オールアバウト運営の生活トレンド研究所は2014年1月8日付で、「4都府県の防災意識」に関する調査結果を公開した。それによると防災用の備蓄やグッズはキッチンや寝室、玄関、押し入れなどに収納されていることが多いが、地域によって特性が見られることが分かった。例えば大阪府や兵庫県のような関西圏では、玄関を用いる事例が少ない結果が出ている(【発表リリース:「東京・静岡・大阪・兵庫の防災意識」に関する調査を実施】)。



今調査は2013年12月5日から11日にかけて、東京都・静岡県・大阪府・兵庫県在住の20歳から59歳の男女に対し、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は2628人。男女比、5歳区切りの世代構成比はほぼ均等割り当て。

大規模災害に備えた食料品などの備蓄や懐中電灯などの防災グッズは、普段は邪魔にならない、しかしいざという時にはすぐに取り出せるような場所に保存しておく必要がある。そこで、それらの備蓄やグッズをどのような場所に置いているかについて、地域別で尋ねた結果が次のグラフ。複数の場所に分散して置く事例が多いことから複数回答形式となっており、各地域で全選択肢を足すと100%を超えている。

↑ 備蓄、防災グッズの収納先(複数回答、地域別)
↑ 備蓄、防災グッズの収納先(複数回答、地域別)

どの地域でも多用されているのは、玄関・キッチン・寝室・納戸・押入れ。廊下や床下収納の回答者は少なめ。そもそも自宅に廊下や床下収納が無い、あったとしても普段使わない物を入れる余裕は無いものと考えられる。

他方、地域別に見ると、東京都は玄関、静岡県では納戸、大阪府と兵庫県ではキッチンとの回答率が一番高い。災害発生時に家からすぐに出る必要が生じるような事例では玄関に関連用品があるのが一番便利であるし、まとまった量が必要になる備蓄品はキッチンや納戸に置いておくのが都合がよい。先の東日本大地震・震災で大きな影響を受けた東京都、想定東海地震(駿河湾地震)の到来が懸念されている静岡県、前世紀末の阪神・淡路大震災の被害を多分に受けた兵庫県・大阪府でそれぞれ対応が異なっている様子がうかがえる。想定しうる、実体験した内容に即し、備えのスタイルを変えているということか。

冒頭でも触れているが、リリースでは関西方面地域で玄関の回答率が低いことを指摘し、防災グッズ(この場合は外への持ち出しが主な使い道となる非常用品袋)の玄関付近への配置啓蒙が進んでいない可能性があることを言及している。

公共団体では備蓄品や防災グッズなどの置き場所について、具体的なアドバイスをすることが少ない。家庭の事情がケースバイケースだからというのが最大の理由。とはいえ、適材適所的なガイダンス、啓蒙はなされるべきだろう。



ちなみに収納するモノ自身が無い、つまり備蓄や防災グッズを用意していない人に、その理由を聞いた結果が次のグラフ。最大の理由は「何をどれだけ揃えたら良いか分からないから」で過半数に達していた。

↑ 備蓄や防災グッズを用意していない理由(複数回答)
↑ 備蓄や防災グッズを用意していない理由(複数回答)

物語や漫画で時折見られる、勉強が分からない人が質問をする際に「そもそも何が分からないのか分からない」というパターンと同じ回答が最多となっている。予備知識の無い人が突然「備蓄が必要」「防災グッズが欠かせない」「自然災害に備えよう」云々と言われても、慌てふためくのが関の山。しかしながら、先の震災からすでに3年が過ぎようとしているが、今なおそのような状態の人が多数を占めていることになる。自治体はもちろんだが、関連しそうな各業界も積極的に、その該当分野だけでなく包括的、かつ分かりやすい形で、繰り返してのアドバイスが求められる。

他方「置く場所がない」「値段が高い」は、備えるべきものや量が把握できていても、物理的・金銭的な事情で用意できないとするもの。いずれも容易には解消しにくいハードルで、むしろトップの「何をどれだけ-」よりも事態の解消は難しい。廉価で有益なグッズの開発や、日常品としても容易に使える備蓄品・防災アイテムの開発が求められよう。


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