厚生労働省は2012年12月6日、「平成23年国民健康・栄養調査結果の概要」を発表した。それによると20歳以上の成人男女において、生鮮食料品を普段から買物などで入手している人は、男性で1/3強・女性で8割強に達していることが分かった。一方それらの人達で、生鮮食料品が入手できなかったり買い控えた理由の最上位には「価格が高い」が挙げられている。昨今社会問題化している「買い物弱者」「買物困難者」問題で原因とされる「アクセスが不便」「距離が遠い」などは全世代層で見れば、それぞれ1割、またはそれ以下の回答率でしかない(【調査一覧ページ】)。
今調査は健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素等摂取量及び生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。調査時期は2011年11月。今回調査分では調査実施世帯数は5422世帯で、調査方法は問診及び計測調査による(震災の影響を考慮し、2011年分については岩手県・宮城県・福島県は調査から除いている)。生活習慣部分は留め置き法による自記式質問紙調査。
一人暮らしならば自分自身のため、世帯持ちの場合は家族全体の食事のため、生鮮食料品を調達する機会は少なくない。普段は職場勤めの男性でも、買物担当を普段から任されている場合もあるだろう(時間帯を考えるとごく少数になるが)。今件では「普段から入手しているか否か」、つまり日常的に買い物などで手に入れているか否かを尋ねている。
↑ 生鮮食品(野菜、果物、魚、肉等)をふだん入手(買い物等)している者の割合(2011年))
女性が圧倒的に高いのは主婦業として家事を担っているから。男性は実家通いなり、結婚して妻に家事を任せている事例が多く、割合は低め。もっとも男性は歳を重ねるに連れて値が増加しているが、これは単身赴任や離婚・死別などによるもの、そして家事の分担をし始めたり、趣味として料理を始めるためなどが理由として考えられる。
さて、その「生鮮食料品を普段から入手している人」に限り、この1年間で「入手を控える」「入手が出来なかった」という事例があるか、あった場合にはどのような理由によるものかを尋ねた結果が次のグラフ。特にそのような事態は無かったとする人が62.5%、何らかの理由であった人においては、「価格が高くて入手を控えた、入手できなかった」とする人がもっとも多く(普段購入している人のうち)30.4%となった。
↑ 生鮮食品(野菜、果物、魚、肉等)の入手を控えたり、入手ができなかった理由(2011年)(普段生鮮食品を入手している人限定、複数回答)
いわゆる「買物困難者」という社会現象・問題に関し、「生活行動範囲内に生鮮食料品などを購入する店が無い、無くなる」という状況が問題視されている。今件調査結果では、それらと結びつく「店へのアクセスが不便」は10.4%、「買物店までの距離が遠い」は6.7%、「店までの交通の便が悪い、無い」は2.7%でしかなく、「価格が高い」という問題の前には数字がややかすんでしまう形となった(今件が複数回答形式であることにも留意)。
もっとも見方を変えれば、普段から生鮮食料品を購入している人の1割以上が、店との距離感(物理的、交通ルート的など)により、困難さを強いられていると見ることもできる。
これを世代別に見ると、「距離感」=世間一般に言われている「買物困難者」的な問題の原因は、高齢者、特に70歳以上が強く抱いていることが分かる。
↑ 生鮮食品(野菜、果物、魚、肉等)の入手を控えたり、入手ができなかった理由(男女計・年齢階級別)(2011年)(普段生鮮食品を入手している人限定、複数回答)
価格の高さは若年層ほど悩みのタネとなっているが、高齢者はさほど気にしていない。しかし「距離感」に関しては70歳以上において20歳同様、あるいはそれ以上に強い不便さを抱き、生鮮食料品の入手のハードルとなっているのが分かる。
「1割」を多いと見るか、少ないと見るかは判断基準にもよる。しかし、70歳以上の高齢層だけに限ると、生鮮食料品入手時に困難さを覚えた人(100%-74.8%=25.2%)のうち半数(12.6%)が、その理由として「店へのアクセスが不便」を挙げているという見方もできる。この切り口からも、いわゆる「買物困難者」問題は高齢者がメインで、「距離感」を起因とすると見なすことができよう。
■関連記事:
【高齢者の「買い物弱者」問題(高齢社会白書(2011年版))】
一人暮らしならば自分自身のため、世帯持ちの場合は家族全体の食事のため、生鮮食料品を調達する機会は少なくない。普段は職場勤めの男性でも、買物担当を普段から任されている場合もあるだろう(時間帯を考えるとごく少数になるが)。今件では「普段から入手しているか否か」、つまり日常的に買い物などで手に入れているか否かを尋ねている。
↑ 生鮮食品(野菜、果物、魚、肉等)をふだん入手(買い物等)している者の割合(2011年))
女性が圧倒的に高いのは主婦業として家事を担っているから。男性は実家通いなり、結婚して妻に家事を任せている事例が多く、割合は低め。もっとも男性は歳を重ねるに連れて値が増加しているが、これは単身赴任や離婚・死別などによるもの、そして家事の分担をし始めたり、趣味として料理を始めるためなどが理由として考えられる。
さて、その「生鮮食料品を普段から入手している人」に限り、この1年間で「入手を控える」「入手が出来なかった」という事例があるか、あった場合にはどのような理由によるものかを尋ねた結果が次のグラフ。特にそのような事態は無かったとする人が62.5%、何らかの理由であった人においては、「価格が高くて入手を控えた、入手できなかった」とする人がもっとも多く(普段購入している人のうち)30.4%となった。
↑ 生鮮食品(野菜、果物、魚、肉等)の入手を控えたり、入手ができなかった理由(2011年)(普段生鮮食品を入手している人限定、複数回答)
いわゆる「買物困難者」という社会現象・問題に関し、「生活行動範囲内に生鮮食料品などを購入する店が無い、無くなる」という状況が問題視されている。今件調査結果では、それらと結びつく「店へのアクセスが不便」は10.4%、「買物店までの距離が遠い」は6.7%、「店までの交通の便が悪い、無い」は2.7%でしかなく、「価格が高い」という問題の前には数字がややかすんでしまう形となった(今件が複数回答形式であることにも留意)。
もっとも見方を変えれば、普段から生鮮食料品を購入している人の1割以上が、店との距離感(物理的、交通ルート的など)により、困難さを強いられていると見ることもできる。
これを世代別に見ると、「距離感」=世間一般に言われている「買物困難者」的な問題の原因は、高齢者、特に70歳以上が強く抱いていることが分かる。
↑ 生鮮食品(野菜、果物、魚、肉等)の入手を控えたり、入手ができなかった理由(男女計・年齢階級別)(2011年)(普段生鮮食品を入手している人限定、複数回答)
価格の高さは若年層ほど悩みのタネとなっているが、高齢者はさほど気にしていない。しかし「距離感」に関しては70歳以上において20歳同様、あるいはそれ以上に強い不便さを抱き、生鮮食料品の入手のハードルとなっているのが分かる。
「1割」を多いと見るか、少ないと見るかは判断基準にもよる。しかし、70歳以上の高齢層だけに限ると、生鮮食料品入手時に困難さを覚えた人(100%-74.8%=25.2%)のうち半数(12.6%)が、その理由として「店へのアクセスが不便」を挙げているという見方もできる。この切り口からも、いわゆる「買物困難者」問題は高齢者がメインで、「距離感」を起因とすると見なすことができよう。
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【高齢者の「買い物弱者」問題(高齢社会白書(2011年版))】
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