
まずは感染症名を「インフルエンザ」(新型インフルエンザ+季節性インフルエンザ)に設定し、「5年間比」をクリックした上で「更新」をした結果が次のグラフ。

↑ 東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(2010年11週目までも含めた過去5年間)
数週間前から発表データが2010年のものに更新されているため、最新データは赤色に違いはないものの、一番左に移行している(青い矢印でなぞった部分)。数字の動きとしては数週間来継続して減少を続けているのが分かる。報告数そのものも少なめで、定点あたりの人数はほぼゼロに近い状態にまで近づいている(観測数合計89に対して定点数は283。定点数あたり平均は0.314)。
例年の患者数推移傾向と比較して、「季節性インフルエンザ」の報告数が多少なりとも含まれている可能性も考えれば、直近においては「新型インフルエンザ」の増加の時期は過ぎ去り、現在は収束状態に等しいと断じてよい(※専門家による言及ではないことに注意。また前回は「終息」と表記したが、今件新型インフルエンザが完全に季節性のものと同等までリスクが減少したとは言い切れないので、表現を改めている)。もちろんゼロになったわけではないので、注意を要する状況には違いないものの、過敏に反応するほどのものではない。
今データからだけでは判断できないが、例年のパターンと比較すると、すでに現在は季節性インフルエンザですら峠を過ぎた時期に該当したものと見て問題はないようだ。しかしこの段階でもインフルエンザ報告例の多くは「新型インフルエンザによるもの」と思われる。実際に国立感染症研究所の【発表データ】で確認すると、いまだに検出されたインフルエンザウイルスの多くが新型インフルエンザのものであることが分かる(そもそも論として報告数が激減し、流行時期が過ぎ去っていることも事実)。
専門家らからは「新型インフルエンザの流行初年度にあたる2010年3月末までの今年度は、免疫学的・予防の面で新型におされる形で季節型インフルエンザの流行が相当抑制される可能性がある」と指摘されている。上記の「国立感染症研究所」のデータもそれを裏付けるものであり、今回期だけでなく数年、数十年単位の、という意味での「今後」の検証のためにも、興味深い傾向として注目していく必要がある。また、日本だけでなく海外でも同様の現象が起きていること、過去にもあったことが確認されている。
各週の報告数全体における若年層の割合は、学校生活という特殊な(そして感染がおこりやすい)閉鎖環境で過ごす時間が長いことから、20代までが多かった。しかしその割合は最新データでは、季節性インフルエンザのそれに近いもの、実質的にほぼ同等の域となっている(併記している2009年初頭のと比較してほしい。そもそも論として絶対数が少ないので、数字上のぶれが生じてすらいるが)。これもまた後述するように「新型インフルエンザが今や他のインフルエンザ同様に『季節性インフルエンザ』の一つになった」可能性を示唆する材料といえる。

↑ 東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1-6週と27-53週、2010年11週まで)

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、2009年27-53週と2010年11週まで、積み上げグラフ)
このような動きを見ると年齢階層別報告数の面でも、「新型が”季節性を食った””季節性に加わった”可能性」は否定できない。今後の、特に今年の夏以降の動向の検証のためにも報告数の動きにはこれまで同様に注意を払う必要がある。一方でグラフを見る限りでは、その「食った」現象のせいか、今年度は例年より早く「(新型も含めた)インフルエンザの流行」は終焉を迎えているようにも見える。
以前から繰り返しお伝えしているように、感染拡大の場となりやすい教育機関では「日常の健康管理のためにも」うがいや手洗いを忘れずに行うこと、十分な睡眠と栄養管理で身体の抵抗力を強固なものとしておく、体調不良時には「電話で連絡を入れて相談した上で」医療機関におもむくなど、季節性インフルエンザ同様の対応を「確実に行う」「繰り返し行う」ことの大切さを強調しなければならない。これらの実行で、感染拡大は最小限に抑えられるだけでなく、季節性インフルエンザ対策、さらには日常の健康管理としても十分な役割を果たす(今年度、特に今年に入ってからインフルエンザの総計数が低め、そして終焉時期が早まったのは、その効果が表れているものと思われる)。
過去のパンデミックの事例(先のスペイン風邪など)を見る限り、世界的流行においては、初年度よりも翌年度、つまり去年よりも今年の方が状況が深刻化する可能性も否定できない。直近では「嵐は過ぎ去った」とはいえ、備えと観測は継続する必要があるといえよう。

↑ 東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(2010年11週目までも含めた過去5年間)
数週間前から発表データが2010年のものに更新されているため、最新データは赤色に違いはないものの、一番左に移行している(青い矢印でなぞった部分)。数字の動きとしては数週間来継続して減少を続けているのが分かる。報告数そのものも少なめで、定点あたりの人数はほぼゼロに近い状態にまで近づいている(観測数合計89に対して定点数は283。定点数あたり平均は0.314)。
例年の患者数推移傾向と比較して、「季節性インフルエンザ」の報告数が多少なりとも含まれている可能性も考えれば、直近においては「新型インフルエンザ」の増加の時期は過ぎ去り、現在は収束状態に等しいと断じてよい(※専門家による言及ではないことに注意。また前回は「終息」と表記したが、今件新型インフルエンザが完全に季節性のものと同等までリスクが減少したとは言い切れないので、表現を改めている)。もちろんゼロになったわけではないので、注意を要する状況には違いないものの、過敏に反応するほどのものではない。
今データからだけでは判断できないが、例年のパターンと比較すると、すでに現在は季節性インフルエンザですら峠を過ぎた時期に該当したものと見て問題はないようだ。しかしこの段階でもインフルエンザ報告例の多くは「新型インフルエンザによるもの」と思われる。実際に国立感染症研究所の【発表データ】で確認すると、いまだに検出されたインフルエンザウイルスの多くが新型インフルエンザのものであることが分かる(そもそも論として報告数が激減し、流行時期が過ぎ去っていることも事実)。
専門家らからは「新型インフルエンザの流行初年度にあたる2010年3月末までの今年度は、免疫学的・予防の面で新型におされる形で季節型インフルエンザの流行が相当抑制される可能性がある」と指摘されている。上記の「国立感染症研究所」のデータもそれを裏付けるものであり、今回期だけでなく数年、数十年単位の、という意味での「今後」の検証のためにも、興味深い傾向として注目していく必要がある。また、日本だけでなく海外でも同様の現象が起きていること、過去にもあったことが確認されている。
各週の報告数全体における若年層の割合は、学校生活という特殊な(そして感染がおこりやすい)閉鎖環境で過ごす時間が長いことから、20代までが多かった。しかしその割合は最新データでは、季節性インフルエンザのそれに近いもの、実質的にほぼ同等の域となっている(併記している2009年初頭のと比較してほしい。そもそも論として絶対数が少ないので、数字上のぶれが生じてすらいるが)。これもまた後述するように「新型インフルエンザが今や他のインフルエンザ同様に『季節性インフルエンザ』の一つになった」可能性を示唆する材料といえる。

↑ 東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1-6週と27-53週、2010年11週まで)

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、2009年27-53週と2010年11週まで、積み上げグラフ)
このような動きを見ると年齢階層別報告数の面でも、「新型が”季節性を食った””季節性に加わった”可能性」は否定できない。今後の、特に今年の夏以降の動向の検証のためにも報告数の動きにはこれまで同様に注意を払う必要がある。一方でグラフを見る限りでは、その「食った」現象のせいか、今年度は例年より早く「(新型も含めた)インフルエンザの流行」は終焉を迎えているようにも見える。
以前から繰り返しお伝えしているように、感染拡大の場となりやすい教育機関では「日常の健康管理のためにも」うがいや手洗いを忘れずに行うこと、十分な睡眠と栄養管理で身体の抵抗力を強固なものとしておく、体調不良時には「電話で連絡を入れて相談した上で」医療機関におもむくなど、季節性インフルエンザ同様の対応を「確実に行う」「繰り返し行う」ことの大切さを強調しなければならない。これらの実行で、感染拡大は最小限に抑えられるだけでなく、季節性インフルエンザ対策、さらには日常の健康管理としても十分な役割を果たす(今年度、特に今年に入ってからインフルエンザの総計数が低め、そして終焉時期が早まったのは、その効果が表れているものと思われる)。
過去のパンデミックの事例(先のスペイン風邪など)を見る限り、世界的流行においては、初年度よりも翌年度、つまり去年よりも今年の方が状況が深刻化する可能性も否定できない。直近では「嵐は過ぎ去った」とはいえ、備えと観測は継続する必要があるといえよう。
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