インターネットの普及浸透に伴い、大きく飛躍したビジネス分野の一つが「通販(通信販売)」。これまではカタログやパンフレットによる情報展開、あるいはテレビによる公知と問い合わせがメインで、いずれもそれなりにハードルの高いものだったが、インターネット経由で商品の精査購入ができるようになり、利用しやすさは格段に向上し、市場は一気に拡大する形となった。今回はJADMAが運営するジャドマ通販研究所が2015年3月26日に発表した、健康を意識する人の通販利用の実態調査結果から、現在の健康関連の通販事情を垣間見ることにする(【発表リリース:全国の男女1,000人の実態調査からみる 「健康を支える通販」】)。



今調査は2014年9月19日から22日にわたり、15歳から69歳の、直近1年間で通販(特に解説は無いので、インターネット通販以外も該当)を利用したことがある男女に対し、インターネット経由で行われたもの。有効回答数は1000人。男女比、世代構成比は未発表。

次に示すのは調査対象母集団において、健康を意識した商品を通販で購入した経験がある人の割合。サプリメント系の利用経験者が5割近くを占め、次いで食品・飲料水が4割近くで続いている。

↑ 健康のために通販を利用して購入したことがある商品(複数回答、1年以内通販経験者限定)
↑ 健康のために通販を利用して購入したことがある商品(複数回答、1年以内通販経験者限定)

サプリメントは多種多様なものがあり、購入希望者の需要に合致したものを探すのには、店頭に並んだ商品だけでは足りない、満足できない場合もある。またインターネット通販ならば実利用者の感想も(無論真偽性の精査が欠かせないが)確認でき、自分の需要に近しいものを選択できる。

食品・飲料水が続くが、こちらはよりお気軽感が強い健康意識といえる。ミネラルウォーターや新鮮さ、無農薬などを売りにする、産地が特定されているお米、食材などを購入した経験のある人は多いはず。またこれらの食品は重量が大きい、かさばるなどの理由で、定期購入する際には特に、自宅にまで運んでもらえる通販のありがたさを知ることになる。他方、健康に直接関連する、健康器具やスポーツ用品の利用率が意外に低いのも注目に値する。

これを回答者の世代別に見たのが次のグラフ。

↑ 健康のために通販を利用して購入したことがある商品(複数回答、1年以内通販経験者限定)(世代別)
↑ 健康のために通販を利用して購入したことがある商品(複数回答、1年以内通販経験者限定)(世代別)

趣味用品やノウハウ本などはややぶれがあるが大よそ中堅層以降で高め。一方でサプリメント、食料・飲料水、健康器具はきれいな形で若年層が低い・高齢層が高いの流れが出来ている。とりわけ上位2項目でその傾向が強い。

これはその一因として、直上で言及した「自宅にまで運んでもらえる」が強みとなっている点が考えられる。さらに後述の通り、これらの商品は継続利用することが多いことから、その便宜性が高齢層には際立つ形となるのだろう。

もちろん若年層ほど日常において健康を意識する機会そのものが少ないことから、健康に意識する形での商品購入の機会自身が少ないのも一因に違いない。必要性を覚えない商品を購入しないのは当然の話。

サプリや食品・飲料水は常用が前提となるため、継続利用される場合も多い。

↑ 健康のために通販を利用して購入し、継続利用している商品(複数回答、1年以内でそれぞれの通販経験者限定)
↑ 健康のために通販を利用して購入し、継続利用している商品(複数回答、1年以内でそれぞれの通販経験者限定)

購入者のうちサプリでは7割近く、食品・飲料水では6割強が継続利用している。健康目的のため他項目商品でも継続利用率は高めだが、やはり常用するこれらの商品の継続率の高さは目に留まる。

利用実態を思いおこせば当然の話ではあるが、健康関連の商品を取り扱う通販サイドは、例えば食事の材料販売にしても、インターネットの通販サイトにしても、定期購入の窓口を広く開けている。その理由も理解できるというものだ。


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