多くの子供達にとって携帯電話(一般携帯電話とスマートフォンの双方)はパソコン以上に、自分自身が自由に操作できるインターネットへの窓口となる。その携帯電話を通じて見聞きし足を踏み込んだネットの世界に、驚き歓喜し様々な経験を得るのはもちろんだが、同時に嫌なことを見聞きしたり、他人とのやりとりに疲れたり、過度の情報の波に埋もれるなど多種多様な理由から、気分が落ち込み、さらには自己嫌悪に陥ることもある。今どきの子供達はどの程度、そのようなネットによる体験をしているのだろうか。2014年3月10日にデジタルアーツが発表した【未成年の携帯電話・スマートフォン使用実態調査】の結果から、現状を確認していくことにする。



「携帯のネットで自己嫌悪」子供の1/4が今も経験


今調査は2014年2月17日から18日に渡り、携帯電話(機種は問わず)を持つ小学4年生から高校生の男女618人と、未就学児から高校生までの子供を末子に持つ保護者624人を対象とし、インターネット経由で行われた。携帯電話非保有者の子供は該当しない。また今件では保護者は取り扱わない。

冒頭で解説したように、携帯電話はネットの窓口となるが、そのネットの世界の深淵に触れることで気分が落ち込んだり、自分が嫌になるといったネガティブな気持ちにさいなまれることがある。これは子供に限らず大人でも十分あり得ることだが、情緒豊かな一方で人生経験の浅い子供にとっては深刻な問題となる。今件調査対象母集団にそのような経験があるか否かを聞いたところ、ほぼ1/4の人が「今なお経験している」という結果となった。

↑ 携帯電話でインターネットを使い始めてから気分が落ち込んだり自分が嫌になることがある
↑ 携帯電話でインターネットを使い始めてから気分が落ち込んだり自分が嫌になることがある

過去にはあったが今は無い(慣れたのか、回避する手立てを経験から会得したのか)人は数%ほどいるものの少数派。5%強が結構な頻度での経験をしており、2割が時折感じている。男女別では高頻度の割合こそ少ないものの、経験自身は女子の方が圧倒的に多い。先行記事で解説の通り、携帯電話の利用頻度、利用時間共に男子よりも女子の方が高密度なのが要因と考えられる。また感受性の高さも一因だろう。

女子高生は3/5が「携帯ネットで自己嫌悪」


これを学校種類別と性別で区分した結果が次のグラフ。

↑ 携帯電話でインターネットを使い始めてから気分が落ち込んだり自分が嫌になることがある(学校種類・男女別)
↑ 携帯電話でインターネットを使い始めてから気分が落ち込んだり自分が嫌になることがある(学校種類・男女別)

大体「携帯電話の利用頻度・時間」「より没頭しやすいスマートフォンの使用率」が高いほど、自己嫌悪に陥る可能性・高頻度の割合は高くなる。また中学生以上では概して男子より女子の方が高い値だが、これは上記の通り感受性の違いによるところだろう。女子高生に限れば約3/5が「携帯ネットで気が落ち込んだり自分が嫌になることがある」としている。今件は携帯電話所有者限定の話だが、高校生はほぼ全員が何らかの形で携帯電話を所有している実情を思い返せば、実質的に「女子高生全体の6割は、携帯電話によるネットへのアクセスで、気の落ち込みや自己嫌悪を経験しており、1/7強は結構な頻度で感じている」ことになる。

スマートフォンはネットへのアクセスを容易にすることから、それによる反動も大きい。高校生に限らず子供全体でスマホの利用の是非で確認すると、スマホ所有者の方が明らかに気の落ち込みや自己嫌悪の経験率が高い結果が出ている。

↑ 携帯電話でインターネットを使い始めてから気分が落ち込んだり自分が嫌になることがある(スマホ所有状況別)
↑ 携帯電話でインターネットを使い始めてから気分が落ち込んだり自分が嫌になることがある(スマホ所有状況別)

これらの結果をもとに、保護者や教育機関は子供の携帯電話保有を否定するのではなく、保有によって子供達が心境の落ち込みを経験し得ることを前提とし、心構えや正しい対応方法について啓蒙することが求められよう。


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