救急車メディカルライフ研究所は2013年3月28日、不調症状を認識していながら病院に行かない理由「生活者の受療行動に関する調査(2)」の抜粋結果を発表した。それによると長期の不調・慢性疾患を保有していると自認していながら、病院に行かない調査対象母集団においては、その最大の理由として挙げられたのは「病院に行くのが面倒だった」で3割強に達していたことが分かった。次いで「病状が軽かった」「お金がかかると思った」が続いている。主な病状では「頭痛」がもっとも多く、「不眠」「目のかすみ」などが続いている(【発表リリース】)。



今調査は2012年9月にインターネット経由で20-60代の男女のうち、半年以上の長期不調や慢性疾患を保有していると認識していながら、病院に行かない人を対象に行われたもので、有効回答数は2000人。

事前調査として以前に発表された同研究所の結果によれば、自分自身が何らかの慢性疾患を持っていると認識している人は46.4%。しかし実際に病院に行って原因を把握している人は、認識している人のうち33.9%でしかない。40.0%は病名などが分からないままで過ごしており、26.1%は検討はつくが病院に行っていない。それではなぜ「不調、慢性疾患を抱えながら病院に行かない」のだろうか、という点が今回の注視項目。

その理由について複数回答で聞いたところ、最上位についたのは「病院に行くのが面倒だった」で31.1%。ほぼ同数で「病状が軽かった」が30.0%で続いている。

↑ 半年以上不調や慢性疾患を保有していると認識していながら病院にいかない理由(複数回答)
↑ 半年以上不調や慢性疾患を保有していると認識していながら病院にいかない理由(複数回答)

上位2項目までが3割超だが、次いで多いのは「お金がかかると思った」で22.2%。ここまでが2割超。病状の軽い重いにかかわらず、金銭的な理由で病院に足を運んでいない人が2割強もいることになる。またそれに続く「できるだけ病院に行きたくない」の一部にも金銭的理由が含まれると考えられる(もちろん他にも「時間がかかる」「病気が発覚して面倒なことになる」「過去にトラブルがありトラウマを持つ」などの理由も考えられる)。

また「少々不調があること位は普通のことだと思った」「不調の頻度が低かった」「自分で治せると思った」など、病状を軽視している、あるいは情報不足の面も少なくない。これらの判断は経験則によるものが多分に及ぶが、場合によってはその症状が体自身からの重大な警告である場合も多く、油断は禁物である。

具体的な値が記されていないのでグラフは資料からの抜粋となるが、上位3項目について世代別に見ると、「病院にいくのが面倒」「お金がかかると思った」は若年層ほど、「病状が軽かった」は高齢層ほど高い回答率を示してる。若者は金銭面や面倒くささから、お年寄りは病状そのものの軽視から、病院に行くのを敬遠する傾向がある。

↑ 半年以上不調や慢性疾患を保有していると認識していながら病院にいかない理由(複数回答)(上位陣のみ、世代別)
↑ 半年以上不調や慢性疾患を保有していると認識していながら病院にいかない理由(複数回答)(上位陣のみ、世代別)

具体的な不調症状は「頭痛」がトップで85.4%、次いで「不眠」「目のかすみ・視野が狭くなる」などが上位についているが、いずれも8割を超えており、複数の症状が重なっているのが分かる。

↑ 病院に行っていない人の主な長期不調症状(上位)
↑ 病院に行っていない人の主な長期不調症状(上位)

これらの中には指摘されて「そういえばそのような症状も無くは無い」とはじめて気が付くものも少なくない。とはいえ、その症状があることにも違いない。

資料ではこれらの動向について、医療や疾患そのものに対する理解の不足が一因だと説明している。そして不調・疾患の原因や、病院での治療、薬などに対する知識を高め、症状に対する認識を得ることで、受療率(身体に不調を覚えた人のうち、実際に医療機関で受診してもらう人の割合)も高まるだろうとの推測に至っている。

当方(不破)自身もかつて入院する羽目になった病気について、病症が発しても、最初は単なる不摂生で一時的なものだと勝手に解釈をしていた経験を持つ。それだけに、耳の痛い話ではある。



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