昨今では親子同居世帯も少数派となり、親と子が離れて生活する状況が当たり前となりつつある。歳老いた親が子供に対し、自分の安否を知らせることは、子供に無用な心配をかけないためのとの配慮に加え、万一の時の緊急連絡手段の確認でもあり、さらにそれを会話の理由付けにする意味合いもある。現在中堅世代で子供も親も有し、将来自分が歳を取り子供に状況を知らせる立場となる予定の人たちにとって、どのような手段で連絡を取りたいと考えているのだろうか。メディケア生命が2014年11月11日に発表した調査結果から、現在における要望を見ていくことにする(【発表リリース:家族の絆と老後の生活に関する意識調査2014】)。



今調査の調査要件は先行記事【親孝行にどれだけお金を使えるのだろうか、考えてみたことありますか】を参考のこと。

次に示すのは、現在中堅世代で今後歳を取り、恐らくは子供と別居するであろう調査対象母集団が、その時にどのような手段で子供に自分の安否を知らせる、確認してもらいたいかを複数回答で尋ねたもの。あくまでも現在使用されているツールなどを対象としていることに注意(回答世代が実際に歳を取り、別居する時点で、例えば従来型携帯電話は既に存在していないかもしれない)。

↑ 老後に離れて暮らす子どもに状況を知らせる(確認してもらう)ために、使いたいと思うもの(複数回答形式)
↑ 老後に離れて暮らす子どもに状況を知らせる(確認してもらう)ために、使いたいと思うもの(複数回答形式)

まず直近の2014年分についてだが、もっとも多い回答は「従来型携帯・スマートフォンの通話機能」で7割超え、次いで「固定電話の通話機能」で4割強。電話の種類は異なるが、いずれも通話機能を用いている。冒頭で触れた通り、単純に安否の確認だけならば他のもっと容易な手段でもかまわないはずだか、やはり相手(子供)の声を聴き、自分の声で伝え、リアルタイムに対話をしたい、その方が安心できるとの想いが強いのだろう。

次いで多いのは「従来型携帯・スマートフォンの写メール機能」で34.2%。映像つきならば相手もより理解が深まるし、送る側も楽しさが増す。意思疎通も密接なものとなる。通話は昔から使えた手段ではあるが、写メールは現在ならではのものだろう(紙焼きの写真を送ることも不可能ではないが、手間がかかる)。

そしてそれに続く形で「LINE(メッセージ・無料通話)」「Skype(無料通話・テレビ電話機能)」が続く。特にLINEは写メールに迫る勢いの値を示しており、同サービスが世代を超えて利用されていることを再確認させられる結果ではある。

同様の条件で昨年2013年も調査が実施されており、その結果が併記されているが、変化がより分かりやすくするよう、1年間の変移を算出した結果をグラフ化する。

↑ 老後に離れて暮らす子どもに状況を知らせる(確認してもらう)ために、使いたいと思うもの(複数回答形式)(2013年から2014年への変移)
↑ 老後に離れて暮らす子どもに状況を知らせる(確認してもらう)ために、使いたいと思うもの(複数回答形式)(2013年から2014年への変移)

テレビ電話機能やSkype、固定電話のFax機能の利用が大幅に減り、LINEや写メールが大きく増えている。意外なのは固定電話の通話機能も増えていること。デジタル色が強いLINEや写メールと共に通話機能、しかも固定電話のが増えるあたり、時代の流れと共に変わるもの、それでも変わらないものの双方を見せられたようで、興味深い動きではある。やはり「声を聴くのが一番安心(させられる)」ということなのだろう。


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