先日まで【平均世帯人員と世帯数推移】をはじめ複数の記事で平成25年度(2013年度)版の「国民生活基礎調査の概況」を基にした、日本国内における世帯構成などの状況確認を行った。その記事執筆の際に参考資料としてチェックを入れた資料の一つが、国立社会保障・人口問題研究所による「『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2013(平成25)年1月推計)」。今回はこの発表資料の中で参考事例として挙げられていた、諸外国の平均世帯人員や単独世帯(独り身世帯)の割合を確認していくことにする(【発表リリース:『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2013(平成25)年1月推計)】)。



まずは諸外国と日本、そして国立社会保障・人口問題研究所が予想した2035年時点での日本における、平均世帯人員。原則的に少子化が進めばそれだけ平均世帯人員が減るので、この数字の低さは少子化が進んでいることの証ともなる。

↑ 平均世帯人員(人)(2009-2012年)
↑ 平均世帯人員(人)(2009-2012年)

日本は現時点ですでに2.4人(今件資料上。2014年の「国民生活基礎調査の概況」上では2.51人)と国際的水準の上では低めの値にある。2.4人を基準とすると、それより高いのは今件グラフ内では台湾、韓国、アメリカ、カナダの4か国。低いのはイギリス、オーストラリアなど北西欧国7か国。一方で2035年の時点では日本はさらに少子化・小世帯人数化(&≒多世帯化)が進み、平均世帯人数は2.2人にまで落ち込むと予想されている。

一方、単独世帯割合だが、原則的には平均世帯人員数が少ない国ほど、高い割合を示している。今件抽出された諸国の中では、ドイツがもっとも高く40.4%。つまりドイツでは全世帯の4割は一人身世帯という計算になる。

↑ 単独世帯割合(%)(2009-2012年)
↑ 単独世帯割合(%)(2009-2012年)

日本は今件資料の上では32.4%。ほぼ1/3世帯が一人身世帯。高い比率ではドイツ以外にノルウェーやデンマークがほぼ4割、オランダやオーストリア、フランス、アメリカまでが3割台で、序列的には日本はそれに続く形となる。韓国などは平均世帯人員が多いこともあり、単独世帯割合も低め。特に韓国は1/4を切っている。

台湾は世帯人員数が多く単独世帯割合も低いものの、出生率は欧米諸国、さらには日本を追い越し世界最低水準を示しているとの説明もある(同じく国立社会保障・人口問題研究所によるレポート【台湾の少子化と政策対応(PDF)】に詳しい解説が成されているが、多様な社会環境の影響を受け、台湾の出生率は大きな低下を続けており、2011年の合計特殊出生率は1.065に留まっている。また2010年では0.895まで低下し、世界最低水準となった)。

日本の状況だが2035年時点ではさらに単独世帯の割合は増加し、37.2%をつけると予想されている。これは現時点のオランダやデンマークに匹敵する値となる。



レポートでは平均世帯人員、単独世帯割合共に、2035年時点の日本は北西欧諸国並(2010年前後)に達すると予想する一方、それらの国の中でも高い水準にあるノルウェー・デンマーク・ドイツほどにはならないとしている。

世帯構成は社会環境、文化的要因も多分に影響するので、数字が同じならば同じ状況になるとは一概には言えないが、類似の数字を持つ国の状況には留意するにこしたことはないだろう。


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