ロート製薬は2014年1月8日付で同社公式サイトにおいて、子供の花粉症に関する調査結果を発表した。それによると調査対象母集団の統計データでは、乳児の際に長期間の皮膚湿疹経験がある子供ほど、花粉症の発症率も高くなることが分かった。喘息やアトピー性皮膚炎など他のアレルギー症状でも同じような傾向が確認されている(【発表リリース:0-16歳までの子ども3475人の「子どもの花粉症」調査結果】)。



今調査は2013年11月26日から12月2日にかけて、0歳から16歳までの子供を持つ父母に対し、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は2082人。男女比は243対1839、世代構成比は20代74人・30代854人・40代1154人。回答要件は回答した父母の実感によるもので、必ずしも医師の診察結果によるものとは限らない。

同調査に関する先行記事にある通り、今調査対象母集団では約3割の子供が花粉症を発症している。

↑ 自分の子供は花粉症だと思うか(再録)
↑ 自分の子供は花粉症だと思うか(再録)

一方、花粉症などの各種アレルゲン感作(アレルゲン物質に対して敏感な状態にあること)が皮膚から始まるとの説がある。具体的には乳児期の湿疹から子供の各種アレルギー疾患が始まるというもの。そこで調査対象母集団を「子供が乳児(1歳までの赤ちゃん)の時に皮膚湿疹を持っていたか、経験があったか」に関して分類し、それぞれに現在のアレルギー症状を尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 1歳までの皮膚湿疹の状況別・現在のアレルギー症状
↑ 1歳までの皮膚湿疹の状況別・現在のアレルギー症状

概して湿疹が無かった子供ほど現在アレルギー症状を持つ確率は低く、湿疹経験があった、しかも長い経験を有する子供ほど、アレルギー症状を持つ可能性が高い。特にアトピー性皮膚炎や食物アレルギー、花粉症では大きな差異が見受けられる。

このデータのみで、「乳児の際の皮膚湿疹が各種アレルゲン感作の原因になる」と断じることは出来ない。いわゆる相関関係は容易に推測できるものの、因果関係を表したことにはならない。つまり乳児の皮膚湿疹そのものを治すことで、アレルギー症状発症のリスクを減らせるとは言い切れない。

一方、皮膚湿疹の原因となる要因が、各種アレルゲン感作の原因でもある可能性は少なからず考えられる。皮膚湿疹そのものがアレルギー症状との直接連動性があるのではなく、要因レベルでお互いに関係があるのではとする考え方である。

いずれにせよ、乳児の皮膚湿疹自身、放置しておくのは問題がある。各種お肌のケアや清潔感の維持など、専門書や専門家、育児経験者の話を基に、必要な手当てを施すことをお勧めする。同時に、乳児湿疹と各種アレルギー症状との間の相関・因果関係におけるさらなる調査に期待したいところだ。


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