院を問わず病院にお世話になる際には、どの病院を選ぶかについて色々と下調べをすることになる。自宅から近い方が良いのか、それとも職場か、あるいは良病院として有名なところにするか、自分の疾病では著名な場所にするかなど、選択をする時には少しでも情報は多い方が良い。そこで外来患者・入院患者双方に、現在使っている病院を選んだ時に使った情報源について複数回答で尋ねたところ、もっとも多かったのは外来・入院共に「医師による紹介」だった。

↑ 患者(外来・入院)の病院を選択する際の情報源(複数回答)
↑ 患者(外来・入院)の病院を選択する際の情報源(複数回答)

特に入院では大きな値となっているが、これは別の病院で「入院が必要。この病院なら安心して入院治療が受けられる(体制が整っている、専門医がいる)」という感じで紹介される場合が多いからと推定される。通院している場所で、紹介状と共に別の病院を紹介された経験のある人も多いはずだ。

続いて多いのは「家族・友人・知人」。これは多分に「その病院の外来・入院経験がある」を意味する。第三者的な情報だけなら自分自身でも取得は可能だが、実体験による「生の声」は本人からしか聞けないし、何よりも「確からしい」情報である。

一方、「ポスターやパンフレットなどの広告」「ホームページ」などはごく少数派。「その他」に含まれるであろう雑誌記事などよりも低い値でしか無い。

もっともこれらはあくまでも全体値であり、病院の規模や性質によって幾分の違いが出てくる。

↑ 患者(入院)の病院を選択する際の情報源(病院種類別、複数回答)
↑ 患者(入院)の病院を選択する際の情報源(病院種類別、複数回答)

「特定機能病院」では「医師による紹介」がずば抜けて高い。これは前述の通り、「その場所でないと出来ない治療法」をしてもらうために紹介されたのがその理由。

他方、病院の規模別で見ると、

・「病院の相談窓口」「家族・友人・知人」は病院規模が小さくなるほど増えていく。
・「医師による紹介」は病院規模が大きくなるほど増えていく。

という傾向が確認できる。また、「ホームページ」「チラシ」「番組」はほとんど差異がない。よほどの名医でもいないかぎり、医者が他の病院を紹介する際には大きな場所を選ぶのは当然であるし、口コミなどではファミリー的な雰囲気を感じとれる小規模な病院を選ぶのも納得がいくというものだ。

ちなみに当方(不破)の場合は、「医師による紹介」と「インターネット上での病院自身のウェブサイト」が情報源となった。今調査は2008年10月時点のものなので、ネット環境が一層浸透している現在では、もう少しインターネット関係(ウェブサイト、あるいは口コミサイト)の値が増えているかもしれない。



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