薬QLife(キューライフ)は2011年12月15日、「長引く咳(せき)」に関する実態調査結果を発表した。それによると調査母体においては、1週間以上長引く咳を体験したことがある人は5割強に達していることが分かった。それら「長引く咳」の経験者のうち、それを起因として病院を受診した人は7割足らずでしかなかった。この受診者・未受診者双方に「(受診以外に)何か対処をしたか」と聞いたところ、もっとも多い回答は「市販薬の服用」で4割強に達していた。この「4割強」は病院を受診しようがしまいがほぼ同率の結果が出ており、「病院を受診して処方を受けたとしても」市販薬を併用している人が多いという事実がうかがえる(【発表リリース、PDF】)。



今調査は2011年11月18日から27日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は6933人。男女比は4032対2901、年齢階層比は10代から10歳区切りで0.04%・0.3%・2.5%・35.7%・34.1%・18.9%・7.9%・0.6%。

【続く咳(せき)、失われる体力…一週間以上継続する咳の経験者は5割強】で記したように、今調査母体に対し、一定期間以上に渡り、咳をする日々が続いた経験があったか否かを聞いている。それによると(少なくとも)一週間以上は続いた人は54.6%と過半数に達する結果が出ている。

↑ 一定期間以上にわたり咳をする日が続く、「長引く咳」の経験があるか(複数ある場合は長い方)
↑ 一定期間以上にわたり咳をする日が続く、「長引く咳」の経験があるか(複数ある場合は長い方)(再録)

この「長引く咳経験者」に、その咳を起因とした病院受診をしたか否かを聞いたところ、3割強は「受診しなかった」と回答した。一週間程度の比較的短い症状だったか、我慢をしているか、起因がはっきりしていて改善が明らかなものと思われる。

↑ 「長引く咳」が起きた時に、病院を受診したか(長引く咳の経験者限定)
↑ 「長引く咳」が起きた時に、病院を受診したか(長引く咳の経験者限定)(再録)

それでは「受診した人」は受診以外に、「受診しなかった人」は単独で、何か自分自身で対処をしたのだろうか。「受診した・しない」で区分した上で聞いた結果が次のグラフ。

↑ 病院受診以外に何か対処をしたか(複数回答)((長引く咳の経験者限定)
↑ 病院受診以外に何か対処をしたか(複数回答)((長引く咳の経験者限定)

一瞬目を疑うような結果だが、病院で受診した人もしていない人も、自分の対処方へのアプローチ率はほとんど変わらない。むしろ受診者の方が高い傾向すらある。

「お薬を処方されなかったので、自分で市販薬を探して服用している」「受診してお薬を処方され、それでもなお市販薬を(も)服用する」どちらのパターンまでかは今結果からは分からないものの、通院・処方している状態で、その病症に関する薬を「患者自身が判断して」買って飲むのはあまりお勧めできない。処方せんを元に薬局・調剤局でもらえる薬の説明書にも書いてある通り、相性の悪い組合せもあるからだ(受診の際に「他に(あるいは「普段」)服用している薬はありますか」と医者から良く聞かれるはず)。

さらによく見ると、むしろ受診者の方が自前の対処法の実施率が高い。それだけ咳が辛く、一刻も早く治したいという個人の心境がすけてみえてくる。ただし「食事・運動・睡眠・喫煙など生活習慣を改善」は、受診や治療とかち合うことは無いので、積極的に実施してほしいものだ。



咳以前の記事でも触れているが、「咳が続く場合、安静にして休むか、医者に行くべし」これが原則。さらに過去の経験にないほど長期化する気配を見せたり、咳の度合いがひどい場合、わき目もふらずに病院に直行することをお勧めする(当方=不破も一度経験あり)。酷い咳になると体力の消耗も激しく、それゆえに思考能力も低下し、まともな判断すらできなくなってしまう。そうなる前に専門家に見てもらうのが一番。

そして受診をした際には、上記グラフの上位3項目(市販薬の服用、民間療法の採用、サプリの服用)は、あらかじめ医者に確認をとっておいた方が良い。処方してもらった薬の効果を薄めてしまう可能性もあるからだ。



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