2024-0109先に【アメリカ合衆国の喫煙状況】でアメリカ合衆国のCDC(Centers for Disease Control and Prevention:米疾病予防管理センター)内部局Behavioral Risk Factor Surveillance System(BRFSS)にある【BRFSS Prevalence & Trends Data】の公開値を基に、同国の直近における喫煙状況について確認を行った。今回はその補足版として、喫煙率の経年推移を精査していくことにする。日本では喫煙率は漸減傾向にあることが知られているが、アメリカ合衆国ではどのような動きを見せているのだろうか。
喫煙率のデータは「Prevalence and Trends Data」からカテゴリで「Tobacco Use」を選択すれば閲覧ができる。なお【Methodologic Changes in the Behavioral Risk Factor Surveillance System in 2011 and Potential Effects on Prevalence Estimates】にある通り、健康関連調査のデータ取得・公開は2011年分以降において、CDCの部局のBehavioral Risk Factor Surveillance System (BRFSS)に移行し、それに伴いデータの掲載場所や取得方法にも多少の変化が生じている。注意書きでも「厳密な連続性は無いので、比較の際には注意を要する」と説明されている。

以前先行記事「アメリカ合衆国の喫煙状況」で伝えた通り、最新の調査時点(2022年)でたばこを吸っている、つまり純粋な「現在喫煙率」は13.5%。

↑ アメリカ合衆国の喫煙率(18歳以上、CDC・BRFSS)(2022年)(再録)
↑ アメリカ合衆国の喫煙率(18歳以上、CDC・BRFSS)(2022年)(再録)

BRFSSには1995年以降のデータが収録されているため、それらを逐次抽出していく。まずは全体および男女別の動向。

↑ アメリカ合衆国の喫煙率(18歳以上、CDC・BRFSS、男女別)
↑ アメリカ合衆国の喫煙率(18歳以上、CDC・BRFSS、男女別)

おしなべて男性は女性よりも喫煙率は高く、その差はほぼ一定。時代が移り変わっても、男女差にあまり変化は見られない。そして今世紀初頭でやや上昇ぶりを見せるが、概して喫煙率は減る傾向にある。2011年にイレギュラーな上昇の動きをしているが、これはグラフ内注釈にもある通り、計測様式の変更によるもの。2012年以降は再度減少傾向を示していることから、喫煙率は実質的に2005年以降確実に減少の動きを示していると見てよい。

一方年齢階層別に見ると、最若年層の喫煙率減少度が大きいことが確認できる。

↑ アメリカ合衆国の喫煙率(18歳以上、CDC・BRFSS、年齢階層別)
↑ アメリカ合衆国の喫煙率(18歳以上、CDC・BRFSS、年齢階層別)

前世紀末期から年齢階層別の喫煙率では最上位を見せるようになった18-24歳層だが、2003年以降は急激に値を落としている。一方で25-34歳層をはじめ他の階層の減少率は緩やかで、2007年には18-24歳層と25-34歳層の喫煙率はほぼ同じ値となる。「若年層のたばこ離れ」との言い回しはいかにも陳腐だが、あながち間違ってもいない表現であることが(少なくともアメリカ合衆国では)分かる。2011年の計測様式の変更後も、18-24歳層の喫煙率は落ち込み続け、25-34歳層が最上位を維持していた。

一方で高齢層、具体的には55歳以上は喫煙率の減少ぶりは穏やかなまま。

直近の2022年では25-54歳が大きく落ち込む結果となった。また、2021年に続いて18-24歳が65歳以上よりも下となり、年齢階層別ではもっとも小さな値を示すことになっている。

BRFSSの統計では「男女別」と「年齢階層別」のクロスデータが無いため、日本の喫煙率動向【女性中高齢層で減少傾向に足踏み感…年齢階層別成人喫煙率(最新)】との比較はかなわない。特に日本では昨今微増の動きが見られる若年女性層の動向を確認したいのだが、それが不可能なのは少々残念だ。


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