警察庁は2014年6月5日、高齢運転者(75歳以上)の交通事故防止に関するアンケート結果を発表した。それによると調査対象母集団においては、7割近くの人が「高齢運転者はブレーキを踏むのが遅れるなど運転時の反応が遅い」、5割強が「周囲の状況に注意を払わない」と考えていることが分かった。また89%は高齢運転者に対して現状以上の対策を講じるべきだとの意見を有している(【発表リリース:高齢運転者による交通事故防止に関するアンケートの実施について】)。
今調査は2014年4月18日から30日にかけて運転免許試験場などで行われたもので、有効回答数は3000人。うち75歳以上は369人。世代構成比は10代0.2%・20代18.9%・30代18.6%・40代19.3%・50代12.6%・60代11.4%・70代15.4%・80代3.5%・90代以上0.1%。59.2%は免許取得から20年以上が経過している。また週1以上で運転している人は84.8%に達し、ほとんど・まったく運転していないペーパードライバー率は7.8%。
今調査が実施されるきっかけとなった事象の一つに、高齢運転者の事故率が高いという現実がある。2013年における原付以上運転者による第一当事者の運転免許保有者10万人あたりの死亡事故件数は、75歳以上に限定すれば75歳未満の2.5倍という結果が出ている。絶対数は75歳以上の方が当然少ないが、比率的な問題として高率であることに違いは無い。
↑ 2013年の免許保有者10万人当たりの死亡事故件数
現実問題として事故が起きやすいことが数字的に裏付けられてるわけだが、世間一般的には高齢運転者に対してはどのような印象があるのだろうか。12%強の該当者自身も含む調査対象母集団に対し、複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。「ブレーキを踏むのが遅れるなど、運転時の反応が遅い」とする意見は68.9%。7割近くの人は「運転時の反応が遅い」との認識を高齢運転者に対して有していることになる。
↑ 一般的に75歳以上の高齢運転者にどのようなイメージを持つか(複数回答)
似たような回答で、注意力が減退することで「周囲の状況に注意を払わない」とのイメージを持つ人は56.3%と過半数に達している。一方でポジティブな意見、例えば「周囲の状況によく気を配って運転している」は13.0%に留まっている。概して「高齢運転者は(加齢などの影響で)運転の上では若年層と比べて反応の面でリスクが大きい」との認識があるようだ。
それではこのような認識状況を受けて、どのような対処を成すべきかという問題意識を持っているだろうか。対策方面で選択肢を用意し、いずれか一つを選んでもらった結果が次のグラフ。何らかの現状以上の対策を求める意見が88.9%を占める形となった。
↑ 75歳以上の高齢運転者による交通事故について、どのように思うか(択一)
グラフでは左の選択肢ほど高齢運転者対策への重要認識度が強い並び方になっているが、最優先は3割足らずでしかないものの、現状以上の対策を打つべきであるとの認識を持つ人は6割に及び、現状以上の対策は必要ないとの意見は1割にも満たない。今調査対象母集団のうち12%強が高齢運転者自身であることを考えれば、それらの人の中にも対策強化を願う人が少なからずいることになる。
警察庁では今回の調査結果、特に対策強化を望む声が多かったことを受け、6月16日に対策の有り方に関する検討委員会を開催するなど、具体的な対策に乗り出す姿勢を示している。今後さらに高齢者の数が増え、リスク体現実数が増加することが容易に想像できることを考えれば、極めて順当な対応といえよう。
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↑ 2013年の免許保有者10万人当たりの死亡事故件数
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↑ 一般的に75歳以上の高齢運転者にどのようなイメージを持つか(複数回答)
似たような回答で、注意力が減退することで「周囲の状況に注意を払わない」とのイメージを持つ人は56.3%と過半数に達している。一方でポジティブな意見、例えば「周囲の状況によく気を配って運転している」は13.0%に留まっている。概して「高齢運転者は(加齢などの影響で)運転の上では若年層と比べて反応の面でリスクが大きい」との認識があるようだ。
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警察庁では今回の調査結果、特に対策強化を望む声が多かったことを受け、6月16日に対策の有り方に関する検討委員会を開催するなど、具体的な対策に乗り出す姿勢を示している。今後さらに高齢者の数が増え、リスク体現実数が増加することが容易に想像できることを考えれば、極めて順当な対応といえよう。
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