他の先進諸国同様日本でも合計特殊出生率(一人の女性が一生に渡り生む子供の平均数)が低迷し、人口が漸減状態にある。これを受けて予想値の一つとして、以前【2050年には1億人割れ…日本の人口推移(高齢社会白書:2014年)(最新)】でも紹介した通り、半世紀後には日本の人口が現在の約2/3に相当する8700万人程度にまで減るとの推測がなされている。このような状況に対し、いかなる思いを抱いているのか、そしてどうすべきなのかについて、内閣府大臣官房政府広報室が2014年10月20日に発表した、人口や経済などの社会の視点から見た、日本の将来像に関する世論調査の結果を元に、世間一般の意見を確認していくことにする(【発表リリース:人口、経済社会等の日本の将来像に関する世論調査】)。



調査要件は先行記事の【歳を経るほど「日本は成長しなくてもいいヤ」「縮小もアリだね」と思う人が増える現実】を参考のこと。

冒頭で触れた通り、日本も他の先進諸国同様、人口は漸減中。

↑ 日本の年齢区分別将来人口推計(万人)(2014年版高齢社会白書より)(再録)
↑ 日本の年齢区分別将来人口推計(万人)(2014年版高齢社会白書より)(再録)

このような観測が成されているとの資料を回答者に提示した上で、この人口減少が予想できる現状をどのように思うか、どうすべきかに関していくつかの選択肢を提示し、一番自分の考えに近いものを選んでもらった結果が次のグラフ。

↑ 日本の人口が急速に減少していくことについてどう思うか(2014年)
↑ 日本の人口が急速に減少していくことについてどう思うか(2014年)

赤系統、つまり「望ましくない」と考えている人が多数派で、「望ましい」と思う人はごくわずかに限られている。ただし望ましく無い考えに違いはないが、対処行動の意見はまちまちで、増加を目指すべきとの意見は1/3、現状維持は2割足らず、減少は仕方ないにしても最低限に留めるべきだとする人は1/4近く、そして望ましくないことは理解しているが現実問題として仕方がないとする考えの人も2割近くいる。状況は認識しているものの、その対処と実現可能性に関する思いは多様なようだ。

男女間では女性の方がわずかだか人口減少の足止めに積極姿勢が見受けられる。もっとも「仕方がない」との意見もやや多めで、むしろ二極化と見るべきかもしれない。

回答社の世代別では歳を経るほど「望ましくない・積極的に人口を増やすべき」との意見が増える。

↑ 日本の人口が急速に減少していくことについてどう思うか(2014年)(世代別)
↑ 日本の人口が急速に減少していくことについてどう思うか(2014年)(世代別)

20代と70歳以上の問題意識の強さがほぼ同率なのは興味深い話だが、それを除けば大よそ30代から順に歳を経るに連れて、むしろ人口を積極的に増加する努力をすべきであるとの意見が強くなる傾向がある。70歳以上に関しては社会保障にかかわる質問でも「分からない」「どちらでもいい」などの意見留保的回答が多くなる傾向があるが、今件では明確な意見を持つ人が多く、強い問題意識を有していることが分かる。

一方、世代間の意見の格差も大きな違いとは言い難く、「望ましくない・増加の努力をすべき」との意見項目も、最大でも10%ポイント程度の差異に留まっている。人口減少による危機感は多少の差はあれど、どの世代にも共通した危機的認識があると見て良いのだろう。


■関連記事:
【2050年には全世帯の4割突破…増える一人身世帯、高齢者単身世帯は約1000万世帯に】
【2050年の日本人口推計は9515万人・首都圏や中部圏に集中化へ…地域別人口推計】
【2100年には8450万人に…国連予想による日本の2100年までの人口推移(2013年)(最新)】