歩行中、特に他人が行きかう場面で歩きながらスマートフォンを操作する行為を「歩きスマホ」と呼び、昨今では社会問題視されている。読書しながら、あるいは携帯ゲーム機を操作しながらの歩行同様に周囲への状況把握がしにくくなり、他人と衝突、あらぬ場所に足を踏み入れる、注意が耳に入らずにトラブルに巻き込まれるなどの事案が多数発生しているからだ。特にスマートフォンはその魅力から操作時の注力度合いは著しく、他の「ながら行動」以上に周囲への注意がそがれてしまうため、リスクは高いものとなる。この「歩きスマホ」について調査をした結果が先日ライフメディアのリサーチバンクから発表されたが、それによれば調査対象母集団のうちスマートフォンを所有している人の6割強が「歩きスマホ」の経験があるとし、その過半数ではその際にメールや地図、通話機能を利用しているという(【発表リリース:歩きスマホに関する調査】)。
今調査は2014年5月16日から21日にかけてインターネット経由で、10代から60代の男女に対して行われたもので、有効回答数は1200件。男女比、10歳区切りの世代構成比は均等割り当て。
今調査対象母集団ではスマートフォンの保有者(≒利用者)は53.8%。一方「歩きスマホ」という言葉を認知している人は76.3%に達している。そのスマートフォン所有者の人に、屋内外を問わず「歩きスマホ」をしているか否かを聞いたところ、61.9%の人が「することがある」と回答した。「した経験がある」「したことがある」では無いので、比較的常習的に、日常茶飯事的にしていることを意味しての回答と見て良い。
↑ 屋内外で歩きスマホをすることはあるか(所有者限定)
男女比ではやや男性の方が高い値を示している。これは後述するが歩きスマホ時の利用機能として、屋外で業務上スマートフォンを使う際に活用されやすい地図機能、通話機能が使われているからだと考えられる。それでも女性も6割が歩きスマホをしていると答えている。
では実際、歩きスマホをしている人は、その最中にどのような機能を使っているのだろうか。「何もせずに何も稼働させずにスマートフォンを見ながら歩く」ということは考えにくい(動画や電子書籍を読む場合は、それぞれのアプリなりサービスを稼働させていることになる)。複数回答で聞いた結果が次のグラフだが、過半数回答項目は「メール」「地図」「通話」と、実用的な利用によるところが多い機能で占められることとなった。
↑ 歩きスマホをしながら使う・見るスマホの機能(複数回答、歩きスマホをすることがある人限定)
「地図」や「通話」は移動過程で利用することを前提とした、あるいは必要性の高い機能であり、歩きスマホをしてしまうのも理解は出来る(して良いか否かとはまた別の話)。スマートフォン普及以前の時代、従来型携帯電話で通話をしながら街中を歩く人はごく普通に見受けられ、それがスマートフォンに変わっただけでしかない。「地図」はその場に留まって操作すればそれで済むはずなのだが、操作そのものが容易なため、つい歩きながらチェックをしてしまう。「乗換・時刻表」なども、この部類に属すると考えられる。
一方「メール」や「コミュニケーションアプリ(LINEなど)」「SNS」は、これら意志疎通ツールによるやり取りにおいて、少しでも早く返事をしたい、回答を確認したいとの想いから、つい立ち止まらずに、小休止の時間すら待てず、移動途中で利用してしまうことになる。「常につながっていたい」「いつでも相手と対話できる体制を整えたい。少しでも断絶するのはイヤだ」という、過度ともいえるコミュニケーションを求める姿勢が、歩きスマホに走らせるものと見れば道理は通る。
これを男女別に区分した上で再集計したのが次のグラフ。
↑ 歩きスマホをしながら使う・見るスマホの機能(複数回答、歩きスマホをすることがある人限定)(男女別)
実用的利用が多い「地図」「ネット検索・閲覧」はビジネス利用が多い男性の方が高い値を示しているが、それ以外では概して女性の方が多い。特に高頻度なやりとりが行われやすいソーシャル系の機能で(とりわけ「コミュニケーションアプリ」で)女性が高い値を示しているのが目に留まる。女性がスマートフォンを用いたコミュニケーションを強く求めており、その結果として同機能が歩きスマホの要因になりやすいという状況が確認できる。
またゲーム利用では男性の方が高い値が出ている。これは高校生に限った話ではあるが、【携帯電話でナニしてる? 高校生のケータイライフ】でも同様の結果が出ており、「男性はゲーム」「女性はソーシャルメディア」という利用実態の違いが透けて見えて興味深い。
必要性、アプリや機能の熱中ゆえなど、「歩きスマホ」をしたくなる、せざるを得ない事由は多数考えられる。コミュニケーション系の機能は「一刻も早く知りたい」、位置情報などの情報取得系は「立ち止まってなどいられない」という利用側の気持ちは、理解できる人も多いはず。
しかしその「ちょっとした気持ち」、可能ならば数秒、数十秒程度立ち止まることで回避できるリスクを背負ってまで、「歩きスマホ」で得られる情報、満足感は、重要なものだろうか。そのリスクが体現化してしまうことで生じる実害を考えれば、とてもではないが天秤にはかることすらできないはずなのだが。
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↑ 屋内外で歩きスマホをすることはあるか(所有者限定)
男女比ではやや男性の方が高い値を示している。これは後述するが歩きスマホ時の利用機能として、屋外で業務上スマートフォンを使う際に活用されやすい地図機能、通話機能が使われているからだと考えられる。それでも女性も6割が歩きスマホをしていると答えている。
では実際、歩きスマホをしている人は、その最中にどのような機能を使っているのだろうか。「何もせずに何も稼働させずにスマートフォンを見ながら歩く」ということは考えにくい(動画や電子書籍を読む場合は、それぞれのアプリなりサービスを稼働させていることになる)。複数回答で聞いた結果が次のグラフだが、過半数回答項目は「メール」「地図」「通話」と、実用的な利用によるところが多い機能で占められることとなった。
↑ 歩きスマホをしながら使う・見るスマホの機能(複数回答、歩きスマホをすることがある人限定)
「地図」や「通話」は移動過程で利用することを前提とした、あるいは必要性の高い機能であり、歩きスマホをしてしまうのも理解は出来る(して良いか否かとはまた別の話)。スマートフォン普及以前の時代、従来型携帯電話で通話をしながら街中を歩く人はごく普通に見受けられ、それがスマートフォンに変わっただけでしかない。「地図」はその場に留まって操作すればそれで済むはずなのだが、操作そのものが容易なため、つい歩きながらチェックをしてしまう。「乗換・時刻表」なども、この部類に属すると考えられる。
一方「メール」や「コミュニケーションアプリ(LINEなど)」「SNS」は、これら意志疎通ツールによるやり取りにおいて、少しでも早く返事をしたい、回答を確認したいとの想いから、つい立ち止まらずに、小休止の時間すら待てず、移動途中で利用してしまうことになる。「常につながっていたい」「いつでも相手と対話できる体制を整えたい。少しでも断絶するのはイヤだ」という、過度ともいえるコミュニケーションを求める姿勢が、歩きスマホに走らせるものと見れば道理は通る。
これを男女別に区分した上で再集計したのが次のグラフ。
↑ 歩きスマホをしながら使う・見るスマホの機能(複数回答、歩きスマホをすることがある人限定)(男女別)
実用的利用が多い「地図」「ネット検索・閲覧」はビジネス利用が多い男性の方が高い値を示しているが、それ以外では概して女性の方が多い。特に高頻度なやりとりが行われやすいソーシャル系の機能で(とりわけ「コミュニケーションアプリ」で)女性が高い値を示しているのが目に留まる。女性がスマートフォンを用いたコミュニケーションを強く求めており、その結果として同機能が歩きスマホの要因になりやすいという状況が確認できる。
またゲーム利用では男性の方が高い値が出ている。これは高校生に限った話ではあるが、【携帯電話でナニしてる? 高校生のケータイライフ】でも同様の結果が出ており、「男性はゲーム」「女性はソーシャルメディア」という利用実態の違いが透けて見えて興味深い。
必要性、アプリや機能の熱中ゆえなど、「歩きスマホ」をしたくなる、せざるを得ない事由は多数考えられる。コミュニケーション系の機能は「一刻も早く知りたい」、位置情報などの情報取得系は「立ち止まってなどいられない」という利用側の気持ちは、理解できる人も多いはず。
しかしその「ちょっとした気持ち」、可能ならば数秒、数十秒程度立ち止まることで回避できるリスクを背負ってまで、「歩きスマホ」で得られる情報、満足感は、重要なものだろうか。そのリスクが体現化してしまうことで生じる実害を考えれば、とてもではないが天秤にはかることすらできないはずなのだが。
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