
震災対策をしない理由は「対策の方法が分からない」から
今調査は2013年8月16日から21日に渡りインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1200件。男女比は1対1で、世代構成比は10代から60代まで10歳区切りで均等割り当て。
今調査対象母集団に対し、非常用の持ち出しグッズや消火器の用意、水や食料の備蓄、転倒防止器具の設置など、各種震災対策をしているか否かを聞いたところ、それらの対策を特にしていないとの回答が31.8%もあった。そこでその回答者に、「なぜ大きな地震への備えを何もしないのか」を尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 大きな地震に備えて何もしていないのはなぜか(地震への備えを特にしていない人限定、複数回答)
最大回答項目は「何をすれば良いのか分からない」で36.1%。震災対策は関連サイトなり行政や企業が発行しているパンフレットなどをチェックすれば、すぐにでも分かるはずなのだが、それ自身に考えがたどりつかないようだ。見方を変えれば、行政などによる震災対策への啓蒙が不足しているともいえる。
第2位以降は備えに対する実質的な問題が連なっている。手間がかかるので面倒、これからやるつもり(大抵においてそれが実現されることはない)、お金がかかるから。要は時間や金銭などのリソースを費やす優先順位、備えへの必要性が低いと判断されていることになる。無駄だから、地震は起きないと思っているの回答がそれなりに多いのも、その事由を的確に表している。
したいけどやり方が分からない女性、無駄だと思う男性
これを男女別に区分した結果が次のグラフ。

↑ 大きな地震に備えて何もしていないのはなぜか(地震への備えを特にしていない人限定、複数回答)(男女別)
男女とも順位そのものに大きな違いは無い。ただし特定の項目で多分な差異が確認できる。まず「何をすれば良いのか分からない」では、男女差が2倍近くあり、女性の回答率が圧倒的に多い。この選択肢には「対策をしたいのだけれど」という前向きな意志が含まれており、多くの女性が知識不足でそれがかなわない状態にあることが把握できる。そのような場合、上記の通り「検索をするキーワード自身が分からない」「何を探せば良いのか自体分からない」という暗中模索状態にあることが多いため、自発的な行動を期待するのは難しい(テスト勉強で「何が分からないのかが分からない」状態のようなもの)。行政機関などによる積極的な啓蒙・啓発が求められる。
他方男性は「無駄だから」「時間がないから」などの点で、女性を大きく上回る回答率が見られる。対策方法を知っていても、コストパフォーマンス的に割りが合わない、後回しで良いと考えている人が多い。こちらは同じ啓蒙でも、女性に対する「情報公知」では無く、「必要性の認識」など具体的な情報の提供が必要となる。
先の震災から2年以上が過ぎているが、今なお3割強が備えをせず、そのうち1/3強が対策方法そのものを知らないという実態に、驚きを隠せない人もいるだろう。震災対策は詰まるところ保険のようなもので、備えをして結局役に立たなければ、それはそれで良かったことになる。「使わないのなら損をするではないか」という考えには、少なくとも備えている間における、安心感が得られるという回答を呈することにしよう。
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