よほど特殊な趣味趣向を持つ場合で無い限り、人は日々の生活の中で満足感、充実感を得るために生活し、それを果たすと幸せを感じることができる。不足している何かを満たすのは、物理的なものはもちろん、精神的なものでも構わない。何か空きがある、足りないものがあれば、そこに不安、心配、不満を覚え、状況の改善を求めるのは、人が常に充足、進歩発展を求める生き物としての性(さが)が表れているともいえる。今回はPGF生命が2015年12月16日に発表した人生の満足度に関する調査結果から、個々の人が考えている「人生の満足度を向上させている対象」について見ていくことにする(【発表リリース:「人生の満足度に関する調査2015」を実施】)。



人生の満足度を向上させるもの、トップは旅行で5割強


今調査の調査要項は先行記事【異性の相手を満足させる最大のポイントは「優しさ・思いやり」】を参照のこと。

次に示すのは、回答者自身か考える「人生の満足度」の上で、その値の上昇に貢献する要素。要は自分の人生を豊かにしてくれる対象を意味する。

↑ 自分の人生の満足度を向上させていると思うもの(複数回答)
↑ 自分の人生の満足度を向上させていると思うもの(複数回答)

多分に個人の主観が混じるため、仕切り分けのジャンルはある程度粗めのものとなっているが、トップは「旅行」で54.1%。後述するが主に女性、そして男性高齢層が値を押し上げている。次いで多いのは「パソコン」「グルメ」。ここまでが1/3超え。以下は3割未満で「音楽」「ドラマ・映画」が続き、さらに1段下がる形で「ファッション・美容」「漫画・アニメ」「スポーツ」「小説」が続く。

デジタル系の対象としては「パソコン」がもっとも多く、次いで「携帯・タブレット」「ゲーム」「SNS」が続いている。SNSの浸透度はいわずもがなだが、人生の満足度を上げる要素としてはあまり適していない、少なくとも認識されていないようだ。

これを男女別に仕切り分けしたのが次のグラフ。

↑ 自分の人生の満足度を向上させていると思うもの(複数回答)(年齢階層別)
↑ 自分の人生の満足度を向上させていると思うもの(複数回答)(年齢階層別)

男女の人生観や趣味趣向、満足できる対象の違いがよく現れる結果となっている。男性は「旅行」「パソコン」「グルメ」「音楽」の順だが、女性は「旅行」「グルメ」「ドラマ・映画」「ファッション・美容」と続いており、充実した人生を送るために何が必要なのか、その方向性が男女で多分に異なることを実感させる。「旅行」はともかく「パソコン」と「グルメ」では共に上位に位置づけられているが、男女で回答率が大いに異なるため、同時に同じ対象を体験する機会があった時には、平均的な満足度に少なからぬ差異が生じることになるのだろう。見方を変えれば、男女であまり違いのないジャンルを選択すれば、満足度が異なることによるトラブルを避けられるかもしれない(無論、より細かい区分での好き嫌いはあるので、あくまでも一般論の話)。

年齢階層で大きく異なる「満足できるもの」


続いて男女別に仕切り分けした上で、さらに年齢階層別の違いを見ていく。まずは男性。

↑ 自分の人生の満足度を向上させていると思うもの(複数回答)(男性、年齢階層別)
↑ 自分の人生の満足度を向上させていると思うもの(複数回答)(男性、年齢階層別)

トップの「旅行」は歳を重ねるに連れて値を増やしていき、20代と60-70代との間には倍近い差が出ている。興味深いのは「パソコン」でも同じ動きを示していること。男性高齢者にとって、パソコンは楽しいもの、充実したものとして認識されているようだ。似たような動きは「自動車・バイク」にも見られるため、うまく使いこなせば自分の想い通りに動く様相が達成感・満足感につながるのかもしれない。また絶対値は低いものの「ボランティアなど」でもわずかながら歳とともに上昇していくのは注目に値する。

他方「ファッション・美容」「漫画・アニメ」「携帯・タブレット」「ゲーム」「SNS」「アイドルなど」は年上になるに連れて値は減っていく。「子供でもあるまいし」的な忌避感があるのか、あるいは単にまだ現状では慣れていないだけなのかもしれない。今の若年層が歳を重ねて中堅・高齢層になれば、「携帯・タブレット」「ゲーム」「SNS」などもまた、人生の満足度アップに貢献する対象となる可能性は多分にある。

次いで女性。

↑ 自分の人生の満足度を向上させていると思うもの(複数回答)(女性、年齢階層別)
↑ 自分の人生の満足度を向上させていると思うもの(複数回答)(女性、年齢階層別)

男性との趣味趣向、満足に対する物差しの違いがよくわかる。「旅行」は若年層から高い値を示しており、「パソコン」は高齢層ほど高めの値になる点では男性とは変わらないものの、絶対値そのものは低め。そして「グルメ」は一様に高く、男性よりも20%ポイントほど上の値を示している。

「漫画・アニメ」「携帯・タブレット」「ゲーム」「SNS」「アイドル」などで、若年層の値がずば抜けて高いのも特徴的。似たような動きは男性でも示されているが、歳の差に大きな格差が生じている。男性同様女性においても、今の若年層が歳を取るに連れて満足感を覚えるものがそのままシフトする可能性はあるが、少なくとも現時点ではこれらの娯楽品に関しては、年齢階層によって受け取る影響が大きく異なることは留意しておくべきだろう。


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