アメリカの調査機関【ギャラップ社】は2013年8月6日、アメリカにおけるファストフードと食生活の関係に係わる調査結果を発表した。それによると調査対象母集団においては、ファストフードを週一以上で利用している人は約5割居ることが分かった。この傾向は10年前とほとんど変わりが無く、少なくともこの10年間ではアメリカにおける食生活上の、ファストフードの立ち位置に変化はないことが分かる。一方、そのファストフードの料理に関して「自分の健康にとって良いもの」と認識している人は2割強に留まっており、身体には多分に良くないことを認識している人が多数に及んでいることも確認できる(【発表リリース:Fast Food Still Major Part of U.S. Diet】)。



今調査は2013年7月10日~14日にかけてアメリカ国内に住む18歳以上の成人に対し、乱数で選ばれた電話番号へ行った電話インタビュー(英語とスペイン語)の結果を集計したもので、有効回答数は2027人。2012年3月時点の国勢調査などの統計データに基づいたウェイトバックが行われている。

日本以上にアメリカではハンバーガーやピザのようなファストフードが好まれているという印象がある。それでは実際に、アメリカにおけるファストフードの利用性向はどのような状況なのか、今件調査ではその実態を知ることができる。

まずは利用頻度についてだが、「非利用」な人は4%のみ。年数回とする人は15%で、月数回の人は33%。週一以上で利用する人は47%に達している。


↑ イートインやドライブスルー、持ち帰りまで含め、ファストフード店をどれ位の頻度で利用しているか(アメリカ)

ギャラップ社では今回も含め、都合3回に渡り同項目の調査を行っている。その結果を併記したが、それを見る限り、ファストフードの利用性向はこの10年間でほとんど変化がないようだ。前回調査2006年と比べれば、やや利用頻度が落ちているようにも見えるが、2003年分と比べれば大きな違いはない。来年以降の調査結果を見ないと、中期的な変動とは判断できない。

昔も今も、アメリカ人の食生活上では欠かせない存在に見えるファストフードだが、栄養素の観点などをはじめ、身体にとって良い料理なのか否かという認識については、概して「あまり良くないもの」という意見が多数を占めている。これもまた、10年前から変わりは無い。


↑ ファストフード店の料理は自分(の健康)にとって良いものか否か(アメリカ)

「良い」とする人も2割強いるが、8割近くは「良くない」とする人で占められている。この項目はまだ2回分しか調査が行われておらず、中期的な変化について断じることは難しいが、少なくとも10年前と比べると「全く良くない」とする強い否定派が増えているのは確認できる。

身体に良くないと思う食品を、積極的に食べる人はあまりいない。ある程度の取捨選択、長所短所を天秤にかけた上での選択と思われる(費用対効果、時間の問題)。あるいは単に「身体には良くないけど、美味しいから」「分かっているけど、お財布事情が」という、シンプルな選択の結果なのかもしれない。

また、日本もアメリカほどではないが、ファストフードが生活の中に浸透しているともいえる。同じようなアンケートをとった場合、どのような結果が出るのだろうか。ファストフードの定義から始めねばならないが、興味深い話であり、類似調査が国内で行われた場合には是非とも精査したいものだ。



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