「緊急情報キット」先日姉妹サイトの【「ライトニング・ストレージ」の記事】でも紹介したが、かかりつけの医療機関、処方せんなどの各種医療系情報を集約したパッケージを冷蔵庫に保管しておく、「緊急情報キット」(救急情報キット、など名前はいくつかある)というツールの存在・考え方を知ることができた。【6月の熱中症での病院搬送者、去年の3.07倍・6980人に】などにもあるように、今年の特殊事情で室内で熱中症となる高齢者の数が増加していることから、活用される機会は今後も増加するものと思われる。今回は情報の再整理も合わせ、当方居住地区である東京都・練馬区の資料を中心に紹介していくことにしよう。




↑ 「冷蔵庫にもしもの備え「緊急情報キット」(練馬区のものではない) 。
↑ 「冷蔵庫にもしもの備え「緊急情報キット」(練馬区のものではない) 。

東京都練馬区では【「救急情報キット」を希望者に配付しています】というページを設け、「救急情報キット」についての説明が行われている。それによると、

●概要説明
安心して暮らせる地域づくりを推進するため、ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯の方、障害をお持ちの方、健康に不安を抱える方に、「救急情報キット」を配付しています。

救急情報キットは、救急および緊急時に迅速な支援が行えるよう、緊急連絡先やかかりつけ医などの情報を専用の容器に入れ、自宅の冷蔵庫に保管することで、万一の場合に備えることを目的とするものです。

●救急情報キットの使い方
1. 救急情報などを救急情報キット容器の中に入れて、冷蔵庫に保管しておきます。冷蔵庫は、台所にあるので救急隊が見つけやすいためです。
2. 玄関ドアの内側と冷蔵庫のドアに、「救急情報キット」のあることを示すステッカーを貼ります。
3. 救急車を呼び、救急隊が来た時に、救急隊員は、玄関や冷蔵庫のステッカーを見て、「救急情報キット」があることを知り、必要に応じて冷蔵庫を開け、救急情報などを確認します。
4. 救急情報などを参考に、迅速かつ適切な救急活動を行います。

●救急情報キットに入れるもの
1. 救急情報(かかりつけ医や持病、薬の内容などを記入)
2. 写真(本人の確認ができるもの)
3. 健康保険証の写し
4. かかりつけ医の診察券の写し
5. 普段飲んでいる、お薬の説明書の写し

とある。

考え方としては上の動画や練馬区の説明で大体理解できるはずだが、「電話をした本人が、救急隊が駆け付けた時に応対が難しい状態になっている」「周囲の人が異変に気がついて救急隊が派遣されたが、本人は応対が困難な状態だった」などの場合、その要救助者本人の医療関係の情報をすぐに正しく把握し、その後の対応・救命を迅速に行うようにするのが目的。

練馬区の救急情報キットまた冷蔵庫に色々な情報をまとめ、一つの容器に納めておくのは、「冷蔵庫ならば第三者である救急隊員が初見の室内に入っても、場所がすぐにわかる」「一つの容器に各種情報をまとめておけば、あちこち探し回る必要性が無い」などの長所があるため。さらに上記説明には無いが、冷蔵庫は頻繁に開け閉めする場所であり、内容の確認や最新情報への差し替えも容易であると共に、思い返しによる確認も手間がかからないというポイントがある。

指摘されれば「確かにその通り」で、まさにコロンブスの卵的なところもある。発想としては極めてすぐれている。有益に使われる事態が起きないのが一番だが、発生したとしても、今セット・キットが配されていれば、確実にリスクを減らすことが可能となる。治療を行う際には、薬の飲み合わせなど気を付けねばならないことは多いし、持病などの各種情報、さらにかかりつけの医師が居れば確認を取ることもできるからだ。



やや残念なのは、今回参考にした練馬区の場合、「配付予定数量が無くなった時点で、救急情報キットの配付は終了させていただきます」との表記があること。一度冷蔵庫に配されれば無くなることは滅多にないが、毎年新たに定年を迎えたり一人暮らしをはじめる高齢者が現れるなどで、需要は必ず創生される。また、必要なのは高齢者に限らない事も考えれば、期限・個数制限を設けるべきではないだろう。年金を手続きする機関や医療機関経由でも配布するのが望ましい。

また、「渡してハイおしまい」ではなく、具体的に設置するまでアドバイスを行うサービスを用意したり、配置方法に関しての講習をボランティアやNPOに対して行うなど、確実に活用され得る環境の整備も求めたいところ。

せっかく有益なアイディアなのだから、「いざ」という時により確実に役に立つよう、打てる手はすべて打っておくのが上策といえよう。



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