
今調査の調査要件は先行記事【一日の平均歩数は男性6465歩・女性5820歩(最新)】を参照のこと。
今回対象とする栄養素などは、エネルギー(カロリー)、たんぱく質、炭水化物、カルシウム、そして脂質。食品パッケージに表示されている栄養成分表示表ではお馴染みの値。塩分(ナトリウム)もよく見かける値だが、先行記事【一日の平均食塩摂取量は男性10.5グラム・女性9.0グラム(最新)】で言及しているので今回は省略する。
またよい機会でもあるので、直近となる2022年分、10年前の2012年分、20年前の2002年分も併記し、より長い期間での動向を見極めることにする。そして男女間では栄養素の取得動向で大きな違いがあるため、今回は男女それぞれ別途に精査を行う。なお今件における「総数」とは未成年者も含めた全年齢層の合計を指していることに注意。
まずは男性。

↑ エネルギーの摂取量の平均値(男性、年齢階層別、kcal/日)

↑ たんぱく質の摂取量の平均値(男性、年齢階層別、グラム/日)

↑ 炭水化物の摂取量の平均値(男性、年齢階層別、グラム/日)

↑ カルシウムの摂取量の平均値(男性、年齢階層別、ミリグラム/日)

↑ 脂質の摂取量の平均値(男性、年齢階層別、グラム/日)
エネルギー摂取量はこの20年で少しばかり減少。ただし70歳以上ではむしろ増える動きもある。炭水化物やカルシウムの減り方は著しく、たんぱく質は大きな減り方ではなく、70歳以上ではむしろ増える動きすらある。嗜好品に多い脂質は中年層以上、特に高齢者での増え方が著しい。
もっとも古い値となる2002年分から2022年分への変移を算出したのが次のグラフ。

↑ 栄養素などの摂取量の平均値(男性、年齢階層別)(2002年から2022年への変化率)
特に炭水化物とカルシウムの減少度合いが大きいこと、脂質はほとんど減っておらず、15歳以上ではおおよそ増加していることが分かる。これは食生活が貧相化しているわけではなく、食の多様化や必要栄養素の変化によるところが大きい(全体的には肥満化傾向にある、同調査で継続精査されている歩行数が減少気味なのが何よりの証拠)。具体的な食品の摂取動向を見ると、調味嗜好飲料類(調味料や飲料水)、菓子類、果実類などの摂取量が増えているのも確認できる。また、社会生活における利便性の向上や産業構造の変化で必要なエネルギー量が減っていることや、栄養素等摂取量の調査に関して対象とならない(調査票の食品群別表に区分そのものが存在しない)、強化食品および補助食品からの摂取量が増えているのも要因として考えられる(強化食品はカルシウム強化牛乳や鉄強化ヨーグルトなど、補助食品は顆粒、錠剤、カプセル、ドリンク状の製品が該当する)。
続いて女性。

↑ エネルギーの摂取量の平均値(女性、年齢階層別、kacl/日)

↑ たんぱく質の摂取量の平均値(女性、年齢階層別、グラム/日)

↑ 炭水化物の摂取量の平均値(女性、年齢階層別、グラム/日)

↑ カルシウムの摂取量の平均値(女性、年齢階層別、ミリグラム/日)

↑ 脂質の摂取量の平均値(女性、年齢階層別、グラム/日)
エネルギー摂取量が多少ながらも減少しているのは男性と変わらず。炭水化物とカルシウムの減少の度合いが大きいこと、脂質がむしろ増加する年齢階層が多々あるのも男性同様。ただし炭水化物の減少度合いは男性以上に大きなものとなっている。
男性同様にもっとも古い値となる2002年分から2022年分への変移を算出すると次の通りとなる。

↑ 栄養素などの摂取量の平均値(女性、年齢階層別)(2002年から2022年への変化率)
プラス領域にあるのは総数部分も合わせて11項目のみ。全体的にゼロより下の領域で着色されている面積が多いことから、広範囲にわたる減少が生じているのが把握できる。
これも男性同様食生活の多様化や必要栄養素の変化が要因だが、女性の場合は(詳しくは先行記事で解説しているが)肥満の人が減り、やせの人が増える傾向が確認されている。スリム化が進んでいると見てよいだろう。全属性のプラスマイナスを加算すると男性はマイナス127.1%、女性はマイナス22.15%となるため、女性の方が下げ度合いが大きいことも確認できる。
今件はあくまでもいくつかの栄養素の平均的な摂取量の動向であり、食生活全般の変化すべてを表しているわけではない。本文中で言及の通り、食の多様化やライフスタイルの動きに従う形で、摂取量が変化していると見た方が道理は通る。また、上記で言及している通り、ライフスタイルの変化で必要エネルギー量が減少していることに加え、今件の栄養素など摂取量の調査に関して反映されていない、強化食品および補助食品からの摂取量が増えているのも要因として否定できない。
他方、男女とも他の栄養素よりも減退動向が大きいたんぱく質やカルシウムに関しては、食文化の変化に寄るところとはいえ、気になるレベルの動きではある。食の彩りを添える、変化を持たせることも含め、ある程度意識した献立作りをするのもよいかもしれない。
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【昔に比べて栄養摂取量が減っているとの話だけど】
今回対象とする栄養素などは、エネルギー(カロリー)、たんぱく質、炭水化物、カルシウム、そして脂質。食品パッケージに表示されている栄養成分表示表ではお馴染みの値。塩分(ナトリウム)もよく見かける値だが、先行記事【一日の平均食塩摂取量は男性10.5グラム・女性9.0グラム(最新)】で言及しているので今回は省略する。
またよい機会でもあるので、直近となる2022年分、10年前の2012年分、20年前の2002年分も併記し、より長い期間での動向を見極めることにする。そして男女間では栄養素の取得動向で大きな違いがあるため、今回は男女それぞれ別途に精査を行う。なお今件における「総数」とは未成年者も含めた全年齢層の合計を指していることに注意。
まずは男性。

↑ エネルギーの摂取量の平均値(男性、年齢階層別、kcal/日)

↑ たんぱく質の摂取量の平均値(男性、年齢階層別、グラム/日)

↑ 炭水化物の摂取量の平均値(男性、年齢階層別、グラム/日)

↑ カルシウムの摂取量の平均値(男性、年齢階層別、ミリグラム/日)

↑ 脂質の摂取量の平均値(男性、年齢階層別、グラム/日)
エネルギー摂取量はこの20年で少しばかり減少。ただし70歳以上ではむしろ増える動きもある。炭水化物やカルシウムの減り方は著しく、たんぱく質は大きな減り方ではなく、70歳以上ではむしろ増える動きすらある。嗜好品に多い脂質は中年層以上、特に高齢者での増え方が著しい。
もっとも古い値となる2002年分から2022年分への変移を算出したのが次のグラフ。

↑ 栄養素などの摂取量の平均値(男性、年齢階層別)(2002年から2022年への変化率)
特に炭水化物とカルシウムの減少度合いが大きいこと、脂質はほとんど減っておらず、15歳以上ではおおよそ増加していることが分かる。これは食生活が貧相化しているわけではなく、食の多様化や必要栄養素の変化によるところが大きい(全体的には肥満化傾向にある、同調査で継続精査されている歩行数が減少気味なのが何よりの証拠)。具体的な食品の摂取動向を見ると、調味嗜好飲料類(調味料や飲料水)、菓子類、果実類などの摂取量が増えているのも確認できる。また、社会生活における利便性の向上や産業構造の変化で必要なエネルギー量が減っていることや、栄養素等摂取量の調査に関して対象とならない(調査票の食品群別表に区分そのものが存在しない)、強化食品および補助食品からの摂取量が増えているのも要因として考えられる(強化食品はカルシウム強化牛乳や鉄強化ヨーグルトなど、補助食品は顆粒、錠剤、カプセル、ドリンク状の製品が該当する)。
続いて女性。

↑ エネルギーの摂取量の平均値(女性、年齢階層別、kacl/日)

↑ たんぱく質の摂取量の平均値(女性、年齢階層別、グラム/日)

↑ 炭水化物の摂取量の平均値(女性、年齢階層別、グラム/日)

↑ カルシウムの摂取量の平均値(女性、年齢階層別、ミリグラム/日)

↑ 脂質の摂取量の平均値(女性、年齢階層別、グラム/日)
エネルギー摂取量が多少ながらも減少しているのは男性と変わらず。炭水化物とカルシウムの減少の度合いが大きいこと、脂質がむしろ増加する年齢階層が多々あるのも男性同様。ただし炭水化物の減少度合いは男性以上に大きなものとなっている。
男性同様にもっとも古い値となる2002年分から2022年分への変移を算出すると次の通りとなる。

↑ 栄養素などの摂取量の平均値(女性、年齢階層別)(2002年から2022年への変化率)
プラス領域にあるのは総数部分も合わせて11項目のみ。全体的にゼロより下の領域で着色されている面積が多いことから、広範囲にわたる減少が生じているのが把握できる。
これも男性同様食生活の多様化や必要栄養素の変化が要因だが、女性の場合は(詳しくは先行記事で解説しているが)肥満の人が減り、やせの人が増える傾向が確認されている。スリム化が進んでいると見てよいだろう。全属性のプラスマイナスを加算すると男性はマイナス127.1%、女性はマイナス22.15%となるため、女性の方が下げ度合いが大きいことも確認できる。
今件はあくまでもいくつかの栄養素の平均的な摂取量の動向であり、食生活全般の変化すべてを表しているわけではない。本文中で言及の通り、食の多様化やライフスタイルの動きに従う形で、摂取量が変化していると見た方が道理は通る。また、上記で言及している通り、ライフスタイルの変化で必要エネルギー量が減少していることに加え、今件の栄養素など摂取量の調査に関して反映されていない、強化食品および補助食品からの摂取量が増えているのも要因として否定できない。
他方、男女とも他の栄養素よりも減退動向が大きいたんぱく質やカルシウムに関しては、食文化の変化に寄るところとはいえ、気になるレベルの動きではある。食の彩りを添える、変化を持たせることも含め、ある程度意識した献立作りをするのもよいかもしれない。
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