2024-0109たばこ同様に大人だけのたしなみ、し好品であるとともに、身体にはマイナスの影響を与えることが多いため、昨今の健康志向を受けて飲む人が減っているといわれている「お酒」。今回はそのお酒の飲まれ具合について、アメリカ合衆国の現状を公的機関のデータを基に探ることにした。

大人による単純飲酒率は53.4%


データ取得元はCDC(Centers for Disease Control and Prevention:米疾病予防管理センター)内の内部部局Behavioral Risk Factor Surveillance System(BRFSS)にある【BRFSS Prevalence & Trends Data】。ここから飲酒関連を確認するのには「Alcohol Consumption」を選択する。収録値は原則大人(18歳以上)のもの。なお国全体の値ではなく各属性の値に関しては、同ページでは各州の調査結果しか公開されていない。そこで属性別動向に関しては各州の値を元に加重平均法により全体値を独自に算出している。また現時点で直近値は2022年分のものとなる。

まずは調査時点で過去30日間にアルコールを口にしたか否か、つまり単純な「現在飲酒率」。全体では2022年時点で53.4%との値が出ている。見方を変えれば、直近30日間にお酒を口にしていない大人は46.6%。

↑ 過去30日間にアルコールを口にした人の割合(アメリカ合衆国、18歳以上、CDC・BRFSS)(2022年)
↑ 過去30日間にアルコールを口にした人の割合(アメリカ合衆国、18歳以上、CDC・BRFSS)(2022年)

男女別では男性の方が10%ポイントほど飲酒率が高い。そして年齢別では25-34歳が飲酒のピークとなる(アメリカ合衆国で飲酒が法的に許されるのは21歳以上のため、20歳までは飲酒は禁じられている。そのため法的に飲酒が禁じられ飲むことができない18-20歳が含まれる「18-24歳」層が少なめの値が出るのはある意味当然)。

また属性別では高世帯年収・高学歴ほど飲酒率が高くなる。きれいな右肩上がりをしていることも併せ、意外に思う人も多いかもしれない。付き合いの上で飲酒が必要になる場合も容易に想定できるし、ハードワークの疲れを飲酒で誤魔化しているのかもしれない。また、単純に飲酒にはコストがそれなりに必要なため、金銭的余裕のある無しが反映されているとの見方もできる(学歴は世帯年収と相応の相関関係があり、多分な因果関係も考えられる)。

ヘビードランカーは1ケタ%


それでは飲酒の程度はどれほどなのか。そこで「ヘビードランカーか否か」を聞いた結果をまとめたのが次のグラフ。これは男性ならば1週間で14杯、女性ならば7杯以上お酒を飲むか否かを答えてもらい、「飲まない人も合わせた全体に対する比」を算出したもの。アメリカ合衆国の大人の6.8%は「ヘビードランカー」となる(「ヘビードランカー」の定義には多様なものがあり、日本のイメージと少々異なる感はある)。

↑ ヘビードランカーの割合(アメリカ合衆国、18歳以上、男性は週14杯以上・女性は週7杯以上酒を飲む、CDC・BRFSS)(2021年)
↑ ヘビードランカーの割合(アメリカ合衆国、18歳以上、男性は週14杯以上・女性は週7杯以上酒を飲む、CDC・BRFSS)(2022年)

酩酊状態年齢階層別では35-44歳層が一番のヘビードランカー率で8.8%。18-24歳は7.6%だが、この年齢階層は上記の通り年齢制限上の問題があるにもかかわらず、高い値を示している。実際には「飲酒できる人」の多分が結構な量を飲んでいることになる。そして年齢が上になるに連れて値は下がっていく。

世帯年収別、学歴別でも、単なる飲酒率同様に、おおよそ高世帯年収・高学歴ほど値は高くなる。結果として「飲酒者に限定したヘビードランカー率」を計算すると、低世帯年収・低学歴者の方が高くなる。例えば世帯年収20万ドル以上の人の「飲酒者におけるヘビードランカー率」は12.5%だが、1.5万ドル未満の場合は19.5%となる。また男女別では女性の方が高い値を示している。

↑ 過去30日間にアルコールを口にした人におけるヘビードランカー率(アメリカ合衆国、18歳以上、CDC・BRFSS)(2022年)
↑ 過去30日間にアルコールを口にした人におけるヘビードランカー率(アメリカ合衆国、18歳以上、CDC・BRFSS)(2022年)

年齢はともかく、世帯年収で飲む人の飲み方が違ってくる傾向は興味深い話には違いない。



飲酒が法令で許される年齢だが、日本では20歳以上なのはご承知の通り。一方アメリカ合衆国では【Fact Sheets - Age 21 Minimum Legal Drinking Age(CDC)】に「法的に飲酒が認められる年齢は21歳以上」とある通り、21歳以上となっている。日本とは微妙なずれがあることに注意してほしい。


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