幼稚園にしても保育園にしても、子供にとっては人生ではじめて、長時間に渡る定期的な団体行動の場において時を過ごすことになる。子供自身不安と期待で胸がいっぱいになるが、同時に保護者も心配毎が大いに増えるものである。ファイザーが2014年2月17日に発表した、乳幼児の入園準備と健康に関する母親の意識調査結果によれば、入園前の子供を持つ母親がもっとも心配しているのは「自分でトイレができるか」だった。ただし入園先が保育園の場合、それ以上に「病気をもらってこないか」との心配が保護者に生じていることが確認されている(【発表リリース:多くのお母さんが入園後、病院に行くことが多くなると実感】)。



今調査は2014年1月10日から16日に渡り、5歳までの子供を持つ母親を対象にインターネット経由で行われたもの。有効回答数は2470人。入園前児童は保育園533人・幼稚園932人、入園後児童は保育園288人・幼稚園717人。

入園前の子供を持つ母親が、入園に関して心配している事柄を挙げてもらった結果が次のグラフ。最上位には「自分でトイレができるか」がついている。

↑ 入園前に心配なこと(入園前の母親対象)
↑ 入園前に心配なこと(入園前の母親対象)

トイレ行動は生活の中で欠かせないものであり、礼儀作法としては最低限必要であるだけでなく、衛生面にも関わる大切なもの。しっかりと出来ていないと、子供本人だけでなく周囲にも迷惑をかけかねない。母親が心配するのも無理は無い。

次いで多いのは「好き嫌いなく食事ができるか」。さらに一つ飛んで「早起きができるか」など、日常生活を過ごす上では欠かせない、普段の行動様式が普通にできるか否かについての心配事が多い。

他方保育園も幼稚園も、集団生活への慣れ、他人とのふれあいの経験の場という意味もあることから、「友達ができるか」「挨拶が出来るか」といった、コミュニケーションに関する心配事も高めの値を示している。

これを通園種類別に見たのが次のグラフ。順番は総合値における並びをそのまま流用している。

↑ 入園前に心配なこと(入園前の母親対象)(園別)
↑ 入園前に心配なこと(入園前の母親対象)(園別)

幼稚園では「トイレ」「友達」「好き嫌い」「早起き」の順。ところが保育園では「病気をもらってこないか」が最上位についている。先行別途記事で解説している通り、保育園の方が園内滞在時間が長いことなどの理由から、他の園児からの病気をうつされてしまうリスクは高くなる。平均通院回数も、保育園児の方が多い。

↑ 入園前後の通院回数(2013年4月-12月)(平均)(再録)
↑ 入園前後の通院回数(2013年4月-12月)(平均)(再録)

このような実状を知っているからこそ、母親の心配もまた、他の園児から病気をもらってこないかについて強い心配を持つようになる。ある意味、当然の結果といえよう。

ところがその一方、入園後の子供を持つ母親に、入園前に準備した事柄について尋ねた結果を見ても、病気予防・対策をした人は少数に留まっている。

↑ 入園前に準備したこと(入園後の母親対象)
↑ 入園前に準備したこと(入園後の母親対象)

準備対策において手が回らないのか、それとも大丈夫だろうとたかをくくっているのかまでは分からないが、特に保育園に通う予定の子供を持つ母親は強い心配を抱いているにも関わらず、その対策が不十分な現状がうかがい知れる。

園内での子供の(風邪などの)感染予防は、子供自身が他の子供からうつされるのを防ぐだけでなく、他の子供へうつしてしまうことを防ぐのにもつながる。ワクチン接種やうがい・手洗いの習慣づけ、睡眠をしっかりとることなど、打てる手立ては極力施すことをお勧めしたい。


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