夏の暑さ【「家庭での節電計画を分かりやすく・スマートに」を考えてみる】などにもあるように、今般東日本大地震やその震災などの影響を受け、少なくとも今夏は電力需給が非常に厳しい状態にある。エアコンなどの冷房機器の使用を控える、設定温度を上げる動きも各所で見られるが、それと共に気になるのが「熱中症」のリスク。すでに【気象庁、熱中症対策関連の気象情報提供拡充へ】などをはじめ、各官公庁も夏期到来に向けてさまざまな動きを見せ始めている。そこで今回は、「熱中症」について当方なりにまとめて見ることにした。まずは熱中症の「定義」について。



「熱中症」の定義だが、環境省の最新解説ページ【熱中症環境保健マニュアル(2011年5月改訂版)】によれば、次の通りとなる。

高温環境下で、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして、発症する障害の総称です。

私たちの体では運動や体の営みによって常に熱が産生されますが、同時に、私たちの体には、異常な体温上昇を抑えるための、効率的な調節機構も備わっています。暑い時には、自律神経を介して末梢血管が拡張します。そのため皮膚に多くの血液が分布し、外気への「熱伝導」による体温低下を図ることができます。また汗をたくさんかけば、「汗の蒸発」に伴って熱が奪われますから体温の低下に役立ちます。汗は体にある水分を原料にして皮膚の表面に分泌されます。このメカニズムも自律神経の働きによります。

このように私たちの体内で血液の分布が変化し、また汗によって体から水分や塩分(ナトリウムなど)が失われるなどの状態に対して、私たちの体が適切に対処できなければ、筋肉のこむらがえりや失神(いわゆる脳貧血:脳への血流が一時的に滞る現象)を起こします。そして、熱の産生と「熱伝導と汗」による熱の放出とのバランスが崩れてしまえば、体温が著しく上昇します。このような状態が熱中症です。

非常にざっくりと表現すれば「身体のバランスが破綻し、身体内に熱がこもってしまい体温が上昇する状態」を意味する。言葉通り「熱(が)中(にこもる)症(状)」なわけだ。本来ならそのような状態を避けるべく、人には色々と熱を放出する(体温を調整する機能が備わっている。しかしそれが過負荷を起こしたり、働きにくくなったりすると、熱中症にかかりやすくなる。

熱中症の症状としては、その重度により

・I度……涼しい場所で身体を冷やし、水分を与える。改善が無ければ病院へ
 めまい・失神(熱失神)
 筋肉痛・筋肉の硬直(こむら返り、熱けいれん)
 大量の発汗
・II度……自分で水分や塩分を摂れない時は病院へ搬送
 頭痛・気分の不快・吐き気・おう吐・倦怠感・虚脱感(熱疲労)
・III度……病院へ搬送
 意識障害・けいれん・手足の運動障害
 高体温(熱射病、重度の日射病)

に区分される。よく「足がつる」人の話を聞くが(かつての当方含む)、その起因の一つが「熱中症」でもあるわけだ(こむら返りの大きな起因はミネラル分が不足することによる筋肉のトラブル。熱中症以外にも疲労による場合もある。また薬の副作用や病気によって引き起こされる場合も考えられる)。

なお以前「日射病」という言葉がよく使われていたが、これは熱中症のうち「熱射病」、中でも太陽光を起因としたものに限定される。


■一連の記事:
【熱中症についてまとめてみる…1)定義】
【熱中症についてまとめてみる…2)各種データのグラフ化】
【熱中症についてまとめてみる…3)対策とWBGT】
【熱中症についてまとめてみる…4)パンフレットなど】



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