内閣府は2014年6月13日、高齢期に向けた「備え」に関する意識調査の結果を発表した。それによると中堅以降定年退職前後の世代から成る調査対象母集団においては、4割以上の人が高齢者は「70歳以上である」と認識していることが分かった。回答者の男女別では女性の方が、世代別では歳を経るほど、「高齢者」の認識年数が上になる傾向が確認できる(【発表リリース:高齢期に向けた「備え」に関する意識調査】)。



今調査は2013年11月28日から12月31日にかけて、層化二段無作為抽出法によって選ばれた全国の35歳から64歳の人に対し、郵送配布・郵送回収方式で行われたもので、有効回答数は2707人。

「高齢者」という言葉には特に定められた年齢は無いが、日本では通常の定年退職となる歳の65歳を区切りとする場合が多い。海外では多くの調査機関による調査の区切りにおいて、60歳を区切りとする事例が見受けられる。他方、医学の進歩や社会インフラの整備などで寿命が延び、さらに一度定年退職を迎えた人が再び職に就く事例も増えており、65歳を「高齢者」の区切りとして用いるのには抵抗感を覚える人も増えている。いずれにせよ、「年金や就労」が「高齢者」の大まかな基準とされているが、身体的な衰えの上で区切るべきとの認識も根強いのが現状。

今調査対象母集団に対し、一般的に「高齢者」とは何歳以上だと思うかと聞いたところ、最多回答区分は70歳以上となった。42.3%の人が同意を示している。

↑ 一般的に「高齢者」とは何歳以上だと思うか(択一)
↑ 一般的に「高齢者」とは何歳以上だと思うか(択一)

定年退職や年金周りでは「高齢者」認識の世代とされる「65歳以上」の回答率は22.1%。金銭・就労面から見た「高齢者」区分と、世間一般における認識とでは5歳位のずれがあるようだ。一方で「年齢では判断できない」とする人は2.4%に留まっており、ほとんどの人は年齢で「高齢者」の仕切りをしていることに違いは無い。

これを回答者の性別に集計し直したのが次のグラフ。

↑ 一般的に「高齢者」とは何歳以上だと思うか(択一)(男女別)
↑ 一般的に「高齢者」とは何歳以上だと思うか(択一)(男女別)

低い年齢層では男性の方が回答率が高く、「70歳以上」の項目より高い年齢層では女性の方が高回答率を示している。女性の方が「高齢者」との言葉に対し、より歳を取った人との認識が強い。

これをさらに回答者の世代別で詳細に仕切り直すと、もう一つの傾向「回答者の年齢が若いほど『高齢者』判定の年齢も若くなる」が見えてくる。

↑ 一般的に「高齢者」とは何歳以上だと思うか(択一、世代・性別)(平均値、歳)
↑ 一般的に「高齢者」とは何歳以上だと思うか(択一、世代・性別)(平均値、歳)

男女別では女性の方が、世代別では歳を経るほど「『高齢者』はもっと年上」と考えている。男女別では大よそ1歳、世代別では30代後半と60代前半で1歳から2歳ほどの差異が生じている。誤差の範囲とも受け止められるが、微妙な認識の差が表れている。



設問ではあくまでも「世間一般的に」ではあるが、多分に回答者自身の認識が表れている。若い人ほど、そして男性の方が、「高齢者」の判断は低い年齢で、歳を経るほど、女性の方が高い年齢で行うのは、多分に「自分が高齢者判定を受けるのはまだまだ先の話だ」との認識があるからだと思われる。特に女性の方が年齢が上なのは、心理的な若さの表れといえる。

一方で属性別の差異はあるものの、大よそ70歳が現在における「高齢者」の区切りということになる。年金受給開始年齢や就労状況も、その認識に追いつくようになるのだろうか。


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