NHK放送文化研究所では2013年9月4日に同所公式サイトにおいて、「2013年幼児生活時間調査」の概要を公表した。それによると幼稚園児は平日において7時頃には約半数が起きているのに対し、保育園児は同時刻に7割近くが目覚めていることが分かった。全般的に保育園児の方が幼稚園児よりも早起きの傾向がある。また、10年前の同様調査結果と比較すると幼稚園児、保育園児、そして未就園児すべてにおいて、現在の方が早起きのなのが確認できる(【NHK放送文化研究所:世論調査一覧ページ】)。



幼稚園児より保育園児の方が早起き


今調査は2013年3月3日と4日に、首都圏に住む0歳4か月以上就学(小学校入学)前の幼児を対象に調査票配布回収法で実施されたもの。記入は本人ではなく調査対象幼児の保護者が行っている。有効回答数は985人。

対象乳幼児を就園状況別に幼稚園児・保育園児・未就園児に区分し、それぞれ15分単位で寝ているか否かを確認したのが次のグラフ。例えば「0715-0730」では幼稚園児は46%と出ているので、「7時15分から30分の時点で、幼稚園児の46%はまだ寝ている」「54%は起きている」ことになる。

↑ 睡眠の時刻別推移(就園別・月曜)(2013年)
↑ 睡眠の時刻別推移(就園別・月曜)(2013年)

仮に寝ている乳幼児が50%を切る、つまり起きたのが50%を超えたタイミングを「標準起床時刻」とすると、幼稚園児と保育園児は共に7時から7時15分、未就園児は7時半から45分ということになる。未就園児はごく若い層も多分に含まれるので(【幼児を持つ母親の兼業率4割、10年で保育園預かり率は増加へ】参考)、起床時間が遅くなるのも何ら不思議な話ではない。

「標準起床時刻」は幼稚園児と保育園児で変わらないが、細かい時間別動向を見ると、全般的に保育園児の方が早起きとなっている。これは子供の特性上によるものではなく、保護者、特に母親の事情によるものだろう。保育園通いをさせている母親の方が、長時間労働をしている割合が高く(だからこそ幼稚園よりも預かり時間の長い保育園に子供を通わせている)、結果として家事の時間を少しでも長く取るために、朝も早起きをする必要がある。結果として子供にもより早起きをさせねばならなくなる次第である。

10年で早起き化する乳幼児


今件調査に関しては、ほぼ10年ほど前に同様のものが行われている。そこで、その結果を就園状況別に並べ見たのが次のグラフ。

↑  睡眠の時刻別推移(幼稚園・月曜)
↑ 睡眠の時刻別推移(幼稚園・月曜)

↑ 睡眠の時刻別推移(保育園・月曜)
↑ 睡眠の時刻別推移(保育園・月曜)

↑ 睡眠の時刻別推移(未就園児・月曜)
↑ 睡眠の時刻別推移(未就園児・月曜)

差はまちまちだがどの就園状態でも、一様に青線の方が赤線より上となっている。つまり同じ時間帯では2003年の方が2013年よりも寝ている子供の比率が高い。言い換えれば2013年の方が乳幼児は早起きの状態にあるといえる。また幼稚園児や保育園児の早起き化は保護者側、特に母親側の就労事情によると考えれば納得はできるが、未就園児においても早起き化が進んでいる、しかも幼稚園児・保育園児より割合が大きいのが気になるところ。

詳しくは別の機会で解説するが、今調査対象母集団では就寝時間も10年前と比べて早くなっている。単に保護者側の就労事情で早起き化したのではなく、乳幼児の早寝早起き化、つまり健康な睡眠サイクル化が進んでいると見た方が適切かもしれない。


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