
20代は男性2割近く、女性1割近くが「何も食べない」な朝食欠食実情
世間一般的には朝食も含め一日三食定期的な食事を摂ることが望ましいとされている。特に朝食は個人差もあり摂らない方が健康的な日常生活を過ごせる人もおり、またそれを推奨する健康法も存在するが、概して摂らずにいると日常生活上のリズムが崩れ、体調にもマイナスの影響を及ぼすとされている(空腹感から昼食や夕食の量が増え、いわゆる「ドカ食い」となり、身体にはよくないとする説もある)。
今件は調査実施当日において(≒日常的に)朝食を欠食したか否か、欠食した場合はその具体的な内容について尋ねた結果をグラフ化したもの。「欠食」とは単に「一切の飲食をしなかった」だけでなく「タブレットなどによる栄養素の補給、栄養ドリンクのみ」「果物や菓子、乳製品などの食品・飲料のみを食べた場合」も含まれる。時間の都合や健康法などの理由から、これらを朝食に常食している人の中には「自分も欠食扱いになるとは」と驚く人もいるかもしれないが、調査の仕様とのことでご容赦願いたい。
なおグラフ中の表記に関し、総数は1歳以上全体の値だが、具体的な年齢階層別の値は20歳以上に限定している。

↑ 朝食の欠食率内訳(男女別・年齢階層別)(2019年)

↑ 朝食の欠食率内訳(欠食率全体に占める「何も食べない」の割合、男女別・年齢階層別)(2019年)
男性は出勤で朝の時間帯において忙しくなる場合が多いことから、特に20-50代で女性を大きく上回る値を示している。総数でも男性の方が4.1%ポイントも欠食率が高い。
欠食の内訳をみると20代は従来よく言われている「欠食」を意味する「何も食べず」の比率が高い。また女性は男性と比べて「何も食べず」の割合が低い属性が多く、1割を超える年齢階層は30代のみとなっている。女性は健康志向(とりわけダイエット的な目的)で、乳製品や果物のみを食べる朝食を選択する人が多いと考えられる。
一方で年齢階層別動向をよく見ると、男性は20-40代でおおよそ同じような値を示しているが、女性は30代をピークとしている。男女、そして年齢階層における就業状況の違い、朝の出勤時における多忙感が、朝食欠食の状況を生み出す主要因であることが想像できる。女性は中年層でパートによる就業割合が増加するはずだが、男性の就業と比べれば朝食時間を圧迫されるような出勤スタイルは少ないものと考えられる。
また健康法や体調によるところもあるが、19.1%を示す男性20代以外でも、男性では30-40代で1割以上が「まったく食事をしない」朝食欠食をしている。十分以上の留意が必要な値ではある。
中長期的な流れを確認
年齢階層別の朝食欠食事情について中期的な動向をグラフ化したのが次の図。一部属性でイレギュラーな動きが出てしまっているものの、大体の流れはつかみ取れる。

↑ 朝食欠食率(男性、「食事をせず」「錠剤・栄養ドリンクのみ」「果物や菓子や乳製品などのみ」が該当、年齢階層別)

↑ 朝食欠食率(女性、「食事をせず」「錠剤・栄養ドリンクのみ」「果物や菓子や乳製品などのみ」が該当、年齢階層別)
各調査年における男女別・年齢階層代別の相対的な位置関係は直近となる2019年分に限らず、大きな変化は無い。男性は20-30代が高く、それ以降は年齢が上になるに連れて少しずつ減る。女性は20代が高く、30代で大きく減り、それ以降は漸減していく。いずれも就業状況との密接な関連性を想起させる値である。
他方男女ともに40代から50代にかけては、中期的に朝食欠食率が増加しているようにも見える。留意が必要な動きには違いない。また直近年の2019年では男女ともに多くの年齢階層で欠食率が大きく増加している。単なるイレギュラーなのか、何らかの現象の結果なのか、注意が必要な動きに違いない。
成人の朝食欠食は、ダイエットにせよ多忙にせよ、自己責任の部分が大きい。欠食の内情や経年変化を見る限りでは、男性は仕事の忙しさ、女性はそれに加えてダイエットなどの思惑により朝食を抜いていることが想像できる。40代から50代、特に男性における漸増傾向は、仕事の多忙感に加え、中年層の肥満傾向への警鐘への反応も一因かもしれない。
出来れば三食欠かさず食するのがベスト。個々の身体的などの事情でそれがかなわぬ場合をのぞき、朝の出勤前の時間が十分に取れない状況は理解できるものの、工夫を凝らして朝食を、せめて乳製品や果物などで補完的な飲食を摂るぐらいは果たして欲しいもの。今件データの限りでは、それらの摂取では「欠食」判定されてしまうが、何も摂らないよりは自身の体にとって、はるかによいに違いない。
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