文部科学省は2013年12月16日、公立の小中高校などを対象にした各種アレルギー疾患に関する調査の中間報告を発表した。それによると今年8月の時点で食物アレルギーをり患している小学生は全体の4.5%、中学生は4.8%、高校生でも4.0%に達していることが分かった。アナフィラキシー経験者もそれぞれ0.6%、0.4%、0.3%が確認されている(【発表リリース:食物アレルギーに関する調査結果について】)。



今調査は全国の公立小学校・中学校・高等学校・中等教育学校を対象に、2013年8月時点の状況を確認したもの。調査対象児童生徒数は小学生464万2473人、中学校・中等教育学校が240万1024人、高等学校が169万3084人で、計1015万3188人(校種不明対象141万6607人含む)。

各学校区分別に、アレルギー疾患のり患者(有症者)状況を調べた結果は次の通り。なお「アナフィラキシー」とは本来「アレルギー反応でじんましんなどの皮膚症状、腹痛やおう吐などの消化器症状、ゼーゼー、呼吸困難などの呼吸器症状が、複数同時にかつ急激に出現した状態」を意味するが、今件では特定の物質や食品に対してそれらの症状を起こした経験を持つ者を指す。またエピペンとはアドレナリンの自己注射薬(医師の治療を受けるまでの間、アナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための応急処置的な薬)を指す。

↑ アレルギー疾患のり患者数(2013年8月時点)
↑ アレルギー疾患のり患者数(2013年8月時点)

↑ アレルギー疾患のり患者率(調査対象児童生徒数比、2013年8月時点)
↑ アレルギー疾患のり患者率(調査対象児童生徒数比、2013年8月時点)

全国の公立学校では食物アレルギーり患者が45万人、アナフィラキシー経験者が5万人、エピペンを保有している人が3万人近く居る計算になる。今件は公立学校のみを対象としているため、私立学校まで含めれば全体数はさらに増加するはず。

またり患者率だが、食物アレルギーは全体で4.5%。30人クラスで算出すると1.35人となるので、各クラス1人は食物アレルギーの子供がいる計算になる。また今件調査の限りでは小中学校が1校あたり大体300人強、高校が600人強となるので、各種学校とも1校あたり2人近くのアナフィラキシー経験者がいることになる。

世間一般のイメージ以上に浸透している感があるが、これは以前からのものだったのだろうか。今回発表資料には参考値として、6年前の同等調査の結果も記されているので、それを併記したグラフを作成し、確認する。

↑ 食物アレルギーのり患率推移
↑ 食物アレルギーのり患率推移

↑ アナフィラキシーのり患率推移
↑ アナフィラキシーのり患率推移

6年の間に大きな増加を示していることが確認できる。もちろんこの間にアレルギーに対する認知度が高まり、何らかの自覚症状を持ちつつも断定できていなかったレベルの人が診断の上、アレルギーであると判断されて治療対応を受けるようになるなど、啓蒙の結果によるところも小さくは無い(ガンなどのり患率でも似たような現象が生じる)。他方、未だ原因は特定・解明されていないものの、その一因であるとされる生活環境の変化や自己免疫機能の変化による可能性もある。

またアレルギー反応は特に食物において顕著であることから、学校給食の対応が欠かせない。今調査では学校側の対応状況に関する調査結果速報も併記されているが、文部科学省が呈している「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」に従った対応をしている学校は9割近くに登っているものの、給食の対応状況はまちまちで、必ずしも完全とは言い切れない状況にある。

今後ぜん息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎など他項目に関しての要項も含め、さらなる詳細な調査結果が伝えられる予定。発表され次第内容を精査したいところだ。


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