
高齢者ほど高い受療率
今調査の調査要項は先行記事の【入院患者・外来患者の医療機関種類・年齢階層別人数(最新)】を参照のこと。
早速だが次に示すのは、年齢階層別の入院・外来の受療率。例えば1歳から4歳の入院受療率は134とあるので、1-4歳までの子供10万人に対し、調査該当日には134人が入院していた計算になる。対人口比は0.134%。およそ746人に1人が入院中。

↑ 入院受療率(年齢階層別、各階層人口10万人対)(2020年10月)

↑ 外来受療率(年齢階層別、各階層人口10万人対)(2020年10月)
先行記事の通り、入院受療数よりも外来受療数の方が桁違いに多い。そして入院受療率はゼロ歳以外、ほぼ年齢とともに値が増えていく。興味深いことに、絶対数では大きな段差が見られた60-64歳と65-69歳、65-69歳と70-74歳との間もほぼスムーズな流れを示している。これは元々の人口において、65-69歳や70-74歳が多分におよんでいたことを意味する(いわゆる「団塊の世代」である)。
とはいえ60歳以降になると上昇率はやや累乗的なカーブを描くようになり、老化による病症の悪化や発症で入院を余儀なくされる事例が増えていくのが分かる。70代も後半になると10万人に2204人が入院。おおよそ2.2%、70代後半の約45人に1人は入院している計算になる。
他方外来受療率は絶対数同様、ゼロ歳から10-14歳まではやや多めで、15-19歳が最少。その後はじわりと増加するが、増加が急ピッチになるのは50-54歳から。
対10万人対が1万人を超えるのは75-79歳。この年齢階層では10人に1人以上が通院している計算となる。そして80-84歳がピークで、あとは多少値を減らしていくが、これは通院するような軽度の病症に陥る可能性が減ることを意味する。子供や成人なら多少のケガで済むような事案でも、高齢者では大事に陥ることも多い。
経年変化をたどる
続いて過去の調査結果を合わせ、状況の推移を確認していく。まずは全体的な受療率推移。人口の増減には左右されないことに注意。

↑ 受療率(受療種類別、人口10万人対)
入院率は1990年をピークに、少しずつではあるが減少中。先行記事でも触れているが、医療技術の進歩に伴い、入院しなくても済む、入院が必要にしても日数が少なくて済むようになったからに他ならない。他方、外来受療率は横ばい、今世紀初頭からに限れば増加の動きすら示していた。これは前項目の通り、高い外来受療率を示す高齢者の総人口比が増加したからに他ならない。また以前は入院が不可欠だった治療も、外来で済むようになった治療もあるだろう。
これを主要年齢階層別に区分したのが次のグラフ。

↑ 入院受療率(年齢階層別、人口10万人対)

↑ 外来受療率(年齢階層別、人口10万人対)
驚くかもしれないが、実のところ高齢者においてですら、入院・外来受療率は漸減している。先行記事で高齢層の外来・通院者数が漸増しているとしたが、それはその階層の総人口が増加しているからに他ならない。100人の1%は1人に過ぎなくとも、1万人の1%は100人にもなる。
他方、気になる動きとしては、14歳までの子供においては、今世紀に入ってから外来受療率増加の動きが見えている。これは多様な可能性が考えられるが、喘息やアレルギーのように経年変化で増加している病症の治療を受ける人が増えてきたこと、過去においては病院に通うまでもないとしていた病症に対しても保護者の意識変化により通院させるようになったことなどが考えられる。
無論入院率は14歳までの子供でも減少しているため、単純に脆弱化したわけではないことは言うまでもあるまい。
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