シニア層の食事矢野経済研究所は2012年6月14日、60歳以上のシニア層における「食」に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、日頃の食事で困っている事としてもっとも多くの人が挙げたのは「塩分調整」だった。次いで「食べ過ぎ」「カロリー調整」「献立のマンネリ」が続いている。概して栄養成分の調整に難儀しているようすが見てとれる([発表リリース])。



今調査は2012年4月から5月にかけて自宅に居住する60歳以上の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は男性924人・女性235人の計1159人。今調査の詳細データは5月28日に同研究所から発売された資料「2012年版 シニアの食事実態と食ニーズ探索調査」に掲載されている。

先日【シニア層の食事、気にしているのは「バランス」、自炊メインでスーパーや外食も】で示した通り、今調査母体では昼食・夕食の多くを自炊などの内食で用意している。

↑ 調理方法と食事形態(複数回答)
↑ 調理方法と食事形態(複数回答)(再録)

それでは日頃の食事の困りごととしてはどのようなものがあるのだろうか。過半数は「特に無し」との回答で、平穏無事・悩み事無しの食生活を過ごしているのが分かる。

↑ 日頃の食事で困っていること(複数回答)
↑ 日頃の食事で困っていること(複数回答)

他方、具体的な悩み事のトップには「塩分調整」がついた。歳を取ると味覚が鈍り、ついつい味の濃いモノを摂取してしまう。必然的に塩分も多く取ることになるが、当然体には良いとは言えない。「カロリー調整」「栄養バランス」「糖分調整」など上位陣には栄養価・栄養素に関する言及が複数寄せられており、自炊をするにしても出来合いの食品を食するにしても、栄養配分に難儀している様子が想像できる。

一方で「調理が大変」「買い物が大変」など、給仕で難儀している点も確認できる。重い買い物荷物の持ち運び、調理の一つ一つの動作なども合わせ、身体への負担が日々の食事準備の際に負担となる(若年層には何気ない行動も、高齢者には大きな負荷となることも多い)。「困りごと」として挙げたくなるのも理解はできる。

昨今ではスーパーなどで地域住民を対象とした購入品の宅配サービスが浸透しつつあり、またいわゆる「買い物困難者」への対策があちこちで施行されるを見かける。食事の下ごしらえが済ませてあるパッケージの配達サービスの広域展開や、新規企業の参入話も良く見聞きするようになった。さらには食品メーカーでも小口のもの、一食当たりの摂取量を少なめに換算した商品展開が、以前より増える傾向にある。

今回の調査結果を見るに、それぞれは主にシニア層に向けたアピール・開発の結果であることが再認識させられる。


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【一日の平均食塩摂取量は男性11.4グラム・女性9.8グラム(2010年分反映版)】



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