2024-0109たばこの喫煙率は日本では【女性中高齢層で減少傾向に足踏み感…年齢階層別成人喫煙率(最新)】【2018年の全体喫煙率17.9%、男性3割切れ継続・女性は9%割れまで減少(JT発表)】にある通り、漸減状態にある。たばこの健康上におけるマイナス面に関しては日本以上に厳しい眼差しを向けているアメリカ合衆国では、たばこの喫煙状況はいかなる状況となっているのだろうか。今回は直近の喫煙動向について、同国の公的機関が提示しているデータを基に確認していくことにする。

米国成人全体の喫煙率は13.5%


データの取得元はアメリカ合衆国の健康医療方面の公的データではお馴染みのCDC(Centers for Disease Control and Prevention:米疾病予防管理センター)の内部部局Behavioral Risk Factor Surveillance System(BRFSS)にある【BRFSS Prevalence & Trends Data】。喫煙率はカテゴリで「Tobacco Use」を選択すれば閲覧ができる。今件における成人とは18歳以上、そして現時点での最新データは2022年分。なお全体値ではなく属性別動向に関しては、アメリカ合衆国全体としての値が収録されていないため、各州や地域の値を用いて加重平均を独自に算出している。

まずは調査時点でたばこを吸っている人の割合、つまり純粋な「現在喫煙率」。全体では13.5%との値が出ている。経年変移は後程別の機会で精査するが、前年分2021年では14.4%との値が出ており、1年間で0.9%ポイント減少している。

↑ アメリカ合衆国の喫煙率(18歳以上、CDC・BRFSS)(2022年)
↑ アメリカ合衆国の喫煙率(18歳以上、CDC・BRFSS)(2022年)

男女別では男性の方が喫煙率が高い。男女間の喫煙傾向を思い返せば納得のいく結果ではある。興味深いのは他の属性別傾向で、「低世帯年収」「低学歴」ほど喫煙率が高い傾向を示している。年齢階層別では傾向のようなものは特段見られない。現役世代が高いということぐらいか。

「高世帯年収」「高学歴」で喫煙率が低いのは、喫煙が社会的に敬遠されていることもあり「喫煙していると『たばこすら我慢できない』と軽んじられる」結果によるものと考えられる。あるいは世帯年収や学歴が上の人ほど生活環境が良好なものとなり、たばこ以外の娯楽をより多く選択できる結果かもしれない。見方によっては、そして健康などへの影響といった弊害を考慮しなければ、たばこはもっとも安易で安価な娯楽ともいえるからだ。また、学歴と世帯年収が同じような動きを示しているのは、両属性が多分に連動性を持っているのも一因だと考えられる。

たばこへの姿勢をより詳しく確認


喫煙動向についてもう少し詳しく確認したのが次のグラフ。喫煙しているのならどの程度なのか、喫煙していないのなら「経験無し」か「以前吸っていたが今は止めている」かを答えてもらったもの。非喫煙者のうち3割ほどの人は「昔は吸っていたが、今は禁煙している」状態なのが分かる。

↑ アメリカ合衆国の喫煙状況(18歳以上、CDC・BRFSS)(2022年)
↑ アメリカ合衆国の喫煙状況(18歳以上、CDC・BRFSS)(2022年)

女性は元々たばこを吸わない人が多い一方、男性はたばこを止めた人が多め。また当然ながら高齢者ほど「昔は吸っていたが今は吸わない」人がおおよそ増え、年を取るに連れてたばこを止めていく実情がうかがえる。

興味深いのは学歴の部分。学歴による「喫煙経験はあるが現在たばこを吸っていない人」の比率にさほど違いが無い。純粋に「今吸っている人」と「一度も吸ったことが無い人」の違いが、学歴上の差異として現れている。

なお、喫煙が法令で許される年齢だが、日本では20歳以上なのはご承知の通り。一方アメリカ合衆国では【Selling Tobacco Products in Retail Stores】にある通り、2019年12月20日付で改正された連邦食品医薬品化粧品法によって、たばこ製品の販売対象の最低年齢はこれまでの18歳から21歳に引き上げられている(Only sell tobacco products to customers 21 or older)。これには紙巻たばこだけでなく、電子たばこや葉巻などすべてのたばこが該当する。今や喫煙に関してアメリカ合衆国は日本より厳しいのが実情である。


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