今年は例年と比べて台風が日本に上陸した件数が多かったことでも知られている。他の自然災害と比べて事前に到来に対する備えが出来ることは幸いだが、それでも大きな影響力を持つことには違いない。それでは今年2014年において、台風の接近を見聞きした人は、いったいどのような対策を取ったのだろうか。東京工芸大学が2014年12月17日に発表した調査結果「災害情報の活用に関する調査」から、その実態を確認していくことにする(【発表リリース:災害情報の活用に関する調査(2014)】)。



今調査は2014年11月12日から16日に渡って携帯電話を用いたインターネット経由で、20歳以上の男女に対して行われたもの。有効回答数は1000件。男女比・10歳区切り(60歳以上はすべてひとまとめ)の世代構成比は均等割り当て。調査実施機関はネットエイジア。

【台風の上陸数(2013年までの確定値と2014年の速報値)(気象庁)】による観測データを見る限り、日本の2014年における台風上陸数は4件、7月・8月に1件ずつと10月に2件。直近では2004年の10件が際立った多さを見せているが、それ以外では1998年の4件にまでさかのぼる必要があるほど、2014年は台風の上陸事案が多かった。またもたらした被害の大きさでも記録と記憶に残るものとなった。

台風の接近の際には各方面からその旨の情報が発せられる。今調査対象母集団でも95.5%の人は何らかの形で台風の接近情報を見聞きしている。それらの人に、その情報を得た際に、どのような台風対策をしたのかについて複数回答で聞いた結果が次のグラフ。

↑ 台風の接近情報を見聞きした時、どのような台風対策を取ったか(2014年中に天気予報などで台風の接近情報を見聞きした人限定、複数回答)
↑ 台風の接近情報を見聞きした時、どのような台風対策を取ったか(2014年中に天気予報などで台風の接近情報を見聞きした人限定、複数回答)

もっとも多くの人が回答した選択肢は「当日は外出を控える」で58.7%。仕事や買い物などでどうしても外出する必要がある人も少なくないが、台風の勢力次第では外出しても交通機関がストップして帰宅できなくなる可能性がある。影響リスクを確認できれば、極力自宅に留まるのが一番無難であり、正しい選択肢に違いない。

また自分が居る場所、多くは自宅における台風の被害にそなえた動きも数多く見られる。「家の周りにあるものを室内にしまうか固定する」「備蓄品を用意」「窓や雨戸を補強」などは定番の動き。さらに万一に備え「避難場所・避難経路を確認」も欠かせない……のではあるが、回答率は意外に低い。直接それらの備えが必要になる可能性が、さほど高くないと踏んで、行動に出ない人が多数いるものと考えられる。「浴槽に水を張る」は台風被害で水道が一時的に利用できなくなった時のための、生活用水として使うためのもので、台風に限らず自然災害の備えてとしては有名な話。

「特に何もしなかった」は19.9%に留まっているが、「当日は外出を控える」の58.7%以外は、各選択肢の回答率が意外に低い。台風の直撃に伴う実被害に関して、多くの人は「風雨や交通機関の停止で移動が困難になる」のみを認識し、精々、ベランダなどにある荷物が風雨で倒れたり飛ばされる可能性を危惧するものの、それ以外は自分の身に降りかかるとはあまり想定していないのかもしれない。


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