薬QLifeは2012年11月19日、世帯所得別のインフルエンザの予防ならびに治療行動に関する一般生活者へのアンケート結果を発表した。それによると調査母体においては、インフルエンザで熱が出た際、解熱剤として特定の薬以外は使わない方が良いということを知っていた人は4割でしかないことが分かった。また、インフルエンザ治療薬・抗インフルエンザ薬の知識に関しては「タミフル」を知っている・使った経験がある人は9割を超えていたものの、「リレンザ」は7割、「イナビル」「ラピアクタ」などは1割前後でしかないとの結果が出ている(【発表リリース】)。



今調査は2012年11月9日から10日にかけてQLife会員では無い外部大手のリサーチ会社のモニター会員を対象に、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。世帯年収は401万円以上に限定(回答数が少数なこと、公的・私的援助の想定もあり回答にぶれが生じやすくなるため、400万円以下は除外)。男女比は677対323、世代構成比は20代45・30代227・40代417・50代311。

以前【負担は意外に大きい? インフルエンザ予防接種と年収との関係】などで記した通り、今調査母体では1割強がすでにインフルエンザ予防接種を済ませており、1/3が摂取予定、過半数が摂取するつもりはない。そして低年収世帯ほど「費用の高さが摂取しない理由」の回答率が高い。

↑ 今年、インフルエンザの予防接種をするか・したか(世帯年収別)(再録)
↑ 今年、インフルエンザの予防接種をするか・したか(世帯年収別)(再録)

↑ インフルエンザの予防接種をしない理由(しないつもりの人限定)(世帯年収別)(再録)
↑ インフルエンザの予防接種をしない理由(しないつもりの人限定)(世帯年収別)(再録)

インフルエンザ予防接種をしない人はもちろん、した人でもリスクとして、インフルエンザを発症する可能性はゼロでは無い。【厚生労働省のインフルエンザ専門ページ】の解説にもある通り、予防接種は「発症をある程度抑える効果や、重症化を予防する効果があり、特に高齢者や基礎疾患のある方など、重症化する可能性が高い方には効果が高い」と考えられている次第である。

そこで今回は、インフルエンザを発症した場合の服用薬について尋ねている。まずは「解熱剤としては特定の薬以外は使わない方が一般的に良い」ことを知っているか否か、これについて聞いたものだが、知っている人は4割でしかなかった。

↑ インフルエンザで熱が出た場合、解熱剤として、特定の薬以外は使わない方が良いとされているのを知っているか(世帯年収別)
↑ インフルエンザで熱が出た場合、解熱剤として、特定の薬以外は使わない方が良いとされているのを知っているか(世帯年収別)

上記にある通り世帯年収別では予防接種の接種率に違いが生じてしまっているものの、服用する薬に関する知識ではほぼ変化が無い。この傾向についてリリース側では、次の具体的薬品名の知識と合わせ、「国民皆保険制度の恩恵と言える」とコメントしている。

なおインフルエンザによる発熱の場合、リリースの言にある通り、一般的にはアセトアミノフェン以外はリスクを有し、使用を避ける必要がある。そもそも発熱は体を病原体から避けるための防御反応であり、むやみに薬で下げるより、氷のうなどで冷やしたり、水分や電解質、さらには栄養を補給し、体を休めるように努めることが求められる。

それではインフルエンザ治療薬・抗インフルエンザ薬の認知度、あるいは使用経験はいかなるものだろうか。

↑ インフルエンザ治療薬の認知度
↑ インフルエンザ治療薬の認知度

さすがに「タミフル」は2009年の新型インフルエンザ流行の際に大きく取り上げられ、実際に使用した人も多いことから、3割近くが使用経験あり・7割近くが認知しており、知らない人は2.4%に留まっている。また「タミフル」と並び取り上げられた「リレンザ」もまた、使用経験者・認知者の比率は高い。

一方、「イナビル」「ラピアクタ」「シンメトレル」は使用経験者・認知者共に少なめで、合わせても1割前後でしかない。いずれもインフルエンザ用のインフルエンザ治療薬(増殖を抑える抗インフルエンザウイルス薬)ではあるが、上記2種薬品と比べれば使用頻度が低く、世間一般での知名度もそれほど高くは無い(効用が劣るわけではない)。

なおリリースには世帯年収別の認知度・使用度比率も掲載されているが、収入別の変化はほとんどない。これも上記に示した通り、「国民皆保険制度の恩恵」であり、情報の啓蒙・治療の面で経済的格差が生じていない現れといえよう。



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