よくかむ厚生労働省は2010年12月7日、「平成21年国民健康・栄養調査結果の概要」を発表した。それによると男女ともに肥満体形にある人の方が、そうでない人と比べて早食いの割合が多いことが分かった。男性の場合、やせ形の人で早食いの人は3割強しかいないのに対し、肥満体系の人は6割強に達している(【発表リリース】)。



今調査は健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素等摂取量及び生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。今回調査分では調査実施世帯数は3785世帯で、調査方法は問診及び計測調査による。生活習慣部分は留め置き法による自記式質問紙調査。

今調査母体のうち、BMI値が測定出来た人を肥満(BMI>=25.0)・普通(18.5<=BMI<25.0)・やせ(BMI<18.5)に区分。その上でそれぞれの「食事を食べる速さ」について、「かなり速い」「やや速い」「ふつう」「やや遅い」「かなり遅い」の選択肢から回答してもらい、「かなり速い」「やや速い」を「速い」、「やや遅い」「かなり遅い」を「遅い」区分に振り分け、「体格」と「食事を食べる速さ」の関係をグラフ化したのが次の図。

↑ 体格別・食べる速さの状態(20歳以上・男性)
↑ 体格別・食べる速さの状態(20歳以上・男性)

↑ 体格別・食べる速さの状態(20歳以上・女性)
↑ 体格別・食べる速さの状態(20歳以上・女性)

まず第一に気が付くのは、「青」よりも「オレンジ」の方が多いこと。つまり全般的に「早食い傾向」が確認できるということ。そしてどちらかといえば女性より男性の方が早食い傾向が強いことが分かる。そして何よりも、やせ型より肥満型の人の方が「遅いが少なく」「速いが多い」。つまり「肥満型ほど早食いの人が多い」のが見て取れる。

もちろんこれだけで「早食いするほど肥満になりやすい」ことが証明されるわけではない。あくまでも相関関係の立証であり、因果関係までの判断は出来ないからだ。ただし【よくかむ(ダイエット倶楽部)】で解説している通り、よくかんでゆっくりと食事をすることで、少ない食事量でも満腹感を得ることができるため、結果的に「よくかむ=遅食=小食」「あまりかまない=早食い=大食い」となる傾向があると見るのが自然。自分が早食いだと認識している人は、まずはもう少し一口あたりに「かむ」回数を意識的に増やしてみてはいかがだろうか。