総務省消防庁は2024年10月8日、同年9月30日から10月6日の一週間における熱中症による救急搬送人員数が428人(速報値)であることを発表した。今年分は4月29日から熱中症による搬送人員数の調査を始めており、消防庁が掌握している累計人員数は9万7578人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は幸いにもゼロだったが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は5人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位、速報値(一部確定値)、人)(2024年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(速報値、人)(2024年9月30日-10月6日)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分比率)(2024年)
東日本大震災から13年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることは否定できない。また2024年2月時点で気象庁が発表した最新の暖候期予報では、平均気温は全国的に平年と比べて高めになる可能性が高いとの話だった(【全国暖候期予報(06月-08月)(気象庁)】、2024年2月20日発表)。熱中症リスクの観点では危険な状況と判断できる。さらに今年は昨年に続き新型コロナウイルスの流行が継続中で、マスク着用を求められる場面が多いことから、熱中症には一層の注意が必要となっている。
↑ 暖候期予報(夏(6-8月)の平均気温・降水量)(気象庁、2月時点)
消防庁では例年と同じように熱中症による救急搬送人員数の調査とその結果報告について、5月初日が含まれる週の月曜となる4月29日から開始する形で、逐次報告を行うことを2024年4月12日の時点で発表している(【消防庁:「夏期における熱中症による救急搬送人員の調査」の開始について(依頼)(令和6年4月12日)】)。
今回発表された各種値は今年の分としては23週目のものとなる。現時点では速報値であり、今後逐次確定値に切り替えられることになる(確定値は速報値よりもいくぶんの増加が生じることが多い)。
地域別では大阪府の41人をはじめ、愛知県の32人、鹿児島県の31人などが人数の上で上位につけている。人数で見ると西日本と人口密集地帯に多いように見えるが、人口1万人あたりで見ると西日本、特に九州に多い傾向が見受けられる。
↑ 東京都の天候と最高気温(度)(2024年9月30日-10月6日)
↑ 大阪府の天候と最高気温(度)(2024年9月30日-10月6日)
↑ 熱中症による救急搬送状況(救急搬送人員数上位都道府県、人)(2024年9月30日-10月6日)
↑ 熱中症による救急搬送人員数(都道府県別、人)(2024年9月30日-10月6日)
↑ 熱中症による救急搬送人員数(人口1万人あたり、都道府県別、人)(2024年9月30日-10月6日)
消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に気をつけましょう(横浜市 健康福祉局)】)。
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、2024年は4月24日から開始している。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用、従来型携帯電話用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】、【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】、【環境省熱中症予防情報サイト(従来型携帯電話用)】)。
↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)
電力需給の観点で電力使用に関する制限の類が現時点では行われる様子はないのが幸いだが、電力需給に関する警戒心は今なお持っておく必要があることに違いはない。また電気代の生活費への負担懸念から、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる(【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】や【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話もあり、高齢者のエアコン忌避は単に節約心によるものだけとは限らない)。特に今年はロシアによるウクライナへの侵略戦争の影響などで資源価格が高騰し、その影響で電気代が大きな値上がりをしている関係から、冷房機器の利用を躊躇する動きが強まる懸念がある。
消防庁では2008年以降熱中症による救急搬送者数について発表しているが、これまでの各年における調査期間内の累計数最大値は2018年の9万5137人。今年2024年は現時点で速報値ではあるがすでにその値を超えており、過去最高値となることはほぼ間違いない。
日取りの上では10月に入り、今夏における暑さのピークは、とうに過ぎたものの、引き続き熱中症のリスクには留意しなければならないのに変わりはない。特に今年は残暑が厳しく、この時期でも真夏日が各地で観測されている(10月7日時点で真夏日観測地点は76か所にのぼっている。本日10月8日においても複数か所で真夏日観測が確認済み)。エアコンを生命維持装置と表現できる気温は継続している。
平年通りなら今回週で今年分の熱中症による救急搬送人員数の発表は終了となるが、今後も油断することなく、知識、ノウハウを再確認し、自分自身はもちろん周囲の人も併せ、健康管理に留意してほしいものである。
↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである
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東日本大震災から13年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることは否定できない。また2024年2月時点で気象庁が発表した最新の暖候期予報では、平均気温は全国的に平年と比べて高めになる可能性が高いとの話だった(【全国暖候期予報(06月-08月)(気象庁)】、2024年2月20日発表)。熱中症リスクの観点では危険な状況と判断できる。さらに今年は昨年に続き新型コロナウイルスの流行が継続中で、マスク着用を求められる場面が多いことから、熱中症には一層の注意が必要となっている。
↑ 暖候期予報(夏(6-8月)の平均気温・降水量)(気象庁、2月時点)
消防庁では例年と同じように熱中症による救急搬送人員数の調査とその結果報告について、5月初日が含まれる週の月曜となる4月29日から開始する形で、逐次報告を行うことを2024年4月12日の時点で発表している(【消防庁:「夏期における熱中症による救急搬送人員の調査」の開始について(依頼)(令和6年4月12日)】)。
今回発表された各種値は今年の分としては23週目のものとなる。現時点では速報値であり、今後逐次確定値に切り替えられることになる(確定値は速報値よりもいくぶんの増加が生じることが多い)。
地域別では大阪府の41人をはじめ、愛知県の32人、鹿児島県の31人などが人数の上で上位につけている。人数で見ると西日本と人口密集地帯に多いように見えるが、人口1万人あたりで見ると西日本、特に九州に多い傾向が見受けられる。
↑ 東京都の天候と最高気温(度)(2024年9月30日-10月6日)
↑ 大阪府の天候と最高気温(度)(2024年9月30日-10月6日)
↑ 熱中症による救急搬送状況(救急搬送人員数上位都道府県、人)(2024年9月30日-10月6日)
↑ 熱中症による救急搬送人員数(都道府県別、人)(2024年9月30日-10月6日)
↑ 熱中症による救急搬送人員数(人口1万人あたり、都道府県別、人)(2024年9月30日-10月6日)
消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に気をつけましょう(横浜市 健康福祉局)】)。
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、2024年は4月24日から開始している。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用、従来型携帯電話用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】、【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】、【環境省熱中症予防情報サイト(従来型携帯電話用)】)。
↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)
電力需給の観点で電力使用に関する制限の類が現時点では行われる様子はないのが幸いだが、電力需給に関する警戒心は今なお持っておく必要があることに違いはない。また電気代の生活費への負担懸念から、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる(【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】や【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話もあり、高齢者のエアコン忌避は単に節約心によるものだけとは限らない)。特に今年はロシアによるウクライナへの侵略戦争の影響などで資源価格が高騰し、その影響で電気代が大きな値上がりをしている関係から、冷房機器の利用を躊躇する動きが強まる懸念がある。
消防庁では2008年以降熱中症による救急搬送者数について発表しているが、これまでの各年における調査期間内の累計数最大値は2018年の9万5137人。今年2024年は現時点で速報値ではあるがすでにその値を超えており、過去最高値となることはほぼ間違いない。
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平年通りなら今回週で今年分の熱中症による救急搬送人員数の発表は終了となるが、今後も油断することなく、知識、ノウハウを再確認し、自分自身はもちろん周囲の人も併せ、健康管理に留意してほしいものである。
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