メディケア生命保険は2013年11月11日付で、家族の絆と老後の生活に関する意識調査結果を同社公式サイト上に公開した。その内容によれば親・配偶者・子供がいる40代・50代で構成される調査対象母集団のうち、子供が離れた場所で生活している人にとって、その子供に自分の状況・安否を知らせるために使いたい新サービスは「センサーなどで様子を確認できる見守り・安否確認サービス」だった。「見守りサービスも兼ねる食事配達サービス」が続いているが、回答率は2割強とさほど高くない。一方、通信・ネット系でのサービスは「一般携帯電話・スマートフォンによる通話機能」の回答率が最大で7割を超えており、固定電話の通話が4割に届いている。また「LINE」が2割近く、「Skype」が1割強に達しており、チャット機能の利用も比較的高い値を示している(【メディケア生命保険リリース一覧ページ:家族の絆と老後の生活に関する調査結果】)。



センサーや食事宅配が2割強、新サービス希望者はあまり多くない


今調査は2013年10月18日から22日に渡って、携帯電話を用いたインターネット経由で行われたもの。有効回答数は1000件。対象は親・配偶者・子供いずれもを有する40-59歳の男女。男女比は均等割り当て。調査実施機関はネットエイジア。

今調査対象母集団においては、全員が子供のいずれかが回答者とは別居している。その子供に向けて、回答者自身の状況、安否を知らせるために、使いたいと思う新サービスや商品(通信機能に特化した、既存サービスを除く)について聞いたところ、もっとも強い需要があったのは「親(=回答者自身)の様子をセンサーによって確認できる見守り・安否確認サービス」で、23.7%の値を示すこととなった。

↑ 離れて暮らす子供に状況を知らせるために、使いたいと思う新しいサービスや商品(複数回答)
↑ 離れて暮らす子供に状況を知らせるために、使いたいと思う新しいサービスや商品(複数回答)

次いで多いのは「見守りも兼ねる食事宅配サービス」で22.8%、「テレビ電話で状況を確認してくれる自治体サービス」が22.0%と続く。先行する記事【「声を聴くのが一番」別居の親の安否確認、新サービスはセンサー系・通信は通話機能が人気】で回答者の親に向けて使いたい状況確認ツールの選択と大きな違いは無いが、やはりペットやロボット系のものは低い。またそれ以外もあわせ、全体的な回答率が低めなのが目に留まる。自分自身はまだ子供から安否を気遣われるほど、別途新サービスを導入してもらう必要はない、想像も出来ない、との認識が強いのだろう。

スマホ通話が7割で一番、LINEも2割近く


回答者世代がデジタル・ネットに熟知していることを再確認できるのが、次の結果。新サービス・商品ではなく、既存の通信・インターネットサービスで、別居している子供に自分の状況を知らせたいものを選んでもらったものだが、最上位は「一般携帯電話やスマートフォンによる通話機能」で7割を超えている。自分が保有していることはもちろん、子供もほぼ実装していることから、容易にやりとりができる、そして何よりもリアルタイムで実声を聞ける点で、多くの人が望んでいるのだろう。

↑ 離れて暮らす子供に状況を知らせるために、使いたいと思う通信・インターネット関連サービス(複数回答)
↑ 離れて暮らす子供に状況を知らせるために、使いたいと思う通信・インターネット関連サービス(複数回答)

また先の「別居の親の安否確認」で聞いた、回答者自身が高齢の親の状況確認の際に望むツールとしては「携帯・スマホ」と「固定電話」がほぼ同率だったが、回答者が子供に状況を伝えるツールとしては両電話間に大きな開きが生じている。これは回答者自身が固定電話を所有していない、あるいはほとんど使っていないことによるものと考えられる。固定電話から携帯電話に電話がかけられないわけではないが、わざわざ固定電話で話すより、常に使っている携帯電話を用いようという次第である。

また回答者と親との間にはデジタルギャップが多分に存在している可能性が高く、チャット系のサービスの利用希望率は低かったが、今件はそのようなデジタルギャップを気にする必要はないことから、チャット系の利用希望率も高い。特に「LINE」は2割に届きそうな回答率を示しており、同サービスの浸透ぶりがうかがえる。

技術の移行期、それでも安否は「声」が聞きたい


今調査では中堅層を回答者とし、「高齢者の親への安否確認」「子供に自分の安否報告」と、異なる世代への状況報告のツールを尋ねている。そこでその双方で、通信・インターネット関連サービスに関する結果を併記したのが次のグラフ。

↑ 離れて暮らす子供/親に状況を知らせる/知るために、使いたいと思う通信・インターネット関連サービス(複数回答、該当者限定)
↑ 離れて暮らす子供/親に状況を知らせる/知るために、使いたいと思う通信・インターネット関連サービス(複数回答、該当者限定)

デジタル・ネット色の強いサービスは、高齢の親に向けて使うとする回答率は低めで、唯一「固定電話の通話機能」が高くなっている。これは先の記事でも解説した通り、親が使いこなせない、所有していない可能性があるのが要因。また使うことはできても、固定電話の方が使い慣れていることから、その方が咄嗟の連絡・報告が必要な時にも、すぐに対応できるとの思惑もあるのだろう。

他方回答者との子供との間では、子供も通信・ネット関連サービスに長けていることが多分を占めているため、ネット系の利用希望率も高い。とはいえ、それでもなお、デジタルによる文字列や画像・映像の利用よりは、スマホであろうと固定電話であろうと、生の声を聞きたいとする意見が圧倒的に多い。デジタル機器を使いこなしている世代でも、やはり最後には声を直接聞き、安心したいという想いが強い。

今後、特にデジタルツールに満ちあふれた社会の中で生まれ育ったデジタルネイティブ世代が歳を重ねた時に、どのような反応を示すのか。やはり生の声が一番なのか、それともチャットで十分と判断するのだろうか。気になるところだ。


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