厚生労働省は2014年1月24日、2011年度における特定健康診査・特定保健指導(特定健診。いわゆるメタボ健診)の実施状況を発表した。それによると2011年度の特定健診の実施率は44.7%であることが明らかになった。開始以来実施率は年々上昇している。また世代別・性別では男性は40代から50代で高めな一方、女性では世代による大きな差異は見受けられない(【発表リリース:平成23年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況(確報値)】)。



特定健診とは2008年4月から開始された、40歳から74歳までの公的医療保険に加入する人すべてを対象にした保健制度。生活習慣病、特に肥満傾向が進む現状への啓蒙の意味合いもあり、肥満関連の調査と指導が行われる。今調査結果は保険者からの実施状況に関する報告内容を、厚生労働省で精査して算出した値。

それによれば2011年度分の特定健診の実施率(健診対象者に対する実施者の割合)は、44.7%となり、半数近くの人が健診を受けたかたちとなった。

↑ 特定健康診査実施率推移
↑ 特定健康診査実施率推移

制度開始時の2008年度は38.9%だったが、翌年には41.3%と4割台に届き、直近では初年度比で5.8%ポイントのプラスとなっている。今のところ、健診率の上昇は順調のように見える(絶対値そのものはまだ低いが)。

これを受診対象者の世代別に見たのが次のグラフ。

↑ 特定健康診査実施率推移(世代別)
↑ 特定健康診査実施率推移(世代別)

受診率そのものは40代から50代までが高めで、60代に入ると低くなる。これは50代までは職場勤めの人が企業経由で受けるために後押しされる形となるが、定年退職後は半ば自発的に足を運ぶことになるからに他ならない(受診に関して個別ベースでの罰則が無いのが主な原因)。

また経年による上昇率も、50代までが高く、60代以降は低くなる。今後は60代以降の受診率をいかに上げていくかが特定健診の課題の一つとなる。

企業による後押しが無いと健診率が低くなる傾向は、男女別でも確認できる。

↑ 特定健康診査実施率(2011年度)(男女別)
↑ 特定健康診査実施率(2011年度)(男女別)

男性は就業年齢の50代までは高めだが、定年退職者が出始める60代になると急に落ち込み、60代後半ではむしろ女性よりも低くなる。就業時代の健康診断で安心して、油断している向きもあるのだろう。一方女性は多分に未就業にあることから、世代別の差異がほとんど出ない結果となっている。

「メタボ健診」という俗称からも分かる通り、特定健診は概して肥満をはじめとした生活習慣病の早期発見と状況改善を目的としている。特に自発的に健康診断を受ける機会を得にくい自営業者などは、積極的に活用してほしいものだ。他方、健診そのものへの意義をはじめ、健診内容に対する論議は今なお続いている。状況に合わせて必要ならば適切な改善が求められよう。


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