2020-1105一人暮らし世帯や共働き世帯の増加、食生活の概念の変化や多様化、そして食に関するさまざまな技術の進歩に伴い、外食産業は大きな成長を遂げ、コンビニやスーパーでは多様な食品が提供されるようになった。食事の提供や片づけまですべてお店側が行い、利用者はお客として食事を食べることに専念できる外食、(半ば)調理されたお弁当や総菜を購入し持ち帰ることで、自宅ではそれらを開封する、あるいは簡単な作業をする(電子レンジで解凍するなど)だけで食事を用意する中食が、これまでにはなかったほどに食生活に浸透しつつある。それでは現状として、どれほどの人がどの程度の頻度で外食や中食を利用しているのだろうか。厚生労働省が2020年10月27日に発表した「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」の結果から確認していく(【国民健康・栄養調査】)。


外食利用者は男性4割強、女性1/4強


今調査の調査要件は先行記事【一日の平均歩数は男性6794歩・女性5942歩(最新)】を参照のこと。

次に示すのは外食(飲食店での食事)を日常生活においてどの程度利用しているかを尋ねたもの。回答者は20歳以上の成人で、婚姻の有無、就業中か否か、世帯構成などは問われていない。成人全体としての、あるいは各年齢階層それぞれの全体的な値であることに注意。実際には就業状態などで外食の利用頻度は大きな違いを見せることになることは言うまでもない。

↑ 外食利用頻度(男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 外食利用頻度(男女別・年齢階層別)(2019年)

毎日2回以上、実質的に食生活の過半数を外食に頼っている人はごく少数だが多くの年齢階層に存在する。毎日1回、例えば土日も合わせた就業者の昼食や朝食といったケースでの利用は男性の就業年齢階層では多めで5%前後、女性は1-2%台に限定される。平日のお昼時における利用と思われる週4-6回の回答率も合算すると、就業しているか否かで外食利用の頻度に大きな違いが出ることが分かる。

実際、多分が定年退職を迎える60代以降になると、男性でも外食の利用頻度は急激に下がる。他方、男性における20代から30代が高いのは、独身回答者が多く、配偶者が調理したお弁当を持参しての昼食の機会がないからだろう。

一般的な調査では把握がしにくい高齢層の外食事情を見ると、男性の方が利用度合いは高い。60代でも週一以上で利用している人は4割に近いが、女性は2割強。毎日外食を利用する人もゼロではなく、確実に存在している。

各項目の回答値の中央値を用い(「毎日2回以上」は週16回利用と設定)、平均利用回数を算出した結果が次のグラフ。外食を利用しない人も合わせた平均値と、外食を利用する人のみにおける平均値を併記している。

↑ 週あたりの平均外食利用回数(男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 週あたりの平均外食利用回数(男女別・年齢階層別)(2019年)

全般的に男性の方が利用回数は多いことが分かる。他方、利用する人に限定すると、40-60代の利用回数が多めなこと、女性は年齢による回数の差異がさほどない(20代が少々多いかな、という程度)など、興味深い結果が見受けられる。女性の場合は単に食事をするだけでなく、例えば知人を誘った上での懇談会的なものも兼ねているのかもしれない。

多用されている中食


外食と比べて自由度が高く選択肢も多く、自分の調理によるプラスαも可能で、内食との組み合わせも容易なのが中食(持ち帰りの弁当や総菜)。昨今では冒頭で触れている通り、スーパーやコンビニが大いに注力をしているが、その動きも需要が伸びているからに他ならない。

↑ 持ち帰りの弁当・総菜利用頻度(男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 持ち帰りの弁当・総菜利用頻度(男女別・年齢階層別)(2019年)

属性に区分した上での最大値こそ外食の方が上だが(外食は男性20代の66.9%が最大、中食は男性40代の58.2%が最大)、全体の値は男女ともに中食の方が大きい。男女別では外食のように男性の利用頻度が高いこともなく男女でほぼ同様に、定年退職を迎えた60代以降でもそれなりに利用されており、中食が多くの人にとって食生活を支え、欠かせない存在となっていることが分かる。特に高齢層においての利用頻度が、外食と比べてかなり高く、食品スーパーやコンビニで高齢者の姿をよく見かけるようになった状況を裏付ける数字が出ているのが興味深い。

外食同様に中食の平均利用回数を算出したのが次のグラフ。

↑ 週あたりの平均持ち帰りの弁当・総菜利用回数(男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 週あたりの平均持ち帰りの弁当・総菜利用回数(男女別・年齢階層別)(2019年)

単なる平均回数も、利用者に限定した平均回数も、外食と比べておおよそ高めに出ている。男女別ではやや男性の方が多めだが外食ほどの違いはなく、また、年齢階層別の違いも大きなものとはなっていない。現役世代はもちろんだが、引退世代においても中食の存在は欠かせないものとなっていることが改めて理解できよう。


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