多額の金融資産を有し、プライベートな時間を存分に活かすことができ、多彩な能力や知識、コネクションを持ち、悠々自適な生活を過ごせる……はずのシニアライフ。セカンドライフ(第二の人生)と表現する場合もあるほどで、これまでの日々の暮らしとはまったく方向性を異にする日常生活と直面することになる。中には仕事を生き甲斐として歩んで来たことから、心に大きな空洞が空いてしまうとの心境を抱く人もいるだろう。そのすき間を埋めるため、手持ちのリソースを活かして多種多様な行動を手掛け、楽しむのがシニアライフの正しい過ごし方と主張する人も少なくない。それでは実際、シニア世代の人たちは、どのような行動を満喫しているのだろうか。大和ネクスト銀行が2014年12月8日に発表した「”2014年ランキングで見る”シニアライフに関する調査」結果から、現状を確認していく(【発表リリース:”2014年ランキングで見る”シニアライフに関する調査】)。



今調査は2014年10月20日から21日にかけて50代から70代の男女に対してインターネット経由で行われたもの。有効回答数は1000件。男女比・10歳区切りの年齢構成比はほぼ均等割り当て。調査協力会社はネットエイジア。

次に示すのは、調査対象母集団のうち実際にシニア層に突入した60代・70代に限定し、現在満喫している事を複数回答で尋ねた結果のうち、上位陣を占めるもの。元資料には男女合わせた値も掲載されているが、男女差が大きいこと、男女人数比率は同率であり、それを合わせた値を呈してもさほど意味はないため(実社会の該当世代の男女比は、多分に女性の方が多い)、男女別々の値のみグラフ化した。

↑ シニアライフで満喫出来ていること(60-70代、複数回答、上位陣)
↑ シニアライフで満喫出来ていること(60-70代、複数回答、上位陣)

項目の序列は男女合わせた上での順位となっている。大よそ旅行、読者、散歩など、世間一般にイメージされている「シニア世代が楽しみそうな行動」が上位を占めている。「嗜好品(お酒やたばこなど)」はやや意外かもしれない。

男女別に見ると、男性は「旅行」「マラソン・ウォーキングなど」「読書」「嗜好品」「家庭菜園・ガーデニング」「ドライブ」「音楽鑑賞」が続く。一方女性は「旅行」がトップなのは男性と変わらないが、それに続いて「読書」「家庭菜園」「嗜好品」「ドラマ観賞」「音楽鑑賞」「マラソン・ウォーキングなど」「料理」との順になる。若い時分に楽しんできた趣味の違いがそのままシニアライフでも継続されていることがうかがえる。

男女差の違いが大きく出ているのは、男性が多い項目では「写真・カメラ」「ドライブ」、女性では「料理」「家庭菜園・ガーデニング」など。また、回答率そのものはさほど高くないが、「季節の催し」でも男女の差異が大きく出ている。

他の調査結果によると、シニア層の行動において男女の間では、男性は内向的、女性は外交的な行動を取ることが多い事実が明らかにされている。今調査でもその視点で見直すと、いくつかの項目でうなづける結果が出ているのが分かる。



冒頭でも触れた通り、シニア層は世間全体のうち多分の金融資産を有し、消費先を求めているともいえる。該当世代が何を求め、満喫しているかの傾向は、見方を変えると何が求められているのかを容易に知る手だてにもなる。旅行代理店が相次ぎ、シニア向けの旅行パッケージを展開しているのも納得がいくというものだ。


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