内閣府は2014年2月10日、防災に関する世論調査の結果を発表した。それによるとここ1、2年位の間に家族や身近な人と「災害が起きたらどうするか」などの話し合いをしたことがある人は6割を超えていることが分かった。震災前の調査結果と比べると2倍前後の伸びを示している。また具体的な内容としては「避難方法・時期・場所」を話し合った人がもっとも多く、次いで「家族や親族との連絡手段」「食料・飲料水について」が続いている(発表リリース:【防災に関する世論調査】)。



「災害が起きたらどうする?」話し合い経験者は6割強


今調査は2013年11月28日から12月15日にかけて層化2段無作為抽出法で選ばれた人を対象に、調査員による個別面接聴取法で行われたもので、有効回答数は3110人。

それによると、この1、2年位の間に、家族や身近な人と「もし災害(地震や竜巻、台風、河川の氾濫、大雪などの自然災害)が起きたらどうするか」について話し合いをしたことがある人は62.8%となった。

↑ ここ1-2年ぐらいの間に、家族や身近な人と、災害が起きたらどうするかなどの話し合いを行ったことがあるか(2013年11月-12月)
↑ ここ1-2年ぐらいの間に、家族や身近な人と、災害が起きたらどうするかなどの話し合いを行ったことがあるか(2013年11月-12月)

1、2年というと2011年3月の震災が発生して以降の話となるが、その間に話し合いをした人は6割強。多いか少ないか微妙な値といえる。

男女別では圧倒的に女性の方が多く、68.3%と男性を10%ポイント以上引き離している。これは震災関連の各種記事でも言及している通り、自然災害では男性よりも女性の方が反応が鋭く、また長期に渡る場合が多い傾向に則した結果といえる。

世代別では20代と70代以上がやや低め。前者は無関心度の高さや一人暮らしによるもの、後者もやはり一人暮らしや達観しての結果と考えられる。

今件調査は過去数回に渡り行われているが、今項目に関する前回調査は2002年と10年以上前のもの。それと比較すると2倍近く実行者は多い。他の調査項目からも元々防災意識は高まる傾向にあったようだが、やはり先の震災が意識を大きく底上げし、話し合いの必要性を実感させたようだ。

話し合いの内容は「避難方法・時期・場所」「連絡手段」「飲食料」


この1、2年に話し合いをしたことがある人に、その内容を聞いた結果が次のグラフ。空白部分はゼロでは無く、その年の調査では項目そのものが無かったことを意味する。

↑ 災害発生時にどうするかについて話し合った内容(話し合ったことがある人限定)
↑ 災害発生時にどうするかについて話し合った内容(話し合ったことがある人限定)

前回調査の2002年当時と、内容に関する優先順位に大きな変化はない。設問項目の違いでやや違いがあるが、似たような項目を突き合わせると差異が無い事が分かる。

一方、話し合いをした案件そのものの度合いは、大きく増加していることが分かる。これは例えば「昔は避難方法位しか話の対象にしていなかったが、先日の話では避難方法以外に連絡手段の確認、食料や飲料品の確保について議論を交わした」ということになる。それだけ震災の経験を経て、もしもの時のために、あらかじめ話し合い、意思疎通をし、決めておかねばならないことを認識したということになる。

具体的要件としては「避難方法・時期・場所」がもっとも多く65.5%。次いで「家族や親族との連絡手段」「食料・飲料水」が56.0%。いずれも先の震災で大きく問題視された、不便を覚えた項目であり、経験が活かされている。また持ち出し品や耐震建築周りなど、具体的な備えへの対応に関する意見交換も高い値を示しており、実際の対応が進むことが期待できる。

いざという時の備えはあればあるに越したことはない(無論過剰な備えで日常生活に支障をきたしては本末転倒)。震災を機会に防災意識が高まった動きは当然であると共に良い傾向ではある。今後この値が維持され、さらに上昇し、実行動に移されるよう、啓蒙運動など各種対策が求められよう。


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