養命酒製造は2014年5月21日、育児をする女性の疲れに関する調査結果を発表した。それによると自分の子供と同居する30代・40代で構成される調査対象母集団においては、平均で現状の子供の人数でもう十分だと考えている人は3/4に達していることが分かった。子供の数が多いほど、さらに欲しいとする割合は減少していく(【発表リリース:『子育てママの“疲れ”に関する調査』をUP!】)。



今調査は2014年5月9日から12日にかけて子供と同居する30代・40代の女性に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。そのうち子供1人は500人・2人は250人・3人以上が250人。調査実施機関はネオマーケティング。

今調査対象母集団に対し、それぞれの現在の子供人数別に、今後子供がさらに欲しいか、欲しい場合はどの程度の人数が欲しいかを聞いた結果が次のグラフ。今調査対象母集団構成比における全体では、77.3%が現状で十分とし、さらに子供が欲しいと願っている人は1/4未満に留まっている。

↑ あなたは今後、子供が欲しいと思いますか
↑ あなたは今後、子供が欲しいと思いますか

今件のような調査では、実は全体比はあまり意味がない。各条件別の回答率に注目する必要がある。子供が一人の場合、大よそ2/3は現状維持を望み、1/3強はさらに子供が欲しいと願っている。しかし2人以上を望む人は1割にも満たない。現在子供が1人の女性は「今のままで十分、多くてもせいぜいあと一人だけ」との考えが大勢を占めていることになる。

これが現状で二人となると、さらに子供を望む声はグンと少なくなる。その割合、実に約1割。しかもその大半は「あと一人のみ」で、二人以上はほとんどゼロに等しい。ところが現状ですでに三人以上の人になると、現状維持派の比率はさほど変わらず、これ以上の子供を望む人のうち、より多い人数を望む人の割合が、多少ではあるが多くなる。元々大人数でも許容できる環境下にあるのか、心境的に大人数の子供を望む人が現状ですでに3人以上の子供を抱えているのか。いずれか、あるいはその双方の事由によるものだろう。

どちらにしても、子供がいる女性において、その多分は「子供は今の人数で十分」と考えていることになる。今件調査ではその理由についてまでは調べていないが、経済的な視点だけでなく、居住環境や育児など、子育てが難しい状況では、その考えに至るのも致し方あるまい。少子化対策においては、例えば今件調査の結果として生成されるグラフで、青の部分が少なくなり、赤系統の部分が多くなるような環境作りが求められよう。



以下、やや余談ではあるが。子供がいる世帯における平均子供人数を1.5人、3人以上の平均を3.2人と仮定し、その上で「現状」+「さらに欲しい子供人数」を試算し、それぞれの現状人数における理想的な子供の数を求めた結果が次のグラフ。

↑ 現状+希望の子供人数
↑ 現状+希望の子供人数

多分に現状の人数に左右されるところはあるが、いずれのパターンでも「現状からさらに欲しい」とする人数は少なめであることが分かる。これが「本当はもっと子供が欲しいが現状をかんがみるに……」という判断の上でのものなのか、「環境を考慮しない、希望的な人数」なのかまでは推し量ることは難しいが(設問では単純に「今後子供が欲しいか」とのみ聞いている)、人口維持のための子供人数「人口置換水準」2.08人と合わせ見ると、色々と複雑な心境になる人も少なくあるまい。


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