
「老年人口指数」「従属人口指数」言葉の定義
まずは言葉の定義について。厚生労働省の統計結果調査ページ(【厚生統計に用いる主な比率及び用語の解説】)から、主要用語に関する定義を箇条書きにしておく。
年少人口…14歳以下
生産年齢人口…15-64歳
老年人口…65歳以上
老年人口指数…(老年人口÷生産年齢人口)×100
従属人口指数…((年少人口+老年人口)÷生産年齢人口)×100
生産年齢人口…15-64歳
老年人口…65歳以上
老年人口指数…(老年人口÷生産年齢人口)×100
従属人口指数…((年少人口+老年人口)÷生産年齢人口)×100
「老年人口指数」は単純に、生産に従事する人に対する高齢者の比率。この値が高いほど、生産者の高齢者に関する負担が大きくなる。100に達すると生産年齢人口が老年人口と同じになる。
また、生産をする・しないで考えると、高齢者以外に年少人口に該当する人たちも生産は行えない。実質的には生産年齢人口は、年少人口と老年人口の双方を支えることになる。この点に注目した指数が「従属人口指数」。この値が大きいほど、非生産年齢人口を支える、生産年齢人口の総合的な負担が大きくなる。
「老年人口指数」「従属人口指数」主要国の推移を比較する
それでは早速、各国別に算出した各指数を重ね合わせ、国別の高齢化状況を比較するグラフを作成する。まずは「老年人口指数」について。シンプルに高齢化の進行を推し量るのに適している。

↑ 主要国老年人口指数推定(World Population Prospects 2024より試算)

↑ 主要国老年人口指数(2024年、2100年)(World Population Prospects 2024より)
日本の高齢化が他国と比べて飛びぬけて高い水準で進んでいることは、先の記事でも触れているが、それがあらためて認識できる。その日本の高齢化も2050年頃をピークとして、あとは指数はほぼ横ばいの流れとなる。横ばいになるとはいえ、ほとんどの他国と比べれば、非常に高い値には違いない。
他国の動向としては、中国の急速な高齢化が目にとまる。2024年時点では20ぐらいでしかなかった指数は2085年頃まで勢いよく上昇。2065年には日本を追い抜き、対象国の中では最大の値を示す形となる。人口の多さでは中国と並び注目されるインドやインドネシアは、高齢化の動きも緩やかなもので、一定率でしか上昇しない。ただしインドは2060年頃から上昇度合いがいくぶん加速し、インドネシアと距離を置くことになる。
続いて「従属人口指数」。単に高齢化社会の進行を確認するのではなく、生産年齢人口の負担を考える視点では、こちらの方が理解しやすい。

↑ 主要国従属人口指数推定(World Population Prospects 2024より試算)

↑ 主要国従属人口指数(2024年、2100年)(World Population Prospects 2024より)
国別順位や各国ベースでの動向において「老年人口指数」と大きな違いはないように見えるが、インドでは少々違いが見られる。インドでは2035年まで「従属人口指数」の値が低下している、つまり生産年齢人口の負担が減っている。
これはひとえにインドにおいて生産年齢人口が急激に増加し、年少人口や老年人口の上昇率を上回っているからに他ならない。支える側の人数が増えるので、一人あたりの負担が減る次第である。
単純計算ではそれだけ国全体、特に生産年齢の人達に余裕が出来るので、国そのものの成長が期待できる(無論人口比率や人口そのものの大小が、国そのものの伸縮を決定づけるすべての要因ではないが)。
先の記事でも触れているが、今回使用した国連の推定データは、定期的に最新のものに差し替えられ、場合によっては小さからぬ変化が生じることになる。実際、前回(2022年版)との間では、中国などで高齢化が進んでいるのが確認できる。今後も随時新規データを取り込んでグラフを作成し、各国の動向を年齢階層別比率から推し量ることにしよう。
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