国内外を問わずたばこの喫煙率は、特に先進諸国において減少傾向にある。また禁煙の啓蒙活動も盛んに行われている。とはいえ今なお多くの人にとってたばこは重要な嗜好品に違いなく、街中で周囲を見渡すと、喫煙をする人の姿をそこかしこで見受けることができる。今回は厚生労働省が2024年8月28日に発表した令和4年分の「国民健康・栄養調査結果の概要」を基に、喫煙率動向、さらには受動喫煙に関する現状を見ていくことにする(【国民健康・栄養調査】)。
今調査の調査要件は先行記事【一日の平均歩数は男性6465歩・女性5820歩(最新)】を参照のこと。
今調査によれば直近2022年において成人男性の喫煙率は24.8%、成人女性の喫煙率は6.2%となった。男性よりも女性の方が喫煙率は相当低めとなっている。以前、毎年夏頃に発表されていたJTの年次喫煙率と比較するといくぶんの差異が見られるが、今件とは調査対象母集団が異なる上、「たばこを毎日吸っている人」「時々吸うことがある人」を加算しているなど、設問そのものに多少の違いがあるのが要因。
↑ 現在習慣的に喫煙している人の割合(男女別・年齢階層別)(2022年)
男性は20代で低めだが30代で大きく跳ね上がりピークとなり、40代以上は減っていく。女性はピークが40代だが、上下の傾向は男性と変わりがない(値そのものは大きく違うが)。一方で70歳以上でも男性では15.8%、女性では2.0%が、なお喫煙を続けている。
これを男女別に経年変化で動向を確認すると、おおよそ漸減しているのが分かる。
↑ 現在習慣的に喫煙している人の割合(男女別)
特に男性はこの19年で20%ポイント以上もの下げ幅を示している。他方女性は元々値が低いのも一因だが、あまり大きな変化は見られない。この傾向はJTの喫煙率調査と同じ動き。
なお先行記事の歩数関連の話でも言及しているが、年齢階層で大きな違いが生じる項目では、経年データにおいて年齢階層別構成比の変化が全体平均値に大きな影響を生じさせるため、2014年分のデータ公開から年齢調整が行われたものも併記される形となった。こちらの値であれば、経年における高齢者の比率増加に伴う、平均値のゆがみを考えなくても済む。
↑ 現在習慣的に喫煙している人の割合(年齢調整後、男女別)
男性は漸減中だが2010年の大きな下げ方を除けば減り方は緩やか、女性もほぼ似たような動きであるのが分かる。
2010年に生じている、特に男性における有意な値の減少だが、2010年10月に実施されたたばこ税・たばこ価格の大幅な引き上げが原因と考えれば道理は通る。「国民健康・栄養調査」でもこれに絡み、過去において値上げの影響で喫煙をした人に関する調査項目を特設し、その動向を確認している(【2010年のたばこ値上げで影響を受けた人3割足らず、そのうち禁煙を果たした人は1割強(国民健康・栄養調査2012年版)】)。
喫煙には当事者が直接たばこを吸う以外に、周辺環境によって当事者の意図することなくたばこの煙を吸ってしまう機会がある。これを受動喫煙と呼んでいるが、今調査では不定期で調査を実施している(今回年の2022年分では実施)。
現在習慣的に喫煙している人「以外」で、過去1か月の間に受動喫煙の機会があったか否かを場所別に尋ねた結果が次のグラフ。家庭では毎日、それ以外では足を運んだ経験がある人のうち、月1以上で機会があった人の割合を示している。空欄の部分はその年において、調査項目そのものが無かったことを意味する。なお回答者は20歳以上であることに注意(今調査の一部では1歳以上を対象としているが、今項目を含む生活習慣に関する調査部分は20歳以上が対象)。
↑ 現在習慣的に喫煙している人以外で受動喫煙の機会がある人(家庭は毎日、それ以外は月1以上(「行かなかった」除く))
調査実施年にすき間があるのも合わせ、いくぶんのぶれはあるが、家庭や職場など繰り返して足を運ぶ場所を中心に、おおよそ減少する傾向にある。また各公的機関や不特定多数が集まる場所では分煙・禁煙化が進んでいるものの、まだ十分とは言い難い実態も見えてくる。ただし直近の2022年分では、新型コロナウイルスの流行により、その場所に足を運ぶこと自体が減少した影響も考慮する必要がある。飲食店や遊技場はその影響が大きく出ているに違いない。
他方、受動喫煙の防止対策が推進されることを望む場所に関する問いでも、「飲食店」「路上」のような、実際に受動喫煙の経験がある場所における要望が高い(「望む場所」は不定期調査でグラフでは現時点で最新となる2015年分を適用している)。
↑ 受動喫煙防止対策が推進することを望む場所/受動喫煙の機会がある人(現在習慣的に喫煙している人以外対象)(家庭は毎日、それ以外は月1以上(「行かなかった」除く))
「子供が使う屋外空間(公園や通学路)」では機会が少ないにもかかわわらず強い要望がある一方、機会が多い「職場」「遊技場」では要望はさほど出ていない。受動喫煙防止対策の実情の一端を理解できる結果ではある。
■関連記事:
【毎日吸う人も1日1箱足らずが上限…年齢階層別喫煙動向(JT発表)(最新)】
【喫煙率13.5%…アメリカ合衆国の喫煙状況(CDC版)(最新)】
【女性中高齢層で減少傾向に足踏み感…年齢階層別成人喫煙率(最新)】
【都道府県別喫煙率(国民生活基礎調査)(最新)】
喫煙率は男性24.8%、女性6.2%
今調査の調査要件は先行記事【一日の平均歩数は男性6465歩・女性5820歩(最新)】を参照のこと。
今調査によれば直近2022年において成人男性の喫煙率は24.8%、成人女性の喫煙率は6.2%となった。男性よりも女性の方が喫煙率は相当低めとなっている。以前、毎年夏頃に発表されていたJTの年次喫煙率と比較するといくぶんの差異が見られるが、今件とは調査対象母集団が異なる上、「たばこを毎日吸っている人」「時々吸うことがある人」を加算しているなど、設問そのものに多少の違いがあるのが要因。
↑ 現在習慣的に喫煙している人の割合(男女別・年齢階層別)(2022年)
男性は20代で低めだが30代で大きく跳ね上がりピークとなり、40代以上は減っていく。女性はピークが40代だが、上下の傾向は男性と変わりがない(値そのものは大きく違うが)。一方で70歳以上でも男性では15.8%、女性では2.0%が、なお喫煙を続けている。
これを男女別に経年変化で動向を確認すると、おおよそ漸減しているのが分かる。
↑ 現在習慣的に喫煙している人の割合(男女別)
特に男性はこの19年で20%ポイント以上もの下げ幅を示している。他方女性は元々値が低いのも一因だが、あまり大きな変化は見られない。この傾向はJTの喫煙率調査と同じ動き。
なお先行記事の歩数関連の話でも言及しているが、年齢階層で大きな違いが生じる項目では、経年データにおいて年齢階層別構成比の変化が全体平均値に大きな影響を生じさせるため、2014年分のデータ公開から年齢調整が行われたものも併記される形となった。こちらの値であれば、経年における高齢者の比率増加に伴う、平均値のゆがみを考えなくても済む。
↑ 現在習慣的に喫煙している人の割合(年齢調整後、男女別)
男性は漸減中だが2010年の大きな下げ方を除けば減り方は緩やか、女性もほぼ似たような動きであるのが分かる。
2010年に生じている、特に男性における有意な値の減少だが、2010年10月に実施されたたばこ税・たばこ価格の大幅な引き上げが原因と考えれば道理は通る。「国民健康・栄養調査」でもこれに絡み、過去において値上げの影響で喫煙をした人に関する調査項目を特設し、その動向を確認している(【2010年のたばこ値上げで影響を受けた人3割足らず、そのうち禁煙を果たした人は1割強(国民健康・栄養調査2012年版)】)。
受動喫煙は!?
喫煙には当事者が直接たばこを吸う以外に、周辺環境によって当事者の意図することなくたばこの煙を吸ってしまう機会がある。これを受動喫煙と呼んでいるが、今調査では不定期で調査を実施している(今回年の2022年分では実施)。
現在習慣的に喫煙している人「以外」で、過去1か月の間に受動喫煙の機会があったか否かを場所別に尋ねた結果が次のグラフ。家庭では毎日、それ以外では足を運んだ経験がある人のうち、月1以上で機会があった人の割合を示している。空欄の部分はその年において、調査項目そのものが無かったことを意味する。なお回答者は20歳以上であることに注意(今調査の一部では1歳以上を対象としているが、今項目を含む生活習慣に関する調査部分は20歳以上が対象)。
↑ 現在習慣的に喫煙している人以外で受動喫煙の機会がある人(家庭は毎日、それ以外は月1以上(「行かなかった」除く))
調査実施年にすき間があるのも合わせ、いくぶんのぶれはあるが、家庭や職場など繰り返して足を運ぶ場所を中心に、おおよそ減少する傾向にある。また各公的機関や不特定多数が集まる場所では分煙・禁煙化が進んでいるものの、まだ十分とは言い難い実態も見えてくる。ただし直近の2022年分では、新型コロナウイルスの流行により、その場所に足を運ぶこと自体が減少した影響も考慮する必要がある。飲食店や遊技場はその影響が大きく出ているに違いない。
他方、受動喫煙の防止対策が推進されることを望む場所に関する問いでも、「飲食店」「路上」のような、実際に受動喫煙の経験がある場所における要望が高い(「望む場所」は不定期調査でグラフでは現時点で最新となる2015年分を適用している)。
↑ 受動喫煙防止対策が推進することを望む場所/受動喫煙の機会がある人(現在習慣的に喫煙している人以外対象)(家庭は毎日、それ以外は月1以上(「行かなかった」除く))
「子供が使う屋外空間(公園や通学路)」では機会が少ないにもかかわわらず強い要望がある一方、機会が多い「職場」「遊技場」では要望はさほど出ていない。受動喫煙防止対策の実情の一端を理解できる結果ではある。
■関連記事:
【毎日吸う人も1日1箱足らずが上限…年齢階層別喫煙動向(JT発表)(最新)】
【喫煙率13.5%…アメリカ合衆国の喫煙状況(CDC版)(最新)】
【女性中高齢層で減少傾向に足踏み感…年齢階層別成人喫煙率(最新)】
【都道府県別喫煙率(国民生活基礎調査)(最新)】
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