2022-1110先行記事【アメリカ合衆国の肥満状態】でアメリカ合衆国のCDC(Centers for Disease Control and Prevention:米疾病予防管理センター)の公開値を用い、同国の成人における肥満状況を確認した。CDCでは大人以外に、子供(14-17歳)に関する肥満状況の値も収録されている。調査頻度は大人の毎年と違い、2年毎ではあるが、大いに参考になる値に違いない。今回は大人の場合同様に、アメリカ合衆国の子供における肥満状況を確認していくことにした。

全体では約3割が肥満か過体重。肥満だけなら15.5%


肥満の定義、各用語の詳細などは先行記事「アメリカ合衆国の肥満状態」を参照のこと。子供(14-17歳)のデータだが、冒頭の通り2年毎の計測であるのに加え、計測年によって値が公開されていない(調査が行われていない)州・地域も複数見受けられる。毎回同じ州・地域が未公開なのではなく、年によって未公開州・地域に違いがあるため、前回比では特に値を計算できる州・地域が少なくなってしまうことを改めて記しておく。

それではまず最初に、記事執筆時点で直近年分となる2019年時点で肥満判定を受けている対象年齢階層の割合。全土の値は具体的な値が示された州・地域のみの合算平均。

↑ アメリカ合衆国の14-17歳における肥満判定者比率(BMI30.0以上、CDC・BRFSS、州・地域別)(2019年)
↑ アメリカ合衆国の14-17歳における肥満判定者比率(BMI30.0以上、CDC・BRFSS、州・地域別)(2019年)

アメリカ合衆国全土の中央値では15.5%。最大値を示すGuam州では23.8%と2割を超える値を示している。2021年時点だが大人における中央値33.9%、3割以上の州・地域が44の状態から比べれば、かなり低い値にとどまっている。しかしそれでもなお、見方を変えれば高校生ぐらいの時点ですでに1割以上が肥満状態にあるのは、それなりに留意すべき状況に違いない。

これを大人の時同様に、「過体重」、「標準(体重)」+「やせ型」も加味し、構成比率を確認したのが次のグラフ。

↑ アメリカ合衆国の14-17歳における肥満判定者などの比率区分(CDC・BRFSS、州・地域別)(2019年)
↑ アメリカ合衆国の14-17歳における肥満判定者などの比率区分(CDC・BRFSS、州・地域別)(2019年)

「肥満」が少ない州・地域は「過体重」もおおよそ少なく、「標準」+「やせ型」の割合は多い。この状況は大人と変わらない。全土の平均では「肥満」と「過体重」で3割強。3割しか、なのか、3割も、なのかは判断が難しいところだが、仮に一つのクラスが30人で構成されていた場合、そのうちの9人は「肥満」か「過体重」、「肥満」に限れば4人強という状況は、決して少ない数ではない。

子供の肥満も増加中


続いて経年による肥満率の増減。前述の通り子供への調査は2年おきであることから、2017年分との比較となる。また2017年・2019年どちらの年でも未公開だった州はグラフからすべて除いている。

↑ アメリカ合衆国の14-17歳における肥満判定者比率(BMI30.0以上、CDC・BRFSS、2017年から2019年への変移、公開値のある州・地域のみ、州・地域別、ppt)
↑ アメリカ合衆国の14-17歳における肥満判定者比率(BMI30.0以上、CDC・BRFSS、2017年から2019年への変移、公開値のある州・地域のみ、州・地域別、ppt)

値を計算可能なのは41州・地域(全土除く)。そのうちプラスは28州・地域、最大値は3.4%ポイント。逆に最小値はマイナス1.8%ポイント。全土ではプラス0.7%ポイント。確実に増加状況にあることが確認できる。

子供のうちから肥満対策には手を打っておかないと、行動がより自由になる大人では、歯止めが利かなくなる可能性が高い。食生活をはじめとした肥満の要素に関して、正しい指導が欠かせまい。


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