森永乳業は2013年11月6日、ノロウイルスに関する実態調査の結果を発表した。それによれば調査対象母集団においては、過去5年間に自分自身がノロウイルスに感染した経験がある人は13%、家族の感染経験者は16%に登ることが分かった。世代別では概して若年層の方が値は高く、20代に限れば1/4近くが感染経験ありとしている(【発表リリース:ノロウイルス感染経験8人に1人、20代が最多 効果がうすい対策を過半数が有効だと認識】)。



今調査は2013年10月5日から6日にかけて、インターネット経由で20代から70代の男女1200人に対して行われたもので、男女比、10歳区切りの世代構成比は均等割り当て。子供ありの人は男性162人・女性150人。

感染性胃腸炎や食中毒の原因となる「ノロウイルス」は元々年中感染しうるが、特に冬季に流行する。体力のある人は軽症で回復に向かうものの、体力に劣る人(子供やお年寄り、病症者)は重症化する場合が多々ある。またおう吐物を気道に詰まらせて窒息する事例もある。さらにノロウイルスそのものにはワクチンが無く、治療は対処療法に限られる(要は「この注射を打てばすぐに回復できる」というものが無い)のも問題視されているポイント。

今調査対象母集団に対し、直近5年間での回答者自身、及び家族の感染経験を聞いたところ、本人は12.8%、家族は15.6%との結果が出ている。

↑ 直近5年間でノロウイルスの感染経験
↑ 直近5年間でノロウイルスの感染経験

特に冬場で良く見聞きするノロウイルスだが、一方で「滅多に感染するものでもないし、他人事で自分には関係ない」という感はある。しかし実際には身近な感染症であることが分かる。何しろ6人から7人に一人は、過去5年間に感染したことを自覚しているのだから。

世代別に見ると概して若年層に感染傾向が強いことが確認できる。

↑ 直近5年間のノロウイルス感染経験率(本人、世代別)
↑ 直近5年間のノロウイルス感染経験率(本人、世代別)

20代では4人に1人、30代でも5人に1人が過去5年間で「自分自身の感染経験」がある、と答えている。自覚していない感染も含めればもう少し比率は上がるに違いない。

若年層の感染割合が高い要因はいくつか考えられるが、特に学校などで集団生活の場面が多いこと、幼い子供との接触機会が多いこと、さらには外食機会が多く、感染リスクが積み上げられてしまうのが主要因。実際、感染経験者にその経由を確認すると、全体同様「自分の子供」経由が最多回答だが比率は高く、さらに「同居家族」「学校・職場」「食べ物(外食)」でも、全体より高い値を示している。

↑ 自分が直近5年間でノロウイルスに感染した際の経由は(複数回答、一部)
↑ 自分が直近5年間でノロウイルスに感染した際の経由は(複数回答、一部)

特に全体値より高い値の「学校・職場」「食べ物(外食)」では、その場所自体に近づかない、手洗いをするなどの外的対策だけでは感染を防ぎにくい(ましてや「学校や職場に行かない」という手法を取れるはずはない)。免疫力や体力の強化のように、内なる対策が求められよう。


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