禁煙日本能率協会総合研究所は2011年2月4日、がんと免疫などに関するアンケート調査結果を発表した。それによると調査母体においては、がん予防のために実践している事柄で最も多いのは「禁煙」だった。性別で見ると女性ではそれ以上に「ストレスを抱えない」「食生活の改善」が上位についている。ただし「特にない」とする回答がどの具体的回答項目よりも多く、知識として「がん予防」を知っていても実践率は今一つである状況がうかがえる結果となっている(【発表リリース、PDF】)。



今調査は2010年12月21日から27日にかけて20-69歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は1対1、年齢階層は20代から60代まで10歳区切りで均等割り当て。

【日本人の「3人に2人が『がん』になる」「2人に1人が『がん』で亡くなる」・がんの2015年問題とは】【「日本人の死因トップはがん、中でも肺がんが多い」知らない人は6割】などにもあるように、統計上でも「がん」は身近な病気。今調査母体でも6割近くの人が「自分もがんを発症する可能性がある」と認識している。

↑ 将来自分ががんになる可能性
↑ 将来自分ががんになる可能性(再録)

また、がん予防に有効であるとして知られている項目のトップは「禁煙」で、全体的に男性よりも女性の方が高い認知度を見せている。

↑ がん予防に有効と知っているもの(複数回答)
↑ がん予防に有効と知っているもの(複数回答)(再録)

それではそれらの「がん予防に有効だと思われる事柄」は、どの程度実践されているのだろうか。心がけていることについて同じ項目を提示して、複数回答で答えてもらったのが次のグラフ。全体では最多回答率は「喫煙」が位置していることには違いないものの、実践している人は3割足らずでしか無い。

↑ がん予防のために心がけていること(複数回答)
↑ がん予防のために心がけていること(複数回答)

「知っていること」だけでなく「心がけている」でも、男性より女性の方が積極的な姿勢を見せているのが分かる。「禁煙」「お酒」など、いわゆる「飲む」方面ですら、男性とほぼ変わらない値を見せている。

他方気になるのは一番右、「特にない」の項目。全体で約4割の人が「がん予防を意識してしていることは何も無い」としている。「がん予防に有効と知っているもの」の設問で「知らない」との回答は1割だったので、9割の人は何らかの方法を知っていることになる。にも関わらず4割が無実践。意識することと実践することはまた別の問題で、問題の難しさが見て取れる。



やや余談になるが、「がん予防に有効と知っているもの」の認知率に「心がけているもの(実践率)」を乗じることで、「がん予防の行動実践率」が計算できる。つまり「知っている人のうちどれほどの人が、実際にそのがん予防行動をしているか」ということだ(知らない人もその行動をしているかもしれないが、その行動が「がん予防」にプラスとなることは知らないので、「がん予防として心がけている」という回答はできないことになる)。

↑ がん予防の行動実践率(心がけている割合÷知っている割合)(複数回答)
↑ がん予防の行動実践率(心がけている割合÷知っている割合)(複数回答)

例えば「禁煙」なら、「禁煙ががん予防につながる」と知っている人の半数強が「だから実際に禁煙しています」と回答していることになる。

これを見ると、「免疫力を高める」は摂取食品の認知の問題があるから仕方ないが、「定期的ながん検診」が少なめなのが気になる。やはり【女性の乳がん検診、ハードルは「費用」】などでも触れたように、乳がん検診のハードルとして「検診費用」が立ちはだかっているのが問題なのだろう。


■関連記事:
【「がん」を怖い病気だと思う人は9割近く】



スポンサードリンク